2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日本がもし100世帯だったら・続き

昨日は厚生労働省のデータを用いて所得分布表を作成し、同時に各所得帯の所得税を推計した。しかし、その後、国税庁のこの資料(Excelファイルはこちら)を使えば、所得税について推計値ではなく実際のデータを使えることに気づいた*1。 厚生労働省のデータ…

日本がもし100世帯だったら

ふと、日本の所得分布状況を簡便に把握できる図表があれば何かと便利だろうと思い立ち、末尾に掲げるデータを作ってみた。ソースは厚生労働省のこのページ。ここの図7の棒グラフに、所得階層ごとの世帯数の比率が描かれているので、そのパーセントの数字をも…

金は天下の回りもの・続き

昨日のエントリに対し、解釈に迷ったというコメントが付いたので、参考までにデロングの話を会計風にまとめてみた(それほど仕訳に精通しているわけではないので、あくまでも会計「風」ということでご勘弁)。 シナリオ1 当初 アリス ビバリー 現金$500 キ…

金は天下の回りもの

デロングがここでジョン・コクランを批判する際に持ち出した例え話が面白い。 登場人物 アリス、ビバリー、キャロル*1 前提 ビバリーは2ヵ月後にキャロルに返すべき500ドルを持っている。アリスとキャロルは失業してブラブラしている。 シナリオその1 2ヶ月…

説教したがる大統領

一昨日の本ブログで、経済問題への対処法の代わりに説教を提示している経済学者を取り上げて批判したが、クルーグマンがブログやop-edで同様の批判をしている。 ただし、批判の相手は経済学者ではなく、オバマ大統領その人。 op-edから主な箇所を抜き書きし…

経済自虐史観

昨日のエントリでは、齋藤誠氏のHPの論説を批判的に取り上げた。そこでは主に、経済学者の役割を棚に上げていたずらに世間に説教したがる氏の姿勢を批判したが、それとは別に、もう一つ、ああこの人もそう見ているのか、と思わされた文章があった。 さまざま…

説教したがる経済学者たち

大竹文雄氏のブログ経由で、齋藤誠氏のこの論説を読んでみた。冒頭で 2008年は,マクロ経済学や金融論を専門とする経済学徒にとって試練の年だったと思う。11月19日に一橋大学の兼松講堂で行われた金融危機に関する公開討論の後に,「日本経済が深刻な事態に…

バローはバーローか?

ロバート・バローが財政刺激策反対派として参戦し、様々な反応を引き起こしている。 日本のブログでは、night_in_tunisiaさんがいち早く内容を紹介しているが、そのあまりにもシカゴ学派的な論理に疑問を呈している。また、ARNさんも同様に「受け入れがたい…

政策効果の測定と鼓腹撃壌・続き

昨日紹介したknzn氏のブログエントリには元ネタがあって、それがカナダ人経済学者Nicholas Rowe氏のブログである。こちらでは、もう少しフォーマルに、政策効果の測定の難しさを説明している。 その内容をざっと紹介すると以下のようになる。財政政策をF、金…

政策効果の測定と鼓腹撃壌

knzn氏が直近2回のポストで面白いことを書いている。 「合理的な政策」と題された最初のエントリで氏は、なぜ多くの経済学者たちは民間が合理的で政府が非合理的と決めてかかるのか?、と問うている。 氏の回答は、政策の成功が目に見えないから、というもの…

オークン則と乗数効果・再訪

乗数効果のことを書いていて、以前のエントリで書き残していたことを思い出した。 そのエントリでは、クルーグマンが必要な財政支出額を導き出すのに使ったback-of-the-envelope算式から オークン則の係数と、乗数効果の支出乗数が一致していると、労働人口…

減税は是か非か?

景気刺激策のうち、公共投資と減税のどちらが有効か、という論点について、クルーグマンらの公共投資派と、マンキューらの減税派の対立が鮮明になってきている。 クルーグマンは、1/6のブログエントリで、公共投資の乗数効果が1.5程度なのに対し、雇用税減税…

自己批判しない経済学者たち

先日、有志各位の努力で邦訳が完成したアセモグル論文だが、少し前にNaked Capitalismで取り上げられていた。ただ、残念ながらあまり良い取り上げられ方ではなく、既成の経済学批判の対象の一つとして扱われている。エントリを書いたイブ・スミス(Yves Smit…

ウラシマ効果と複利効果

9日のエントリのコメント欄で、ウラシマ効果と複利効果についてmabutanさんとやり取りさせて頂いたが、改めて両者について計算してみた。 まず、ウラシマ効果について。 宇宙船の速度の光速に対する比率と、時間の遅れ具合をグラフにしてみた。 式は、比率を…

経済学を知らないノーベル経済学賞有力候補

とこの本をもじったタイトルにしてしまったが、今日も「ファーマ祭り」の続き。 デロングのファーマ批判の第5弾が出たが、ここではマンキューに再び矛先を向け、彼のファーマ弁護は間違いだ、と改めて断じている。このコメント欄では、Angry Bearのロバート…

