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山火事で救出されたオス馬が、母馬と子馬を助けるため、危険が迫る火災現場へ戻っていく(アメリカ)

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 10月23日にカリフォルニア州で発生した山火事は、州全体に緊急事態宣言が出るなど深刻な被害が広がっている。

 南部ベンチュラ郡にあるシミバレーでも発生した火災は、強風に火の手が煽られ、瞬く間に広がった炎がわずか数時間で1300エーカー(約526万平方メートル→東京ドーム約113個分)以上を燃やした。

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 この地域には、優秀な競走馬が飼育されている厩舎があり、早朝の火災に厩舎の関係者や多くのボランティアたちが馬を避難させようと奔走。

 その様子を映し出していたメディアのカメラが、ある1頭の馬の驚くべき姿を捉えた。

Horses Try And Escape Flames As Easy Fire Burns In Simi Valley

炎と煙が迫る中、1頭のオス馬が厩舎に戻る

 前代未聞の危険レベルに達したと言われている今回のカリフォルニア州での山火事は、複数の地域の広範囲を急速に焼きつくし、ワイナリーなども大きな被害を受けた。

 南部のベンチュラ郡では、30日の早朝に火災が発生。同郡シミバレーには競走馬として優れた価値のある馬たちが飼育されている厩舎があるが、その近くにもあっという間に火の手が上がった。

 厩舎スタッフや、多数のボランティアが早朝から馬や他の家畜たちを納屋から避難させようと奔走し、主要道路に誘導していた。

 その時、1頭のスタリオン(オス馬)が一度は救助されたにも関わらず、踵を返して逆方向へと走り出したのだ。

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 メディアのカメラがその姿を追うと、オス馬は炎が上がり煙が充満する厩舎へと走っている。

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 そしてカメラは、驚くべき光景を捉えた。

オス馬は家族を助けるために戻ったのだった

 厩舎にオス馬が近付くと、子馬と母親らしきメス馬が駆け寄ってきたオス馬のもとへ走って来た。

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 おそらくこの2頭はオス馬の家族なのだろう。オス馬は自分だけ先に救助されたものの、家族が心配で居ても立ってもいられなかったようで、自ら救出に駆け付けたとみえる。

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 その間も、人々は迫りくる火災の中必死で馬や家畜の救助活動を行った。

 おかげで1頭を除く全ての馬を避難させることができた。その1頭は、炎から逃げようとした際に前脚を2本骨折する怪我を負ってしまい、安楽死を余儀なくされたとのことだ。

馬や家畜は地域の動物愛護協会に無事保護される

 現在、シミバレーにあるベンチュラ郡動物愛護協会(Humane Society of Ventura County)が、救出した馬や家畜を保護している。

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 同協会のフェイスブックでは、多くの人の親切によって馬や家畜の命が救われたと感謝の言葉を綴っている。

 なお、ベンチュラ郡消防局によると、火災は10月31日の夕方に1723エーカー(約697万平方メートル)という広範囲に広がり、1000人以上の消防隊員らが消火活動に尽力しているが、現時点ではまだ10%しか鎮火活動ができていないとのことだ。

 火災ピーク時には、この地域だけで住民約3万人に避難命令が出され、およそ7千もの建物が被害に遭ったことが報告されている。

 ちなみに、カリフォルニア州での山火事は、毎年起こる度に大きな被害を生じているが、特に2017年に南部で起こった火災では、調教センターにいた競走馬が50頭近くも犠牲になったという。

※追記(2019年11月4日)本文を一部修正して再送します。

References:CBS Los Angelesなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント、37件

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  1. 馬は足を骨折すると、安楽死以外に選択肢がないからね
    まったく、走り屋稼業も楽じゃないって事だね
    スピードを出して走る!という点では究極の生き物なんだけど

    それにしても、家族と無事に会えて良かった

    1. ※1
      馬(主に競走馬)は確かに骨折してしまうと、他の脚に負担がかかって炎症(蹄葉炎)を起こして死に至るので、骨折=すべて安楽死と思われがちですが、体を吊って骨折治療をする場合も結構あります。ただし複雑骨折の場合は安楽死になることが多いです。それは四つ脚の動物(主に草食)は骨折して立てなくなったりすると内蔵が壊死するからです。なので牛も羊もゾウも同じです。例え吊っていても、歩けない状態が続くと起こります。
      それは相当辛苦しい状況なので、苦しむ前に安楽死が選ばれるのです。(以前、ゾウも治療の甲斐なく内臓壊死が始まり、安楽死を選択した動画を見たことがあります)

      1. ※23
        脳みそカラッポのアホみたいに「可哀想」とか抜かそうかと思ったけど、そういう理由があるんですね。勉強になります。
        まさに可愛い可愛いだけじゃ子供も動物も育たないですね。
        命を預かるって本当に重いです。

    1. ※2
      白と茶色の馬2頭も、他の人達が牽引している映像がNBCLAのニュースにあったから助かっていると思いますが・・・

  2. 前に豪州の牧場の人に「普段の馬の群れは経験豊かな比較的年配の牝馬が先導していて、何か危険があると牡馬が先導する」と聞いたことがあるのだが、牡馬が力強いのには理由があるのだな。お父ちゃん逞しい。

