ある日早朝に車を走らせていたら、なんだかまちの様子がおかしい。
通りがかったセブンイレブンがやっていないのだ。
調べたら、最近は店舗により24時間営業じゃないセブンイレブンがあるよう。
24時間営業が当然と思っていたコンビニが24時間営業していないことへの、強烈な違和感。
それなら、いままで見られなかったセブンイレブンが閉まるところと開くところ、見られるじゃんか!
24時間営業じゃないセブンイレブンがある
その名前のとおり、かつては朝7時から夜11時までの営業だった、ということは知識として知っているが、私のような若造には24時間営業が染みついている。
不夜城だと思っていたセブンイレブンに閉まる時間帯があるという衝撃。
背景には人手不足や労働環境の問題、採算性とかいろいろあるんだろう。
でも、そういうことはいったん置いておいて、純粋に「24時間営業が当然だと思っていたセブンイレブンが閉まる/開く」という瞬間が見てみたいのだよ、私は。
セブンイレブンの公式サイトの店舗情報には、各店舗の営業時間の記載がある。
ほとんどのお店は24時間営業なのだが、わずかにある短縮営業のお店に目星を付けて訪れることとする。
オフィシャルな情報として掲載されていてよかった。
それぞれのお店のオーナーが本部に内緒で勝手に短縮営業している…とかではなくて。
セブンイレブンがクローズする様子を見に行く
とある金曜日の夜。
24時までの営業というセブンイレブンが閉まる様子を見に行った。
こちらのお店は、田舎にある私の実家に最も近いセブンイレブン。
小学生のときにこのセブンイレブンができたときには
「おらが町にナショナルチェーンのお店がやってきた!」
とそれはそれは興奮したものである。
23時45分、お店に到着。
すでに駐車場に停まっている一般車両はない。
なぜかパトカー1台が停まっており、運転席にはおまわりさん。
さまざまな角度でセブンイレブンを激写する私にも緊張が走る。

↑貼り紙にもしっかりと24時閉店とあった
23時50分。
閉店間際のセブンイレブンに入店。
お客さんは誰もいない。
店内では店員の方がごみをまとめたり、什器を掃除したりとしっかりと閉店ムードが漂う。
これらの行為は24時間営業のお店でも営業時間の中でやっていることなのだろうが、何か特別なものを見ているようだ。
私も適当にお菓子を手に取り、レジへと向かう。
「ここって24時間営業じゃないんですね」
とお店の人に話しかけてみれば
「お客さんもほとんど来ないですからね」
との答え。
23時55分、退店。
お店の外でクローズの様子を見させてもらう。

↑お店の前の道路も交通量はほぼない
着々と閉店時間に向かっていた閉店1分前、23時59分。
1台の車が駐車場に入ってきた。
1人の男性客が店内へ。
こういうこともあるだろう。
そして、日付が変わった。
閉店時間である。

男性客を店内に残したまま、閉店時間の1分後の24時01分、看板が消灯された。
その後、最後のお客さんがお店を出た後、窓ガラスにロールカーテンが下ろされた。
これがセブンイレブンが閉まる瞬間のリアル。
24時間営業が当たり前だと思っていたセブンイレブンの看板に灯りが灯っていない姿は、ふとしたタイミングでクラスメイトのパジャマ姿を見たときのよう。
いや、ちょっと違うか。
セブンイレブン閉店の様子を見ている間、パトカーの車内からおまわりさんの訝しむような視線を感じていたことは言うまでもない。
今度はオープンする様子を見に行くぞ
少し早起きした休日。
今度は別のセブンイレブンに開く様子を見に行く。
朝6時開店だというこちらのお店、5時45分にお店の前に行くと、駐車場には車が1台のみ。
開店準備するお店の人の車だろうか。

↑駐車所には車が進入できないようにバリケードが
こちらのセブンイレブン、私もたまに利用するのだが、いつの間にか6時開店、23時閉店となっていた。
残業で帰りが遅くなった同僚がここで夕食を買おうとしたらお店がやっていなかった、と聞いて時短営業していることを知ったのだ。

↑ドアにも営業時間6時~23時とある。エヴァンゲリオン?
開店10分前。
一人のお客さんが徒歩でお店を訪れたが、ドアの前で立ち止まり、6時開店の表記を目にしたのか店内には入らず引き返した。
24時間営業がスタンダードのセブンイレブンではなかなか見られないシーンだと興奮。
↑近所の人にも24時間営業じゃないというのが浸透してないのかな
開店5分前。
トラックがお店の前にやってきた。
商品の搬入だろうか。
また、お店の関係者らしき人が追加でやってきて開店作業のギアが上がる。
開店3分前。
店員さんが駐車場のバリケードを回収。
静かにオープニングムードが高まる。

最初の客になりたい
ここで私の中にふとした気持ちが芽生えた。
ーー私が最初のお客さんになりたい
通常の24時間営業のセブンイレブンなら「最初の客」という概念もないだろう。
でも、ここなら「最初の客」になれるのだ。
ほら、iPhoneの発売開始に並ぶ先頭の客とか、デパートの初売りで最初の福袋をゲットしインタビューを受けるマダムとか、投票箱の中が空っぽなのを確認できる最初の投票者とか…
その系譜に私も名を連ねられる、セブンイレブンで。

↑6時と同時にお店に駆け込むべくスタンバイ
開店1分前。
お店の中からレジ袋を抱えたお客さんらしきおじいさんが出てきた。
なんで???
いつの間に入ったの?開店前なのに?

↑レジ袋を持って出てくるおじいさん。ずっと見張っていたつもりだったがいつ入店したのかは謎。
おそらく、6時開店ということを知ってか知らずか来たお客さんを、開店前だからと拒んだりせずお買い物させてあげたんじゃないかな。
「営業開始前なのに悪かったねえ」
そんな感じの仕草で、入口付近で開店作業を進めるお店の人に声をかけて立ち去るおじいさん。
最初の客にはなれなかったけれど、セブンイレブンの懐の深さが見れたよ。
セブンイレブンがオープンするとまちに生気が宿る
そして午前6時、(本当の)開店と同時に私も入店。
開店してすぐのセブンイレブンは、おにぎりがびっしりと充実。
反面、レジ横のホットスナックの什器は空っぽだった。
私が入店した後、一人二人とお客さんがやってきて、誰もこのセブンイレブンが開店直後だなんてことを意識していないようにお会計を済ましていく。
セブンイレブンがオープンしたら、身体中に血が行き渡るようにこのまちも動き出した。
間違い探しみたいな光景の違和感がとれたみたい。
セブンイレブンのオープン/クローズで興奮できる喜び
これまでもデイリーヤマザキでは24時間営業じゃない店舗を結構見かけていた。
しかしコンビニの雄であるセブンイレブンの路面店で24時間営業じゃないお店があるというのは衝撃だった。
近頃は人手不足でコンビニバイトもなかなか集まらないとのこと、今後こういったお店も増えてスタンダードになっていくのかもしれない。
そうなれば、次第にセブンイレブンが開いていない、24時間営業じゃないことへの違和感もなくなっていくだろう。
セブンイレブンがオープンする/クローズするタイミングを見て興奮できるのも、今だけなのかな。
↑もうすぐ閉店だってさ