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『MarkeZine』(雑誌)

第110号(2025年2月号)
特集「イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

書評

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成果につながるリサーチ

「それ意味ないですよ」も伝える。アサヒビールの消費者インサイト室長に聞く、リサーチ活用の極意


 「‎アサヒスーパードライ ç”Ÿã‚¸ãƒ§ãƒƒã‚­ç¼¶ã€ã‚„「未来のレモンサワー」など、新体験の商品でもヒットを飛ばしているアサヒビール。そんな同社では近年、社長の松山氏の下で消費者インサイトを基軸に「お客様中心のマーケティング」を実践すべく改革を推進してきた。その舵取りを担う重要組織が「消費者インサイト室」だ。前身となるマーケティングリサーチ室から現在の名称に変わって約2年、どのような活動を行ってきたのか。そして、企業がリサーチを有効活用するために何が必要と考え、どのような手法を重要視しているのか。室長の江尻昌弘氏に聞いた。

リサーチ専門部隊の進化系「消費者インサイト室」

━━江尻さんは消費者インサイト室の室長とうかがっています。これまでずっとリサーチ業務をご専門にされていたのでしょうか。

画像を説明するテキストなくても可
アサヒビール マーケティング本部 消費者インサイト室 室長 江尻昌弘氏

 元々は商品開発やマーケティングに携わっていました。当初はカルピス社(現アサヒ飲料)に入社し、研究開発を行っており、その後マーケティングセクションに異動し、製品開発やギフト商品のマーケティングに携わりました。現在のアサヒグループ(ホールディングス)になってからは、アサヒ飲料で商品開発やリサーチに従事。現在所属するアサヒビール消費者インサイト室には2022年9月に異動し、2023年1月から現職の室長を務めています。

 実は消費者インサイト室自体も2022年4月にスタートしたばかりで、そんなに古い組織ではないんです。

━━そうなのですね。組織で取り組まれている業務内容を教えてください。

 消費者インサイト室は元々リサーチのセクションだったので、リサーチが主業務ではあるのですが、リサーチ“だけ”の部門ではありません。大切なのは、様々なリサーチやそこから得られた分析結果をよく見て、意思決定者やブランド担当者に対し「このデータの情報はこのように考えるべきです」と情報を解釈するためのアドバイスを行うことです。

━━「元々リサーチのセクションだった」とお話しされましたが、以前のリサーチ部門と位置付けはどのように異なるのでしょうか。

 以前は「マーケティングリサーチ室」という名称で、まさにリサーチを行うことが主目的でした。「リサーチを行うことではなく、消費者インサイト(の探求)によるマーケティングを行うことが主目的のはず」と改めて捉え直したことで現在の形になったのです。

 今アサヒビールでは社長の松山の指揮の下、会社全体で消費者インサイトを基軸に「お客様中心のマーケティング」を実践していこうとしています。消費者インサイト室はその活動を引っ張る役目だと私は理解しており、マーケティングリサーチを通してお客様を“ありのまま”に見て、その消費者インサイトとデータに基づくマーケティングを全社に推進しています。

マーケティング部門全体を俯瞰したインサイト活用を推進

━━マーケティング本部内での位置付けをもう少し詳しく伺いたいです。本部のなかには他にどのようなチームがあり、どう分かれていますか?

 アサヒビールのマーケティング本部は、業務内容に応じて大きく三つに大別されます。

 一つは「カテゴリー部門」で、一般的なマーケターの業務です。具体的には主力製品である「ビール」、レモンサワーなどの「RTD(Ready to Drink:すぐに飲めるサワーや酎ハイなど)」、そのほかにもワインやウイスキーなど複数のカテゴリーがあります。

 もう一つは「研究開発部門」で、開発、基礎的・技術的な検討を主業務としています。

 最後に「機能部門」です。これは全社マーケティングを円滑に進める立場や、カテゴリーを横断して専門的な役割としてサポートを担うチームの集合体で、消費者インサイト室はここに該当します。

━━消費者インサイト室は具体的にどのような機能を持っているのでしょうか?

 消費者インサイト室の役割は大きく三つあります。

 第1に「消費者インサイトを起点としたマーケティングの指揮・推進」、第2に「マーケティングリサーチ業務」、第3に「消費者価値探索研究からの実務への活用」です。

 カテゴリー部門のマーケター、つまりブランド担当者はどうしても「自分のチームが扱っている商品カテゴリー」のマーケティングを考えがちなので、私たち消費者インサイト室はマーケティング全体をもう少し俯瞰して見る役割を担っています。

━━「消費者価値探索研究からの実務への活用」とは?

 一言で言えば「自由研究」に近い活動です。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/11 15:25 https://markezine.jp/article/detail/47314
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