「黒」「ブラック」と聞けば何やら悪名高かったり不穏なイメージが浮かぶ反面、「白」「ホワイト」には清廉だったり無垢な印象が漂う。
新潟県のご当地アイス「白アイス」もそう。
「白」のイメージにピッタリな純粋で素朴すぎるアイスを見つけたよ。
いざ!いざなわん、新潟に生息する深淵なる「白アイス」の世界へ。
白アイスとの出会い
ある日商店街を散策していると、味のあるアイス屋さんに吸い込まれた。
↑新潟県新発田市のアイスクリームショップ スギサキにて
趣きのあり過ぎる店内のメニュー表に見つけたのが「白アイス」の文字。
↑白アイスだけ130円て
「白アイス」ってなんだよ!と思った。
色の名前だけ付いたアイスってないじゃん、黒アイスとか、赤アイスとか。
いいのか、そんなシンプル過ぎる名前で。
白アイス、お前の正体はなんなのだ。
「白アイス」…名前だけ聞けば、はてミルク味かバニラ味か…
その実は砂糖水のような、いわゆる「みぞれ」ってやつだ。
ネーミングも素朴なら、味も素朴。
↑すぐ食べるなら柔らかくしておきますね、との店員さんの気遣い
正直にいえば、もっと美味しいアイスはあるだろう。
だけど、私はこの素朴さを買いたい。
歌唱力の一本槍でスカウトキャラバンに臨んできた少女のような。
何より「白アイス」っていう言い方がいいじゃないか。
↑このお店はいまは閉店してしまったとのこと
新潟ローカルで複数生息する白アイス
さっそくインターネットをたたくと、「白アイス」という名称で新潟県のさまざまなお店に分布するとの情報が。
となれば、ケンミンショーよろしく、これは集めねばならないと使命感に燃えたのであった。
上記のスギサキを含め、5軒のアイス屋さん・お菓子屋さんで白アイスを食べることができた。
ダイジェストでご覧いただこう。
↑新潟県見附市の谷信菓子店。白アイスを提供するお店はやたらと趣きがあるな。
↑かわいい袋に入れてテイクアウト
パッケージにはジャンルは氷菓、原材料には砂糖、水アメ、香料、氷酢酸とある。
食べてみればやっぱり素朴、砂糖水と聞いて思い浮かべるあの味。
インターネットの情報を下に訪れたが、すでに閉店しているお店もあった。新潟市秋葉区(旧小須戸町)は木村冷菓店。↑閉店のお知らせ…一歩遅かったか
白アイスは大手メーカーが作っているようなものではなく、地域の小さなお店がそれぞれで守り継いでいるもの。
もしかしたら、絶滅危惧種なのかも…
そう思うと、ますます早く集めなくてはならないとの気持ちがたぎる。
↑R.I.P.ふるさとアイス
つづいて、新潟県燕市の藤井菓子店。
ケーキなども取り扱う菓子店だが、白アイスも長く愛される看板商品とのこと。
パッケージには「なつかしい味」とある。
そういえば「みぞれ」のカップアイスって昔あったけど最近見なくなったよね。
↑お店の近くにあったこの公園を白アイス会場とする!
↑冷凍ケースから出したての白アイスはカチコチ
お店による味の違いは正直わからない。
もはや私の胸にあるのは、コレクター気質による「白アイスをコンプリートしなくては」との使命感だけである。
お次はイートインで味わえる白アイスを。
↑新潟市南区(旧白根市)のやまとや。やまとやパーラーとの呼称も。パーラーって響き、いいよな。
↑250円でこの食べ応え
白アイス、溶けてくると舌触りがなめらかになってより美味しくなるのを感じる。
ただし、いかんせん味が単調というか、その素朴さゆえに食べ進めると後半は飽きてくる。
(その酸いも甘いも教えてくれる感じが This is 白アイスなのだが)
そこに来て、最後に紹介するのが新潟市江南区の長谷川熊之丈商店。
ノーマル白アイスに加え、ミルクアイスやあんこが合盛りになった白アイスも展開。
これなら飽きが来ないね!
こちらの白アイスについてはファンの中でも解釈が分かれるところであり、一部の過激派保守層からは「他の要素を加えた時点で白アイスとは見做さない」との評価もある一方、白アイスを残し広めていくためには必要な措置としてリベラルを中心に支持を集めている。
というのは嘘で、あまりにも素朴な白アイスにはミルクアイスやあんこ等のトッピングが絶対に合うのである。
↑おいしいからこれが正解!
これで新潟県の現存する白アイスはコンプリートしたと自負している。
今年の夏の思い出は白アイス一色、お腹は白アイスでタプタプである。
しばらくはもういいかな、なんて思っているとふと食べたくなるのが、白アイスなんだろう。
いまからもうそんな気がしている。
↑あなたもおひとつどうぞ