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第107号(2024年11月号)
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「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

消費の好循環が起きる構造を可視化――消費者の「欲望」「消費」「心理変容」の因果関係から得られる示唆

 電通の消費者研究プロジェクト「DENTSU DESIRE DESIGN(DDD)」のメンバーに寄稿していただいている本連載。今回は、DDD提唱の消費者行動モデル「消費の好循環」を可視化するべく行われた分析結果を共有いただきました。欲望・消費・心理変容の因果関係を明らかにした今回の分析には、企業が消費者と持続可能な関係性を構築していく際のヒントが隠れています。

「消費の好循環の可視化」を試みた分析結果を紹介

 電通グループの消費者研究組織である電通デザイアデザイン(以下、DDD)は、定期的に「心が動く消費調査」を実施しています。この分析から導き出したのが、いまの消費者が持っている「11の欲望(図版1)」や「消費の好循環(図版2)」のフレームです。

図版1「消費者11の基本的な欲望」
図版1「消費者11の基本的な欲望」
図版2「欲望行動モデルと消費の好循環」
図版2「欲望行動モデルと消費の好循環」

 今回DDDは、これらの分析・研究を行ってきた知見や経験をベースに、2024年5月に実施した調査結果を踏まえて、さらに深い分析を実施。具体的には「消費の好循環の可視化」を目的に分析を行い、どのような欲求が「消費の好循環」につながるのか、という因果関係を明らかにしました。本稿では、本分析結果をメインに解説をしていきたいと思います。

※消費の好循環:消費者と企業の持続可能な関係性構築のために、継続的にブランドロイヤリティを高めて新しい需要を喚起し、次の消費につながるメカニズムを表現した言葉

 消費の好循環を実証するため、まず我々は「心が動く消費」ではどのような要素(欲望)が満たされているのかを分析しました。

 すると、「誰かの役に立ちたい、世の中の大切なものを守りたい」「好きなモノを集めたい、好きな事に没頭したい」という2つの欲求が、心が動く消費の基点となっていることが明らかに。そこから「新たにやりたいことや、新しいものへの意欲がわいてきた」という消費者の熱意の広がりが起き、さらにその先に「同じ商品・サービス、または同じブランド・企業の同じタイプの商品・サービスを購入した、あるいは購入したいと思った」と、企業やブランドに対するロイヤルティが高まる方向にも作用していくことがわかってきました。

 この分析結果の見方も交えながら、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

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立木 学之(タチキ ガクジ)

株式会社電通 第4マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部 ソリューションプランナー/電通デザイアデザインメンバー

2003年電通入社以来、消費者研究センターや電通総研など主にマーケティング部門に所属。デジタル部門でビール、航空、食品、自動車関連、製薬、金融など多くの企業のデジタルマーケティングのプラン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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