Photo Stories撮影ストーリー
高い位置から急須へ湯を注ぐ。中国、四川省で撮影。(PHOTOGRAPH BY TUUL AND BRUNO MORANDI)
茶は、水に次いで世界で2番目に最もよく飲まれている飲み物だ。言い伝えによると、紀元前2737年、中国の神農という伝説上の皇帝が湯を沸かしていたところ、器の中に偶然茶葉が入ったのが始まりだという。
それから4700年、茶は全世界に広がった。インドやネパール、日本、ケニアほか多くの国々で茶葉が栽培されている。緑茶、ウーロン茶、紅茶、白茶など様々な種類があるが、すべては同じチャノキ(Camellia sinensis)から作られる。長い歴史のなかで、茶は貨幣や献上物として使われたり、貴重な農産物として税金をかけられたりもしてきた。(参考記事:「ナポレオンも撃退した!レモンの博物誌」)
私、リサ・シーは、最上の一杯のお茶を求めて、中国を旅することにした。私は子どものころから茶を飲んでいるが、専門家でも何でもないので、今回の旅には案内役が必要だった。そこで、オンラインのプーアル茶専門店「版納茶荘」のリンダ・ルーイ氏、茶の輸入販売業を営むジェニー・ドッド氏、そしてネパールで茶園と加工工場「ホライズン・パルドゥ・バレー・ティー」を経営するブッダ・タマング氏に同行を依頼した。私はただのライターだが、他の3人はいずれも茶の専門家である。
私たち4人はまず、中国広東省広州に集合し、茶の専門店が軒を連ねる世界最大の芳村茶葉市場を訪れた。その後、雲南省へ移動した。昆明(クンミン)を通過して景洪(ジンホン)へ飛び、運転手のリー・リンさんの出迎えを受けた。ここは、雲南省最南、ミャンマーやラオスと国境を接するシーサンパンナ(西双版納)タイ族自治州の中心地だ。
元教師のリーさんは、現在は定年退職して、茶葉の収穫期になると車で観光客を案内しているという。リーさんの運転はことのほか慎重だった。「外国人と一緒に事故に遭うと色々と面倒ですから」ということだ。まもなく、孟海(モンハイ)という小さな町に到着した。ここを拠点として各地の茶山を訪れる。
おすすめ関連書籍
人気の「一生に一度だけの旅」シリーズ第3弾が登場!世界各地の食文化に熱い思いを寄せる旅人の夢をかなえる一冊です。
定価:3,080円(税込)