写真はMail online
日本は、原子炉を救う戦いに負けたようだ
Japan may have lost race to save nuclear reactor
Guardian紙の3月29日の記事からです。
(以下、翻訳・要約)
福島原発の原子炉ユニット設置に携わった米国GE社の元「沸水型原子炉の安全性研究のヘッド」だったリチャード・レーヒー(Richard Lahey)氏が、福島原発事故についてGuardian紙に語っているものです。
福島第一原発の炉心の溶融は、どうやら、格納容器の底を溶かして、コンクリートの床に流れ落ちているようだ。
原子炉の安全を確保することは失敗だったようだ。
だが、チェルノブイリのような破滅的な事態に至ることはないと思う。(これは3月29日の時点の話)
少なくとも、2号機の溶け出した炉心の一部が、圧力容器の鋼鉄製の「下側のヘッド」に流れ出したように推測できる。炉心の一部が、圧力容器の底を抜いて、外側の格納容器に溶岩のようになって、いくらか流れ出ているものと思われる。
私の見立てが間違っていることを願うばかりだが、何より、いくつかの証拠が、そう物語っている。
溶け出した核燃料が、格納容器(上のイラストのsteel containment vessel)を破ってしまうと、ドライウェル(concrete shell “drywell”)下部のコンクリートと化学反応を起こす。
そうなると、周囲に放射性のガスを放出する。
福島原発の場合は、ドライウェルは海水で浸されている。それは、溶け出した核燃料を冷やし、放射性のガスの放出量を減らすことになるだろう。
溶け出した核燃料は、ひとつの塊としては出てこないだろう。おそらく溶岩のような形で流れ落ちているのだろう。そのほうが、冷却しやすくなる。
ドライウェルは放射性物質が外に逃げるのを妨ぐために設計された鉄鋼とコンクリート構造によってできている。
しかし、原子炉での以前の水素爆発によって、破損したかもしれない。
気がかりなのは、格納容器から外に水が漏れ出していることだ。それが高い放射能の濃度を持っていること。
それが炉心から漏れ出している、ということ。
海水中の放射能濃度が上昇していることから、この受け皿的な役目を果たしている最後の砦であるドライウェルも破損しているようだ。
火災と水蒸気爆発を起こしたチェルノブイリのようなことにはならないだろうが、環境には良くない。
現時点では、チェルノブイリ規模の惨事にはならないと思われるが、「別のスケールの惨事」になることは考えられる。
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管理人:
福島原発の原子炉設置工事に携わったGE社のリチャード・レーヒー(Richard Lahey)氏は、29日の時点で、2号機の炉心が溶岩のようにドロドロに溶けて、圧力容器を突き抜け、ドライウェルのコンクリート床に落ちているのではないかと指摘。
でなければ、あれほどの高濃度の放射能汚染水など漏れるはずがない、と言っているのです。
ただ、幸いなことに、溶け出した核燃料の形状が、塊ではなく溶岩のようになっているので、比較的、冷却しやすいと話しています。
いずれにしても、メルトダウンは確実に進んでいるようです。
すでにコンクリート床と反応しているのですから、コンクリート床をも突き抜けてしまえば、冷却もできなくなります。外に、一気に放射性物質が大量にばら撒かれることになり、首都圏を含む広い範囲が高濃度の放射線被曝をするかもしれません。
で、その冷却ですが、格納容器から水が漏れ出していることが非常に気になります。
水が抜け出てしまうことにより、十分冷却できていないようですから、コンクリート床をじわじわ溶かしているのかしれません。
東電も原子力安全・保安院も、こんなことは百も承知なはずなのに、記者会見で、このことを仄めかすようなコメントを出したのは、後のことです。
この時点では、政府だけは、まだよく理解できていなかったようです。
そして、今日、東電顧問の榎本聡明は、廃炉に不可欠な核燃料の取り出しに着手するまでに約10年かかるとの見通しを明らかにする一方、
「放射性物質を残したまま埋めてしまうことはない。燃料は必ず取り除く」と表明。
チェルノブイリのように「臭いものに蓋をする」方式ではなく、きちんと後始末をやる、と言っています。
すでに1~3号機の燃料棒は、推定で25~70%が損傷しているため、核燃料の取り出しは、従来の方法では取り出せない、と指摘。燃料の回収装置を新たに開発する方針。
とりあえずは、圧力容器、格納容器とも水で満たして冷却する「水棺冷却」を行い、推移を見守るということのようです。
ただ、1~3号機の損傷の程度はマチマチで、特に3号機は写真で見る限りは、原子炉格納容器の形さえ見えません。完全に倒壊してしまっているようです。
したがって、中の圧力容器も大きく破損しているでしょう。
東電は、どうもプルトニウムの計測には積極的でないように思えます。
この3号機はプルトニウムを燃料に使っています。
3号機の写真。Mail onlineに、鮮明な画像が、数点あります。
榎本の言うとおり、冷却システムが完全復旧すれば、最悪の水蒸気爆発は避けられるのかもしれません。
しかし、今後、何ヶ月も、私たちが被曝し続けることには変わりはありません。
GE社のリチャード・レーヒー氏の言う「別のスケールの惨事になることが考えられる」とは、広い範囲の海洋汚染と、私たちの、思ってもみなかった内部被曝でしょう。
ただ、個々人で、きちんと対処すれば、被曝を最小に抑えることができるかもしれません。
といって、水蒸気爆発の可能性がなくなったということではないのでしょうね。
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