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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

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2024年度の消費者トレンド予測—生活者の消費行動とメディア利用の変化—

NRIによる「2024年以降消費・メディア利用動向予測」 対策方針は価値実感引き上げとメッセージ注力

 近年、不安定な社会情勢とともに慌ただしく変化している消費者の行動パターン。改めて知っておくべき消費およびメディア利用の傾向とはなんだろうか? 本連載では、野村総合研究所(以下、NRI)のコンサルタントが自社で収集してきた調査データを基に、2023年度までに起こった消費とメディア利用の変化の振り返り、2024年度以降のトレンド予測を前後編の2回にわたって共有。後編である本稿では、消費動向とメディア利用の二つの視点から、今後採るべきマーケティング戦略のヒントを見極める。

価格上昇にともなう「コスパ意識」の上昇

 前回の記事で説明した通り、2023年度までの消費動向には、「コロナ禍明け」というキーワードが浮かび上がる。コロナ前からの変化として、消費者の興味が細分化され、消費行動の多様化が顕著になっている。特に、それぞれの興味対象に対して時間やエネルギーを注ぐ傾向が強まり、選択と集中が進んだ。この変化は、消費者が自分の興味に対してより積極的に投資するようになったことを示している。では、今後どうなるのか。今回は、2024年以降のトレンドを予測する。

 まず、今後の消費動向を予測すると、コロナ禍明けで加速した「消費の多様化」の特徴を引き継ぎつつも、価格高騰に対するリアクションが加わると予想される。現在、円安および原材料価格・物流費の高騰が続き、食品やサービスなど幅広い分野で値上げが続いており、家計への圧迫が続いている。

 これにともない、消費者の意識も変化し、値上げラッシュの2022年以降、「できるだけ長く使えるものを買う」「価格が品質に見合っているか検討する」といったコスパ意識が上昇している。そのため、消費者は同じ商品を安く買うためのバーゲンハンティングや、安価な商品へのブランドスイッチ、購買量を減らす買い控えなどの行動を取ることが今後加速していくだろう。この傾向は消費者が限られた予算の中で最大限の価値を求めるための合理的な行動だと言える。

【クリックすると拡大します】

安すぎるだけではダメ!求められる商品の“価値実感”

 このように、消費者は価格高騰にともないコスパ意識が向上しているが、この対応は商品カテゴリーによって異なる。たとえば、生鮮食品では安ければ良いというわけではなく、安すぎることで安全性を気にしてしまう人も多く、購入を避けられてしまうことも少なくない。また、日用品はブランドへの慣れ親しみが強いため、相対的に価格の影響は弱くなる。

 このような商品カテゴリーごとの対応種類を大別すると、次のようなグループに分類できる。

  • ブランドへの慣れ親しみが強い「聖域グループ」
  • 必需性が低い「嗜好品グループ」
  • ブランドへの慣れ親しみが強いが消費が速い「消耗品グループ」
  • 安すぎると品質が心配される「品質足切りグループ」
【クリックすると拡大します】

 これらの各グループへのアプローチに加えて、商品の価値を高めて商品のコストパフォーマンスを上げることが今後は、全グループに対して共通で求められる。ちなみここで言う商品の価値は商品の質や量だけではなく、商品の価値実感を高めることが重要になる。

 では、価値実感を高めるためには具体的には何をすれば良いのだろうか。

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価値実感を高めるための二つの方法

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この記事の著者

松下 東子(マツシタ モトコ)

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部 チーフコンサルタント

 1996年東京大学大学院修了後、野村総合研究所入社。以来、一貫して消費者の動向について研究し、企業のマーケティング戦略立案・策定支援、広告・プロモーション効果測定および広告戦略策定支援、ブランド戦略策定...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

森田 光一(モリタ コウイチ)

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部  エキスパート

 調査・コンサルティング会社を経て、2016年に野村総合研究所に入社。データ分析によるマーケティング/プロモーションの戦略構築・効率化支援に従事。感覚のみによるマーケティングからの脱却を念頭に、データ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/07/30 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45994
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