大不況と刺激策の時期における高速道路の入札

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Highway Procurement During the Great Recession and Stimulus」で、著者はDakshina G. De Silva(ランカスター大)、Benjamin Rosa(ミシガン大)。
以下はその要旨。

We study highway procurement in Texas during the Great Recession and stimulus period, finding increased competition with more bidders and lower bids. We argue that the recession reduced opportunity costs, in part due to a slump in private-sector construction. We evaluate costs and efficiency by developing methods to estimate an empirical auction model tailored for public bidding and demonstrate that contracts became more efficient and less costly. A counterfactual analysis confirms that infrastructure procurement during recessions not only stimulates the economy but also enables the government to complete necessary projects at lower costs.
(拙訳)
我々は、大不況と刺激策の時期における高速道路の入札を調べ、入札者が増えて入札価格が安くなるという競争の激化を見い出した。民間部門の建設の不振が一因となって、不況が機会費用を低下させた、と我々は論じる。公共入札用に調整した実証的なオークションモデルを推計する手法を開発して、費用と効率性を評価したところ、契約がより効率的かつ低費用になったことが示された。反実仮想分析でも、不況期のインフラ調達が経済を刺激するだけでなく、政府が必要なプロジェクトをより安価に完成することができることが確認された。

現在の米国は好況と言ってよい状況にあり、また、日本と同様に建設業界などでは人手不足にあるようなので、もはやこの論文に示されたような安価な調達は望めないかもしれない。トランプ政権下で石油産業などの活性化策が採られ(「drill, baby, drill」)、かつ、移民が制限されれば猶更であろう。

銀行の金利リスク

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Interest Rate Risk in Banking」で、著者はPeter M. DeMarzo(スタンフォード大)、Arvind Krishnamurthy(同)、Stefan Nagel(シカゴ大)。
以下はその要旨。

We develop a framework to estimate bank franchise value. Contrary to existing models, sticky deposits and low deposit rate betas do not imply negative duration. While operating costs could generate negative duration, they are offset by fixed interest rate spreads from lending activity. Consequently, franchise value declines as interest rates rise, further exacerbating losses on banks’ securities holdings. Banks with less responsive deposit rates tend to invest more in long-term securities, aiming to hedge cash flows rather than market value. Despite significant recent rate hike losses, most U.S. banks still retain sufficient franchise value to remain solvent, justifying forbearance.
(拙訳)
我々は銀行のフランチャイズバリューを評価する枠組みを構築した。既存のモデルとは逆に、粘着的な預金と低い預金金利ベータは負のデュレーションを意味しない。運転費は負のデュレーションを生み出し得るが、それは融資活動からもたらされる固定金利スプレッドによって相殺される。その結果、金利が上昇するとフランチャイズバリューは低下し、銀行の証券保有から生じる損失をさらに悪化させる。預金金利の反応度の低い銀行は、市場価値よりも現金フローをヘッジすることを狙って長期証券への投資を増やす傾向がある。最近の金利引き上げの大きな損失にもかかわらず、大半の米銀行は支払いを履行するのに十分なフランチャイズバリューを維持しており、支払猶予を正当化している。

ここでフランチャイズバリューとは、銀行の価値のうち、資産と負債のポートフォリオの市場価値を超えた部分である。それは、銀行が借り手を見極めることによって融資ポートフォリオからスプレッドを稼ぐ能力からもたらされる。また、預金者に金融サービスを提供することによって得られるコンビニエンスイールドからももたらされる。ただ、そうした借り手のスクリーニングとモニタリングや、預金者へのコンビニエンスサービスには運転費が掛かるため、フランチャイズバリューを求める際はそれを控除する必要がある。

預金は契約上は短期であるが、預金者は低金利の預金口座からなかなか預金を引き出さないため、事実上は長期となっている。そうした預金の粘着的な振る舞いによって、銀行は提示する預金金利を部分的にしか改定せず、金融市場金利と一対一で連動するのとは程遠い状態となる。これがいわゆる「低い預金ベータ」であり、金利上昇時に銀行がスプレッドを稼ぐことを含意している。
従来の研究の多くでは、銀行は「均衡FF金利×(1 − β) 」の収入フローを得る、というDrechsler et al.(2021*1)のモデルに基づいて、預金が粘着的なベータが低い銀行ではフランチャイズバリューは負のデュレーションとなる(=金利上昇とともにフランチャイズバリューが上昇する)、という結論を導き出してきた。だがその考察は間違っている、と今回の論文は言う。というのは、預金スプレッドからもたらされる「均衡FF金利×(1 − β) 」のキャッシュフローは変動利付債に(1 − β) 投資するのと等価であり、それは額面での取引なので、価値は金利とは独立である。従って、銀行が稼ぐ預金スプレッドが金利とともに上昇するとしても、その価値はそうではない、とのことである。