マンキューの“二枚舌”

昨日、ファーマのブログエントリを巡る騒動について書いたが、その中でマンキューブログのファーマ擁護エントリに軽く触れた。その後、デロングの批判を受け、マンキューは同エントリに追記を書いた。 This post reflects a fundamental difference between …

ファーマ=フレンチのブログ・続き

昨日のエントリで取り上げたファーマ=フレンチ=フォーラムのファーマの直近エントリに対し、デロングが「これはひどい」タグを付けんばかりの反応を示した。最後にはこう書いている。 I hereby warn all awards committees of all prizes whatsoever that …

ファーマ=フレンチのブログ

ファイナンス理論を齧ったことのある人なら、ユージン・ファーマとケネス・フレンチの名前を知っているだろう。毎年ノーベル経済学賞候補に擬せられているほどの大物である。先週のマンキューブログで、その二人がブログを始めたことを知った。 ファーマ=フ…

ラトビアの井上準之助

少し前にクルーグマンが、ラトビアは第二のアルゼンチンになるのではないか、という懸念を表明した。現在ラトビアは、通貨切り下げを拒否し、緊縮政策で危機を乗り切ろうとしているが、アルゼンチンの二の舞になるのではないか、という懸念である(周知の通…

FRBは産業政策をしているのか?

昨日のエントリのリンク元を見ると、山形さんのところから500以上のアクセスがあった。同時に山形さんに紹介いただいた9日のエントリもほぼ同数のアクセスがあり、改めて山形さんの影響力の凄さを知った。感謝感激多謝多礼。 その昨日のエントリで触れたnig…

ジャネット・イエレン「FRBは日銀とは違う」

night_in_tunisiaさんが既に取り上げているが、女性エコノミストブロガーのレベッカ・ワイルダーが、少し前に「FRBのメッセージ:我々は日銀とは違う(The Fed's message: We're not the Bank of Japan)」というお題でエントリを立てている。 エントリの…

フェルドシュタインとスティグリッツのタッグ

Economist's Viewで紹介されていたが、フェルドシュタイン、スティグリッツというそれぞれレーガン、クリントン時代にCEA委員長を務めた大物経済学者が、揃ってチャーリー・ローズのインタビュー番組に登場していた(正確にはフェルドシュタインはワシントン…

クルーグマン論文の不備?

okemosさんがクルーグマンの恒星系間貿易理論を訳され、大変な人気を集めている。小生も拝読したが、確かに面白い。だが同時に、第一、第二の基本定理のどちらもちょっと違うのではないか、という気がした。ネタニマジレスカコワルイ、と言われそうだが、本…

自分への攻撃

中学か高校時代に読んだ海外SF短編に、次のようなストーリーのものがあった。 主人公は休暇を終え、再び戦場へ向かう。そこでは、やむことの無い砲弾の応酬が繰り広げられている。しかし、奇妙なことに、敵の姿を目撃したものはいない。 同僚の軍人は、最新…

嫌な奴はどこへ行った?

少し前のEconlogエントリで、ブライアン・キャプランが、今は身の周りに嫌な奴(jerk)がほとんどいなくなった、と書いている。jerkとの闘いの連続だった小生のサラリーマン人生から考えると信じられない話だが、キャプランは、どうして自分がそのような幸運…

財政支出すべし…でもどこに?

昨日のエントリでのIMFペーパーの紹介に続き、財政刺激策に関する経済学者の論考を取り上げてみる。マンキューブログ、タイラー・コーエン、Economist's Viewが一斉に取り上げたのが、Ed Glaeserのこの1/5記事。小生は不勉強でGlaeserのことを知らなかったが…

IMFの財政刺激策提案

ブランシャールをはじめとするIMFの経済学者スタッフが、年末に、財政による景気刺激策に関する提言を発表した(マンキューブログでリンクだけ紹介されているほか、ここやここで紹介されている)。そこでは、最適な財政刺激策の条件として以下の7項目が挙げ…

タレブ VS マートン・続き

Wilmottという英国のクォンツ向け雑誌がある。 昨日紹介したタレブのハウグとの共著論文「Why We Have Never Used the Black–Scholes–Merton Option Pricing Formula」は、その2008年1/2月号に掲載されている。また、同社のブログエリアでは、タレブ、ハウグ…

タレブ VS マートン

フェリックス・サーモンによると、「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」や「The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable」の著者ナシーム・ニコラス・タレブが、ロバート・マートンに喧嘩を売っているらしい。 事の発端は、タレブの…

2008年の最もおバカな経済シーン21

ワイルダー経由で、フォーチュンの記事より。 デトロイトがリッチなスタイル(=会社の自家用ジェット機)で困窮を申し立て リムジンで食糧配給を受ける生活保護者のイメージを想起させてしまった 最も骨折り損な自動車旅行 自家用ジェット機はもう問題外…、…