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2023年の大賞受賞作品は、海洋生物学者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるロラン・バレスタ氏が撮影したカブトガニと3匹のコガネシマアジ。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

世界最高峰の野生生物写真コンテスト2023、受賞作13点 ナショジオ写真家が大賞

2023.10.17
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 極寒の海で繰り広げられる捕食者と獲物の駆け引き。動物の母と子の安らぎのひととき。英国のロンドン自然史博物館が主催する野生生物写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」では、世界中の一流の写真家たちによる傑作が披露される。

シャチの群れが氷に向かって突進し、波を立ててアザラシを海に落とすという特殊な方法で狩りをしている様子。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー、バーティー・グレゴリー氏が撮影した。気温の上昇によって氷床の融解が進み、アザラシが陸地で過ごす時間が増えているため、今後、こうした狩りの方法は見られなくなるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY BERTIE GREGORY, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)<br><span style="font-size:15px;font-weight:bold;"> <u><a href="/atcl/news/23/091100466/" target="_blank">参考記事:バーティー・グレゴリー氏撮影「【動画】シャチのアザラシ狩りになんとクジラが乱入、なぜ?」</a></u></span>
シャチの群れが氷に向かって突進し、波を立ててアザラシを海に落とすという特殊な方法で狩りをしている様子。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー、バーティー・グレゴリー氏が撮影した。気温の上昇によって氷床の融解が進み、アザラシが陸地で過ごす時間が増えているため、今後、こうした狩りの方法は見られなくなるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY BERTIE GREGORY, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)
参考記事:バーティー・グレゴリー氏撮影「【動画】シャチのアザラシ狩りになんとクジラが乱入、なぜ?」
マイク・コロステレフ氏は、南アフリカのコシ・ベイの近くにある湖で、2年にわたってカバを撮影してきた。この写真は、母親と2頭の子を警戒させないように、十分離れたところからわずか20秒だけ水に入って撮影した。カバは2年から3年に一度、1頭の子を産む。個体数が増えるのに時間がかかるため、生息地の環境悪化、干ばつ、カバの肉や牙を狙った違法な狩猟などによる影響を受けやすい。(PHOTOGRAPH BY MIKE KOROSTELEV, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)
マイク・コロステレフ氏は、南アフリカのコシ・ベイの近くにある湖で、2年にわたってカバを撮影してきた。この写真は、母親と2頭の子を警戒させないように、十分離れたところからわずか20秒だけ水に入って撮影した。カバは2年から3年に一度、1頭の子を産む。個体数が増えるのに時間がかかるため、生息地の環境悪化、干ばつ、カバの肉や牙を狙った違法な狩猟などによる影響を受けやすい。(PHOTOGRAPH BY MIKE KOROSTELEV, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

 このコンテストは、写真を通じて保護が必要な野生生物の姿を捉えたり、人間の開発が自然にもたらす影響に目を向けたりすることで、地球に敬意を表し、科学研究を促進し、環境破壊に関する認識を広めることを目的としている。

ギャラリー:最高峰の野生生物写真コンテスト2023 受賞作13点(画像クリックでギャラリーへ)
ギャラリー:最高峰の野生生物写真コンテスト2023 受賞作13点(画像クリックでギャラリーへ)
メキシコの写真家、フェルナンド・コンスタンティーノ・マルティネス・ベルマー氏の作品。ユカタン半島を横断する観光鉄道の建設によって、メキシコのキンタナ・ロー州パアムルの自然環境が破壊される様子をとらえている。この鉄道は同国南東部に経済的利益をもたらすが、同時に生態系は分断され、保護区や遺跡は危険にさらされ、先住民の土地が破壊されることになる。(PHOTOGRAPH BY FERNANDO CONSTANTINO MARTÍNEZ BELMAR, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR)

 2023年の大賞をはじめ、選出された作品の中には、ナショナル ジオグラフィックの写真家たちのものも含まれる。いずれも、人間によって作り変えられた世界の中で、危うい状況に置かれている動物たちを写したものだ。

 大賞に輝いたカブトガニの写真は、海洋生物学者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるロラン・バレスタ氏が、フィリピンのパンガタラン島近くで撮影した。後をついてきている3匹の小さな魚(コガネシマアジ)は、カブトガニが海底の泥の中の食べものを巻き上げてくれることを期待している。(参考記事:「カブトガニ 大きな甲羅で時代を超える」

 この海域では、カブトガニは保護されている。1億年以上も生き延びてきたカブトガニだが、現在は絶滅の危機にある。その理由の一つは、カブトガニの血液がワクチン開発において重要な役割を果たしているためだ。

 それでは、2023年のコンテストの受賞作を紹介しよう。

次ページ:雪の中を疾走するバイソンほか

ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー、過去の受賞作品集
「2022年の受賞作12点」
「2021年の受賞作15点」
「2020年の受賞作15点」

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