Drechsler et al.(2021)における負のデュレーションは、低預金ベータではなく運転費の固定フローからもたらされている、と論文は指摘する。この固定負債は固定金利債のショートポジションと等価であり、金利が上昇すると価値が低下する*2。ただ、今回の論文の実証結果では、大半の銀行は運転費を上回る正の固定スプレッドを融資ポートフォリオから得ている。従って、全体的にはデュレーションは負ではなく正になる、と論文は言う。

まとめると、銀行のフランチャイズバリューは、(低預金ベータによる)ゼロデュレーションの変動利付債と、(運転費を控除した固定融資スプレッドによる)正のデュレーションの固定金利債に投資しているのと事実上等価であり、金利上昇によって低下する、と論文は述べている。金利上昇は保有する証券の市場価値を低下させるので、フランチャイズバリューの低下はそれに追い討ちをかけることになる。

実証分析でも金利上昇とともにフランチャイズバリューが低下することが裏付けられたとの由(2022年の金利上昇時には資産のおよそ2.2%分が低下し、保有証券の市場価値低下のおよそ3.6%に追い討ちをかけた)。ただ、 それでも大半の銀行について長期の支払い能力を支持するだけのフランチャイズバリューは残った、とのことである。

論文の実証研究ではまた、ベータと、銀行の証券ポートフォリオ全体のデュレーションとの負の関係が(Drechsler et al.(2021)と整合的な形で)観測された、とのことである。これは、規制当局が低ベータ預金をデュレーションの長い固定金利負債として扱うよう指示していることが一因だ、と論文は指摘する。その指示のため、低ベータの銀行は、預金の負のデュレーションを相殺するように正のデュレーションの証券を保有する、というわけである。また銀行は、純利息マージンを安定化させるためにデュレーションの長い証券を買うこともある、と論文は言う。均衡FF金利と正の相関を持つ預金収入をヘッジするため、デュレーションの長い証券を購入することによって均衡FF金利と負の相関を持つ収入が得られるようにする、というわけである。だが、論文の考察によれば、そうしたヘッジ行動は銀行の市場価値の安定にはつながらず、大半の銀行のデュレーションリスクをむしろ増やしてしまう。シリコンバレー銀の破綻は、そうしたデュレーションリスクを取ったことにより生じた脆弱性の顕在化であった、と論文は述べている。

*1:cf. これ。

*2:注:負債、ないしショートポジションを取っている「債券」の価値が低下するので、フランチャイズバリューにはプラスに寄与する。

赤ちゃんとマクロ経済

ノーベル経済学賞を一昨年に受賞したハーバード大のクラウディア・ゴールディン(Claudia Goldin)が表題のNBER論文(原題は「Babies and the Macroeconomy」)を上げている。以下はその要旨。