    1. ※4
      野生だった頃に、肉食獣に襲われた時にリーダーのオスが立ち向かっていってた頃の名残らしい。
      一頭のオスがメスを独り占めしてる状態なんだけど、それに見合う危険も背負ってて馬のオスは大変だと思った。

  3. 日本も災害の時に家畜やペットを預かる施設を作ったほうがいいよね。これだけ災害が続いているのに動物の避難に関して何の対策も取ってないのは怠慢だと思う

    1. ※5
      このコロナ禍で立ち行かなくなった旅館などで手を挙げるところはないだろうか。
      例えば普段は動物と泊まれる宿or動物と触れ合える宿として運営、登録会員は少しお安くお宿の利用ができて、いざというときは一時預かりをしてくれる。とか。
      あるいは飼い主が突然の災害で亡くなられたり買えない事情ができたりしたとき引き取って、宿で次の飼い主が現れるまで預かる、とか。
      移動が難しいほど遠くだったりしたら、移動だけボランティアとして手を貸してくれる人を準会員としてもいい。
      アイデア次第で何かできそうな気がするんだがな。

  4. 大種牡馬だったから牧場の牝馬は全部俺の嫁状態だったんだろうw

    1. >>6
      なにわろとんねん
      つまりちゃんと俺の嫁も子供もみんな守るってことやないかい

  5. 一人女の人が白い馬を助けに行ったように見える
    それを映さないのが間抜けに見える。

    1. >>12
      厩務員さんが子馬探しに行ったね。
      お父さん馬も勇敢だが、厩務員さんも逞しいよね。

  6. 山火事は範囲もどんどん広がってしまってなかなか消火が追い付かないね…
    人も動物も心配です。

  7. 日本でもエリモ農場とか山元トレーニングセンターで競争馬が焼死することがあった
    半数は訳もわからず立ち尽くし、もう半数はパニックになるんだけど、まれに炎に突っ込んで活路を開く勇敢な馬がいると聞く

  8. 普段から3頭一緒にいるのかな。
    ディープインパクトのような有名な種牡馬だと年間200頭位に種付けするからどれが子供だか分からないもんな。

  9. カリフォルニアの火事ほんとやばいな
    ハイウェイの隣まで燃えてるのに封鎖にならないのがすげえと思う

  10. 馬が柵の中以外で自由に走りまわるのを見たことがなかった
    そのせいで馬の意思がどんなものかを、家族を思いやる気持ちがあるかどうかを、知る機会がなかった
    私達はあまりに動物を管理しすぎて、動物達の生態や気持ちを知る機会が激減しているのかもしれない

  11. 父ちゃんかっこいい
    子んまさん母子も助かって良かった
    (*つДT)

  12. しっかしどこの世界でもアナウンサーってのはうるさいなあ
    もともと自己顕示欲で爆発しそうになってるような奴ばかりだし
    無駄に声でかいし

  13. 活路の方向が火の迫る方だったのでママンも迷ってたんだね
    助けに行く父ちゃんのカッコよさったら語り草だね

    上の方にいた白馬さんらは厩務員さんが助けたのかな?

  14. 買い主家族のために火事の車に戻って、自分だけ亡くなったチワワの話を思い出した…

  15. 阪神淡路大震災でも、東日本大震災でも、
    妊娠している嫁をほったらかして、自分だけ逃げた夫達(元夫になったらしい)には、
    爪の垢を飲んで欲しい

  16. 馬ですら家族を大事にするのに自分ときたら、子供とか金はかかるし面倒くさいしいらないとしか思えないのは何故なのか。

  17. カメラが途中で反れたのでよく見えなかった。
    煙から出てきたのは母馬らしき額と鼻先が白い茶色馬だけで
    戻って行った黒毛?と仔馬(黒毛っぽい)は?
    別の馬を引いていた女性が走っていったのはそちらを誘導しに行ったのかな。
    上の方に居た白っぽい親子馬は下に降りようとしているところがチラッと見えたけど、
    カメラがあっちこっち映そうと動くので良く分からんかった。
    記事では骨折して安楽死になった馬以外は救出できたとあるので、何とか逃げられたと思いたい。

  18. このニュースの裏側をInside Editionで見ると、この馬はスタリオンではなく、
    おばあちゃん馬。名前はプリエタ。
    2ヶ月齢の孫馬オニキスちゃんが逃げ遅れたのを見て、助けに走ったのだって。
    一緒にいた栗鹿毛の美しい馬も助かり、先に逃げていたママ馬モナリザちゃんも、もちろん助かったとのこと。
    飼育員さんによると、「母親が仔馬を助けに走るのは自然なことです」と。
    向こうに見えた白っぽいクリーム色がかった葦毛の馬も助かって、後日取材陣が訪れた時には、隣に繋がれていました。

    おばあちゃん、強いな。「まっ、大変!うちの孫が逃げ遅れているわ!」って。

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