韓国では日本の教育基本法「改正」についてどのように報道しているのか?そう思って聯合ニュースの11月16日の記事を翻訳してみました。それではどうぞ。
日本の教育基本法改正案、“国家主義の教育”深化を憂慮
国会可決の可能性高まる、16日衆議院通過
【東京=聯合ニュース】シン・ジホン特派員=愛国心教育を強調する内容の日本の教育基本法改正案が、今回の国会で可決される可能性が高まった。連立与党である自民党と公明党は15日、野党が欠席するなかで衆議院特別委員会で改正案を通過させたのに続き、16日の本会で可決した。
1947年に交付された教育基本法は、敗戦の産物として“個人の尊厳”という価値を重視した教育の憲法と呼ばれてきた。制定後、一度も改正されておらず、改正の試みは“タブー”の領域に対する挑戦として国民の反感を買った。
しかし“安倍政権”は、“愛国心”や“伝統”など、国家主義的価値を重視する方向への改正を政権公約として打ち立てて政権を手に入れた。現行の教育基本法はどのような内容であり、改正時にどのような問題があるのか。
◇軍国主義を生み出した天皇の“教育勅語”否定の産物=日本の教育基本法は憲法が施行された年の1947年に交付、施行された。侵略戦争を起こした反省からつくられた憲法の精神である“平和主義”の理念実現を目標に制定され、憲法とともに“戦後平和主義”の二つの柱と呼ばれた。
11カ条からなるこの法律は、敗戦まで日本教育を支配していた“臣民の忠孝”を国体の精神と規定し、国家・軍国主義の精神的基盤を強化した明治天皇の“教育勅語”を否定して、“個人の尊厳”という民主意識を全面的に反映した。
制定されて以降、一度の改正もなかった。戦後の保守勢力が何度も法改正を試みたが、戦前の軍国主義教育への復帰を憂慮する世論の反対により挫折していた。
◇改正案は“愛国心”“伝統”重視=「伝統と文化を尊重し、…我が国と郷土を愛する…態度を養う」「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」「教育は、不当な支配に服することなく、この法律および他の法律の定めるところにより行われるべきもの」
改正案で論争になったのは上記の項目だ。特に“愛国心条項”が市民社会や野党の一部の強い反発を招いた。この条項に合わせて関連法規や学習指導要領が次々と改正された場合、学校教育から民主意識の慣用は後回しになり、国家主義や排他主義を植えつける方に教育されることが強く憂慮されたためだ。
また、「教育は、…この法律および他の法律の定めるところにより行われるべきもの」という条項も論争の余地を残している。この条項にしたがって学校教育法やこれに基づく学習指導要領が強制的性格を持つことになり、教育現場で君が代斉唱や日の丸掲揚時に起立などを強要するのに悪用されかねないためだ。
◇“国家主義教育”の深化を憂慮=安倍政権はいわゆる“美しい国”の実現を主唱して政権を発足させ、このためには家庭と地域、国家を重視する“公共意識の涵養”が求められるという立場を鮮明にしてきた。
このような改正の動きが世論から支持されるようになったのは、学力の低下傾向のなかで小泉前政権以降、日本社会で急激に進んだ全般的な保守化により、国家が学校教育に介入しなければならないという声が大きくなっていったためだ。
日本のリベラル系メディアや市民団体は、改正案がそのまま可決されれば教育現場で“国家主義教育”が深化するばかりだと憂慮している。
朝日新聞は16日の社説で「法律で定めれば、このように国を愛せと画一的に教室で教えることにならないか」「現行の教育基本法では、前文は『われらは』で始まる。戦前の天皇の教育勅語に代わって、国民が教育のあり方について意思を示す宣言でもあるからだ」と改正案により学校教育がややもすれば戦前に回帰する可能性があると指摘した。
日本弁護士連合会も、教育内容への権力の介入が強まりかねないとして改正案に反対するという立場を表明した。
* 参考 *
現行教育基本法と「教育基本法改正案」の比較