Fertility levels have greatly decreased in virtually every nation in the world, but the timing of the decline has differed even among developed countries. In Europe, Asia, and North America, total fertility rates of some nations dipped below the magic replacement figure of 2.1 as early as the 1970s. But in other nations, fertility rates remained substantial until the 1990s but plummeted subsequently. This paper addresses why some countries in Europe and Asia with moderate fertility levels in 1980s, have become the “lowest-low” nations today (total fertility rates of less than 1.3), whereas those that decreased earlier have not. Also addressed is why the crossover point for the two groups of nations was around the 1980s and 1990s. An important factor that distinguishes the two groups is their economic growth in the 1960s and 1970s. Countries with “lowest low” fertility rates today experienced rapid growth in GNP per capita after a long period of stagnation or decline. They were catapulted into modernity, but the beliefs, values, and traditions of their citizens changed more slowly. Thus, swift economic change may lead to both generational and gendered conflicts that result in a rapid decrease in the total fertility rate.
(拙訳)
出生率は世界のほとんどすべての国で大きく低下したが、低下のタイミングは先進国の間でさえ違っていた。欧州、アジア、北米で、一部の国の合計特殊出生率は早くも1970年代に魔法の人口置換水準の数字である2.1を下回った。しかし別の国では、出生率は1990年代まで相当程度の水準を維持したものの、その後に急落した。本稿は、なぜ1980年代の出生率がそこそこの水準だった欧州とアジアの一部の国が今日「最低水準」(出生率が1.3以下)の国になった一方で、早くに低下した国がそうならなかったのか、という問題に取り組む。また、両グループの交差するポイントがなぜ1980年代と1990年代だったのか、という問題にも取り組む。2つのグループを区別する重要な要因は1960年代と1970年代の経済成長である。今日の出生率が「最低水準」の国は、長期間の停滞ないし低下の後に一人当たりGNPの急速の伸びを経験している。それらの国は急速に現代化したが、国民の考え、価値観、および伝統の変化はよりゆっくりとしたものだった。従って、急速な経済の変化は世代間と男女間の双方において軋轢をもたらし、それが合計特殊出生率の急低下を招いた。

ungated版は見当たらなかったが、昨年9月19-20日に開催された第9回ECB年次研究コンファレンスでのジャン・モネ講演(Jean Monnet Lecture)のスライドがECBのサイトに上がっている。
以下はグループ1と定義された国の出生率の推移。

以下はグループ2と定義された国の出生率の推移。

以下はグループ1と定義された国の一人当たりGDP成長率の推移。

以下はグループ2と定義された国の一人当たりGDP成長率の推移。

スライドでは出生率と経済成長が対照的な推移を示した国として、韓国とイタリアをピックアップしている。


また、そのような経緯を辿らなかった国として、フランスとスウェーデンをピックアップしている。

以下は出生率と家事育児の男女格差の指標との関係を示したグラフ。

危機から標準へ:業界、職業、地理別の在宅勤務のトレンドと従業員の仕事への取り組み

というNBER論文が上がっている。原題は「From Crisis to Norm: Remote Work Trends and Employee Engagement Across Industries, Occupations, and Geography」で、著者はChristos A. Makridis(スタンフォード大)、Jason Schloetzer(ジョージタウン大)。
以下はその要旨。

We use a survey of nearly 360,000 workers conducted from May 2020 through December 2023 to characterize shifts in remote work across time, industry, occupation, and geography, and examine the evolving relationship between remote work and employee engagement. We find remarkable stability in the incidence of remote work since mid-2021 with roughly one-half of workers reporting always working remotely or in a hybrid arrangement. While remote work arrangements across industries remain broad-based, at the occupation level, they are conspicuously concentrated in certain job classifications. Remote work continues to evolve across the U.S., with 13 (14) states experiencing reported increases (decreases) in remote work rates since 2022 with the most populous states experiencing remote working rates exceeding 40% of workers. Empirical evidence shows that while working remotely correlates with higher job satisfaction and lower intentions to quit, these correlations disappear when other workplace characteristics such as pay practices, human resources policies, and managerial relationships are considered. If remote work remains the norm, our results suggest it may not directly influence employee engagement—the workplace still matters.
(拙訳)
我々は、2020年5月から2023年12月まで実施された36万人近くの労働者調査を用いて、在宅勤務の時系列、業界、職業、ならびに地理的な変化の特徴付けを行い、在宅勤務と被雇用者の業務への取り組みとの関係の推移を調べた。2021年半ば以降の在宅勤務の割合が驚くほど安定していることを我々は見い出した。労働者のおよそ半分が常に在宅勤務であるか、もしくはハイブリッドの勤務形態であった。在宅勤務という勤務形態は依然として幅広い業界でみられたが、職業レベルでは一部の職種分類に顕著に集中していた。在宅勤務は米国各地で推移し続けており、2022年以降、13(14)州で在宅勤務率の増加(減少)が報告された。最も人口の多い州では、労働者の在宅勤務割合は4割を超えていた。実証結果が示すところによれば、在宅勤務と仕事への満足度の高さならびに退職する意図の低さとの相関はあったものの、給与慣行、人事政策、および管理職との関係といったそれ以外の職場の特性を考慮に入れると、そうした相関は消失した。在宅勤務が標準であり続けるのであれば、それが従業員の仕事への取組みに直接的に影響することはおそらくなく、職場は依然として重要である、ということを我々の結果は示している。

ungated版は見当たらなかったが、Makridisは米国の在宅勤務は過小推計されていた - himaginary’s diaryで紹介した共同研究でも全国ベースのサーベイによる在宅勤務の状況を報告している。

