上京して一番戸惑ったのは、都会の喧騒でも、電車の乗り方でもなく、東京の女の子だった。
なんだかそれがどうやっても太刀打ちできない強大な力を持った生き物に思えて、その存在の前では手足をもがれた。
自分とはあまりにかけ離れた存在。
話していても、笑いをとっても、敵うわけなんてない。
「東京の女の子」
そんなものはこの世には存在しないと今ならわかる。
この思考は差別的ですらあると思う。
けれど何度タイムマシンであの頃に戻っても、やはりその存在に打ちのめされてしまう気がする。
あなたが正体を明かさなくても、私は知ってる。
「東京の女の子」
それは私の頭の中にいるモンスター。