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アトランティスに存在した伝説の金属「オリハルコン」なのか?2600年前の難破船から合金を回収

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 哲学者「プラトン」の文献にその名が記され、今なお多くの研究者や冒険家の心を捉えて放さない幻の島「アトランティス」。

 伝説の失われたこの大陸には、火のような色をしたの銅系の貴重な合金「オルハルコン」が豊富に存在したとされている。

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 2016年、イタリアのシチリア島の海岸付近に眠る2600年前の難破船から、伝説のオリハルコンらしき合金と当時の遺物が次々回収され再び話題となっている。

 この船からは2015年に39個の合金が見つかり、今年の水中探査ではそれを上回る47個もの塊のほかに古代ギリシャの兜も見つかったため専門家による新たな研究がすすめられているという。

TFN TeleFuturaNissa Caltanissetta

伝説のオリハルコン?古代船から続々回収

 オリハルコンは古代ギリシャの哲学者、プラトンの著作に登場する伝説の金属で、幻の島アトランティス(関連記事)に存在したとされている銅系の合金だ。

採掘されたオリハルコンは、「アトランティスに建てられたギリシャ神話の神ポセイドンの神殿の一部を覆った」との記述で知られている。

 哲学者、プラトンによるとポセイドンの神殿や王宮はオリハルコンで覆われ、赤い光を放っていたという。

 神殿の天井は象牙が使われ、その装飾に金、銀、オリハルコンが使われていた。またポセイドンが定めたとされるアトランティスの法は、最初の王たちによりオリハルコンの柱に記された、と伝えられている。

 オリハルコンはその可塑性、変色しにくさ、耐久性(銅よりも強い)、そして金に似た外見から高く評価されていた。 ローマの時代には、金と置き換えられることもあったという。

オリハルコンの正体は?

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image credit:Youtube

 2014年の終わりごろ、シチリア島沖で2,600年前に沈んだと思われる難破船から、フランチェスコ・カッサリーノというダイバーによって40個のオリハルコンと思われる金属が発見された。

 その後、2016年2月には、最初の発見場所から数十メートル離れた場所でも、新たに47個の金属が発見された。

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image credit:Youtube

 現在オリハルコンは、亜鉛鉱石を木炭と銅に反応させると得られる黄銅(真ちゅう)にも似た合金という説が有力だ。

 そしてシチリアの海で発見された合金の成分は、蛍光X線による分析から銅75~80%、亜鉛15~20%のほか、少量のニッケルや鉛、鉄を含むことが明らかになっている。

古代ギリシャの兜も

 さらに今回の難破船の探査では、合金のほかに古代ギリシャ時代の兜(ヘルメット)も2つも回収され、海賊の攻撃を防ぐための装備品の一部ではないかという説が上がっている。image credit:Youtube
古代ギリシャ時代の兜と合金の塊

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image credit:Youtube

T字型の鼻あてが特徴だ

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image credit:Youtube

 しかし仮説はこれだけにはとどまらない。

 今回の発見に関わった考古学者でパレルモの海の管理者でもあるセバスティアーノ・トゥーザによると、こうした品々は神に捧げられた供物である、という説も浮上しつつあるという。

考古学的に貴重な資源

 なお、歴史的発掘の舞台となっている難破船は、ギリシャからシチリア島のジェーラに向かう途中で突然の暴風雨に巻き込まれ、港に入る直前に沈んだ可能性が高いという。当時のジェーラは職人の作業場が多数ある裕福な都市だったそうだ。

 トゥーザが率いる探査チームのメンバーは、こうした難破船は考古学的な発見が見込める貴重な資源であると語っている。

 シチリア周辺の海には同様の古代の船があと2つもあるため、いにしえの謎に迫る手がかりは今後もまだまだ見つかりそうだ。

アトランティスは本当に存在したのか?

 シチリア沖でのオリハルコンの発見は、アトランティスの遺跡が手の届くところにあるかもしれないと多くの人々が期待を寄せた。だがこれまでのところ、その理論を裏付けるものはない。

 だがオリハルコンに関する研究と発見は、古代の文明とその物質そのものに関する我々の理解を深めるだけでなく、失われたアトランティスの謎を解明する手がかりとなる可能性を秘めている。

via:rt・translated D/ edited by parumo

2017年03月08日の記事を編集して再掲載してお届けします。

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この記事へのコメント、33件

コメントを書く

  1. オリハルコン、錆びるんだ…

    そういや固いとか金みたいという伝聞はあったけど
    錆びないとは言ってなかったな

    1. >>1
      錆びたように見えるのは、海底の泥が固着しているだけでは?

  2. オリハルコンが空想ではなく実在したのであれば、ヒヒイロカネとオリハルコンが同じものだという説が事実である可能性もあるのか?

    1. >>2
      銅系の合金は赤くなりやすいですね。ヒヒイロカネが赤いなら近いかも。しかも銅が含まれているとまったく錆びないとは言わないですが腐食にも比較的強いと見られます。
      こういうのって夢があるな~といつも思います。

  3. オリハルコンとか伝説の素材や新素材を組み合わせてオーバーテクノロジーのUFOつくれたりしないのかい

  4. 分析されたらRPGの装備の評価が変わってしまうw
    オリハルコン、ミスリル、アダマンチウム、ヒイロカネ、
    そして、、、ガンダニュウム合金。伝説の金属に胸熱。

  5. オリハルコンって合成金属なんだ
    勝手に鉱石みたいなイメージだったわ

    1. >>10
      ハクスラ系のゲームとかだと特定の場所にオリハルコン単体でニョキって生えてるよね
      すくなくともそんなふうに生えてねーだろって思いながらプレイしてる

  6. 聖闘士星矢のゴールドクロスが黄銅ということに…。一気に安っぽくなるw

  7. オリハルコンが実用的な金属であったことは間違いなさそう
    海中にあっても腐食や貝などの付着もほぼないみたいだし

  8. 昔は偽史・オカルトだったのがきちんと考古学的比定までされるようになったんだなオリハルコン
    昔から何かの合金のことではないかと思っていたから我が意を得たりの気持ちだ。
    ヒヒイロカネも恐らく鉄の何らかの合金だと思っている。

  9. 漫画やゲームのせいでもの凄い物だと思っていたけど真鍮みたいなのなんだ……
    勝手だけどなんかガッカリ……

  10. 合金には色々な種類がある
    例えばステンレスには用途なんかに合わせて複数種類がある
    オリハルコンだと銅合金といっても産地と製法の違いによって区別できる違いがあったのだろう
    元素なんてわかっていなかった時代だからブランド名というか別物という扱いでも不思議ではないよね

  11. うっかりトースターに放置してカチカチになったフライドポテトかと思った

  12. ファンタジーでは、アダマンタイト、ミスリル、オリハルコンといった単体の鉱物があるけど、史実では秘伝のレシピで作られた合金なんだろうね。きっと色々試してたら奇跡的に美しい色合いの金属が生まれたんだと思う。太陽=神の時代、太陽の輝きのようなものが生み出せたらそら神への供物にするだろうし、神の金属に違いないと思っちゃうよ。銅や鉄のように腐食に強い合金の発明は画期的だったと思う。

    科学の発達した現代でもアルミ合金、チタン合金、ステンレスなんかは硬く錆びない神の金属だと思う。

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