通貨戦争と貿易

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Currency Wars and Trade」で、著者はKris James Mitchener(サンタクララ大)、Kirsten Wandschneider(ウィーン大)。
以下はその要旨。

The Great Depression is the canonical case of a widespread currency war, with more than 70 countries devaluing their currencies relative to gold between 1929 and 1936. What were the currency war’s effects on trade flows? We use newly-compiled, high-frequency bilateral trade data and gravity models that account for when and whether trade partners had devalued to identify the effects of the currency war on global trade. Our empirical estimates show that a country’s trade was reduced by more than 21% following devaluation. This negative and statistically significant decline in trade suggests that the currency war destroyed the trade-enhancing benefits of the global monetary standard, ending regime coordination and increasing trade costs.
(拙訳)
大恐慌は、1929年から1936年に掛けて70か国以上が金に対して自国通貨を減価させた広範な通貨戦争の代表的な事例であった。通貨戦争が貿易の流れに与える影響はどのようなものだっただろうか? 我々は、新たに収集した高頻度の2国間貿易データと、貿易相手国がいつ減価したかもしくはしなかったかを説明する重力モデルを用いて、通貨戦争が世界の貿易に与える影響を識別した。我々の実証的な推計結果は、一国の貿易が減価後に21%以上減少したことを示した。この負の統計的に有意な貿易の減少は、貿易を増やすという国際的な金融基準の恩恵を通貨戦争が破壊し、協調体制を終わらせて貿易コストを上昇させたことを示している。

貿易の21%の減少というのはポアソン疑似最尤推定法(Poisson pseudo-maximum likelihood=PPML)*1による数字とのことだが、一般均衡の枠組みでの分析では部分均衡より数字は小さくなり、減価した国では12.4%、減価しなかった国では4.2%の減少になったとの由。以下は各国別の推計結果を示した表で、日本は13.8%と減価国平均よりやや大きな減少となっている。

*1:cf. RIETI - 第14回「重力方程式の理論と新しい推定方法」。産業政策とイノベーション:世界の自動車産業における実証結果 - himaginary’s diaryで紹介した分析でも使われている。

在宅勤務技術の恩恵による勝者と敗者

というNBER論文が上がっている(ungated版とスライド資料へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Winners and Losers from the Work-from-Home Technology Boon」で、著者はMorris A. Davis(ラトガーズ大)、Andra C. Ghent(ユタ大)、Jesse M. Gregory(ウィスコンシン大マディソン校)。
以下はその要旨。

We model how an increase in Work-from-Home (WFH) productivity differentially affects workers using a framework in which some workers cannot work offsite, some are hybrid, and some are completely remote. The improvement in WFH productivity increases housing demand and thus housing prices since housing is inelastically supplied. Because workers in non-telecommutable occupations must consume housing but their total factor productivity does not increase, the rise in house prices reduces their welfare. The welfare decline is equivalent to 1-9% of consumption, depending on how substitutable WFH is with onsite work, and it arises despite measured income of all workers increasing.
(拙訳)
我々は、職場以外で働けない労働者、ハイブリッド勤務の労働者、完全にリモートの労働者がいる枠組みを用いて、在宅勤務の生産性の向上がどのように労働者に相異なる影響を与えるかをモデル化した。在宅勤務の生産性の向上は住宅需要を増やし、それによって住宅価格も引き上げる。これは、住宅供給が非弾力的であるためである。リモート勤務ができない職に就いている労働者も住宅を消費しなければならないが、全要素生産性は増えないため、住宅価格の上昇によって厚生が低下する。厚生の低下は消費の1ー9%に相当し、在宅勤務を職場での労働がどの程度代替可能かに依存する。また、全労働者の計測される所得が増えるにもかかわらず、そうした低下は生じる。

