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遊び

めだかを食べる

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新潟県にはめだかを食べる食文化がある。

知らない人に話すと、
「かわいそう」
だの
「気持ちが悪い」
などと言われるが、食べてみるとこれがなかなか美味しい。

新潟県内でも阿賀町と見附市という少し距離のある2つの地域でめだか加工品を売っているのを確認した。
せっかくなので、食べ比べてみよう。


2種類の食用めだか

新潟県の北東、福島県に面する阿賀町に出かけた際のこと。
道の駅でこんなものを発見した。
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↑幻の奥阿賀の珍味 鹿瀬のメダカ


めだかの佃煮が瓶詰になっており、1瓶で約1,000円。
物珍しさでつい購入した。

そういえば、私の住む新潟県の中部に位置する見附市にも「めだか食」の文化があり、宴席の一品として供されたのを食べたことがある。
こちらも家庭用に瓶詰が売られているのを思い出し、いきおい購入した。
小瓶で1,000円。

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パッケージには「うるめの田舎煮」とあるが、めだかのことをそう呼ぶようだ。

阿賀町と見附市、どちらも瓶詰のパッケージが金の地に黒い文字で書いてあって似ているのが気になる。
(これは何の伏線でもないです)



見附市のめだかと阿賀町のめだか食べ比べ

さっそく手元にある2つのめだかを食べてみたい。

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↑フタを開けるとめだかがみっちり


まずは見た目を観察。
見附市のめだかはほんのり照りが感じられるのに対して、阿賀町のめだかは水分がなくなるまで煮詰めたような感じ。


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↑見附市のめだか。照りがある。

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↑阿賀町のめだか。煮詰めた感がすごい。


それでは実食。
最初に見附市のめだかから。
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これはあれだ!
実家のおせち料理に入っていた小魚の甘露煮の味!
(共感してもらえるかな)

おせち料理に入っていたそれは、めだかより大きくて少し太ったフォルムの魚だった気がするんだけど、なんの魚だったろう。
おせち料理の中でも特に好きで、そればっかり食べていた私。
今回食べた「うるめの田舎煮」の甘辛い味付けとめだかの持つほろ苦さが、私の脳内から妙なメモリーを引っ張り出してきた。

つまり、美味しい。

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↑ごはんにも合います!


続いて、阿賀町のめだかを食べてみる。


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↑しょっぱい!


いや、しょっぱいよ!阿賀町のめだか。
見附市のめだかに比べて、甘さよりも塩辛さが際立つ。

そんなリアクションは想定内です、と言わんばかりにパッケージに
お召し上がり方
大根おろしと一緒にお召し上がりください。
お茶漬けにしてお召し上がりください。
と書かれていた。

「おすすめの食べ方」とかじゃなく、これがオフィシャルな「お召し上がり方」なのね。

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パッケージに従順に大根おろしに乗せて食べてみると、あー、これはいいわ。
「しらすおろし」的に、温泉旅館の朝食で出会いたい一品になった。

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↑お茶漬けもよかった。めだかがしょっぱいので、シンプルにお湯をかけるだけでも美味しい。


見附市のめだかは小ぶりだが身がふっくらとしているのに対し、阿賀町のめだかは少し大きくてホロホロとしていた。
違いがあって非常に食べ比べのしがいがあったよ。

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村松藩の食文化

阿賀町と見附市は直線距離で50km、道路距離で言えばもっと離れている。
見附市に住む私も阿賀町を身近に感じることは少ない。
それがどうして、同じ「めだか食」という文化が残っているのか。
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調べてみると、阿賀町のほうのめだかは、五泉市の旧村松町で親しまれてきた味を生産者の方が阿賀町に持ち込んだとある。
五泉市と見附市(の一部)は、どちらもかつての村松藩の藩域。
つまり、村松藩における食文化だったと言えそうだ。


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見附青年会議所が1997年に刊行した『まちの宝物 見附市 栄町 中之島町』という本に「うるめの田舎煮」について
昔は各家庭で料理されていた「うるめ」なのですが、おもしろいことに「うるめ」を食べていた地域が村松藩内に限られていたようです。
との記述が。
併せて、めだか食は村松藩が貧しい藩だった故に生み出された食文化だったのではないかとの推測や、めだか食は村松藩の殿様が広めたという説があるとの言及もある。


実は、今回はたまたま阿賀町で生産されているめだかを見つけて取り上げたのだが、そもそも旧村松藩の五泉市では、いまでもめだかの佃煮が作られており、ふるさと納税の返礼品にもなっているようだ。


めだかおかわり

食べ比べの後も日々「めだか茶漬け」を楽しんだり、職場に持参するお弁当の白米の上にのせたりと愉快な「めだかライフ」を楽しむ私。

見附市では、かつては各家庭でめだかを捕まえて調理していたようで、1987年に刊行された『見附に伝わるふるさとの味』(見附市地域型食生活推進協議会 刊)という本には、
めだかは11月頃捕獲する。
と具体的な捕獲時期まで記してあった。

現在売られている「うるめの田舎煮」は、近隣他市で養殖しためだかを使用しているようだが、作り続けてくれていることに敬意を払いたい。

いや、「貴重な地域の食文化を残すべき!」とか堅苦しい話ではなく、めだかの味が気に入ったからこの先もフツーに食べ続けたいと思うのです。

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↑おかわりで大瓶も購入した

Commented at 2024-06-21 09:08 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by s_ogawa0728 | 2023-12-02 00:13 | 遊び | Comments(1)

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