ベンチマークのカリブレーションでは、在宅勤務できない労働者の長期的な厚生の低下は非住宅消費の4%に相当するとの由。厚生が最も増えるのは高学歴(高技能)のフルリモートの労働者で、21%増加する(下図)。

以下の図の通り、いずれの労働者も長短期で所得と非住宅消費は増えるものの、住宅価格の上昇により住宅消費は減る。論文では非リモートワーカーが敗者であることを強調しているが、この図を見る限り、住宅消費の減少を考慮すると、高技能のリモートワーカー以外、IT業界の労働者も含めた全員が敗者になっているように見える。なお、リモートワーカーは非住宅消費の増加の方が所得増加よりも大きいが、これは通勤費の軽減によるもの、との由。

職場での労働で在宅勤務を代替できるほど非リモートワーカーの厚生の低下は小さくなる。2019年から2022年に掛けて在宅勤務は4倍に増えたが、ベンチマークのカリブレーションよりも代替性が高い場合、在宅勤務を4倍にするのに必要なTFPの上昇は30-35%にとどまるとのことである。逆に職場での労働と在宅勤務がより相補的だと、必要なTFPの上昇は大きくなる*1。
その結果、代替性が高いとタイプ4労働者(低技能の非在宅勤務労働者)の厚生損失は1%に留まるが、代替性が低いと(より相補的だと)9%になる(下図)。

*1:実際の数字は、代替の弾力性(EOS)がベンチマークに用いた中央値では0.72で、その時のタイプ1労働者(高技能のフルリモート労働者)の生産性の増加は82.6%、タイプ2労働者(低技能のフルリモート労働者)の生産性の増加は48.3%。EOSが95パーセンタイルの0.89の場合、タイプ1労働者の生産性の増加は35.0%、タイプ2労働者の生産性の増加は31.2%。EOSが5パーセンタイルの0.55の場合、タイプ1労働者の生産性の増加は281.9%、タイプ2労働者の生産性の増加は77.2%。

H1Bビザを増やすべき理由

というブログ記事(原題は「The Case for More H1B Visas」)をマンキューが上げている。

Apparently, there is an ongoing debate in Trumpworld about whether more H1B visas are a good thing. From an economic perspective, the answer is a clear yes.
From the standpoint of economic efficiency, allowing a highly skilled immigrant to work at a U.S. firm is, for standard reasons, beneficial. The transaction is voluntary, so both the employee and employer are better off. And there are no obvious externalities (not counting, of course, pecuniary externalities). In addition, the U.S. government collects more revenue in the form of payroll and income taxes.
From the standpoint of economic equality, allowing a highly skilled immigrant is again beneficial. The relative wage of skilled versus unskilled workers depends on, among other things, the relative supply of the two types of worker. When highly skilled workers immigrate into the United States, the demand for less skilled workers rises.
Think of technology firms that need both engineers and janitors. When the supply of engineers rises, the demand for janitors increases, leading to higher janitor wages.
So an increase in H1Bs visas not only expands economic liberty (arguably a good thing in itself) but also increases both efficiency and equality.
Score one for Vivek and Elon.
(拙訳)
トランプワールドでH1Bビザをもっと発行するのが良いことかどうか議論が進行中のようである*1。経済学の観点からは、答えは明確なイエスである。
経済効率性の観点から言えば、高技能の移民が米企業で就労するのを許可することは、標準的な理由により、利得をもたらす。取引は自主的なものなので、被雇用者と雇用者の双方の利得が改善する。そして明白な外部性はないので(当然ながら金銭的な外部性は除く)、また、米政府は給与税や所得税の形で歳入を増やす。
経済的平等の観点からも、高技能の移民を許可することはやはり利得をもたらす。高技能と低技能の労働者の相対的な賃金は、何よりも両タイプの労働者の相対的な供給に依存する。高技能の労働者が米国に移民する時、低技能の労働者の需要も増える。
技術者と用務員の両方を必要とするテック企業を考えてみよう。技術者の供給が増えると、用務員の需要も増え、用務員の賃金は上昇する。
従ってH1Bビザは経済的自由を拡大する(間違いなくそれ自体良いことだ)だけでなく、効率性と平等も共に上昇させる。
ビベックとイーロンに1ポイント。

*1:注:原文のリンク先は以下のNYT記事。
関連日本語記事はこちら。