(▼コメント欄が見やすい「携帯版ページ」は→こちら。)
・・・忙しい毎日の片手間に、ちょっと戦争に反対してみる。
最短30秒からの反戦と平和のアクション。萌える反戦運動!
だいたい1日に10分くらいで、鼻歌まじりに更新していきます。
▼ホームページ ▼旧HP跡地 ▼サイトマップ ▼CL.A.W.ギャラリー ▼アンテナ ▼ブックマーク
▼管理人:九郎政宗 (ID:claw) clawsince2003「@」yahoo.co.jp ←スパムよけに@を「@」にしています。送信時は元にもどしてください。▼プロフィール

▼従軍慰安婦  ▼嫌韓下流
【リンク→】 ▼Yahoo!News「イラク」 ▼Yahoo!News「パレスチナ」 ▼日本史▼『国が燃える』弾圧事件 ▼南京大虐殺&百人斬りFAQ ▼『イヌxワンGP』 ▼BBC ▼阿修羅 ▼2ちゃんねるイラク板 ▼「荒らし」最終解決 ▼2ちゃんねる検索


▼[メモ]「日本のマンガを侮辱したCNNプロデューサーが児童性犯罪で有罪に」という誤情報を拡散した人たち

まず基本的な情報を整理。2022年12月、以下のようなデマが拡散された。

▼ネット上の情報検証まとめ(ツイッター@jishin_dema)

 要するに、「CNNで『日本の漫画が小児性愛を助長する』という内容の番組を作ったプロデューサーが、児童性犯罪で逮捕された!(=表現規制派が性犯罪者だったわけだが、規制派のみなさんどうすんのwww)」という内容の情報がツイッターで大規模に拡散されたのだが、これがデマだった。CNNで日本のマンガを(批判的な視点も含めて)論じた番組は実際にあったが、そのプロデューサーは先の事件の犯人とは別人だった。
 「オタクの敵」「表現規制派」とみなした相手を侮辱するために、現実に悲惨な被害が出ている性暴力事件をデマに利用してネットに流した人間、そのデマを確認もせずに拡散してしまう人間が、おそらくは万単位で存在した。まずはその事実を確認しておく。
 
 このデマの拡大経路を追跡した、みつを_Mitsuwo🌻さん(ツイッター@ura5ch3wo)の労作が↓こちら。日本と海外の「表現の自由戦士」系列のオタクや極右系まとめサイトなどが、誤情報を互いにやりとりしながら拡散する過程が見て取れる。

▼【誤情報探検隊】児童性犯罪で有罪となったCNNプロデューサーが、「日本の漫画が小児性愛を助長するという番組のプロデューサーだった」という誤情報が流れた件についての調査結果
https://togetter.com/li/2011446

この誤情報を拡散してしまった人たちのツイートを記録しておく。
 
高橋雄一郎 松本ときひろ おぎの稔
https://twitter.com/zzTyV6vdCnkuLnm/status/1604074408242319361?t=85vqRaMr_Z7UyuaZscpZLQ&s=19

レイフォース
https://twitter.com/rayforcegame/status/1603112963740532738?t=ynGbXsZtUFz2tRk9VkaG0g&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2255-32/https://twitter.com:443/rayforcegame/status/1603112963740532738?t=ynGbXsZtUFz2tRk9VkaG0g&s=19bxA&s=19

アノニマスポスト
https://twitter.com/anonymous_post2/status/1603944036187836416?t=jbNklrnu1JQCtFN81hsWJA&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2154-17/https://twitter.com:443/anonymous_post2/status/1603944036187836416?t=32HHFfn7U3T7noxICXE0hA&s=19

滝沢ガレソ
https://twitter.com/takigare3/status/1603903309433425920?t=leoy9EjN6XqZKRKVvg34Ug&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2123-39/https://twitter.com:443/takigare3/status/1603903309433425920?t=leoy9EjN6XqZKRKVvg34Ug&s=19

ふらいと小児科医
https://twitter.com/doctor_nw/status/1603908375665815552?t=JJbGpwPdRsC3wUM8r4i5ew&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2135-13/https://twitter.com:443/doctor_nw/status/1603908375665815552?t=JJbGpwPdRsC3wUM8r4i5ew&s=19

猫組長
https://twitter.com/nekokumicho/status/1604042641267888134?t=Psh8GeCPSubpAiEgqttE-A&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2140-59/https://twitter.com:443/nekokumicho/status/1604042641267888134?t=Psh8GeCPSubpAiEgqttE-A&s=19

Watts
https://twitter.com/Watts_D8/status/1603705650554421248?t=uNqNa9IB9uui7sAVjoRUJQ&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2236-11/https://twitter.com:443/Watts_D8/status/1603705650554421248?t=uNqNa9IB9uui7sAVjoRUJQ&s=19

なる
https://twitter.com/nalltama/status/1603691511656288257?t=t8z0RPZuiYDh0Y--LgSX1w&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2231-23/https://twitter.com:443/nalltama/status/1603691511656288257?t=t8z0RPZuiYDh0Y--LgSX1w&s=19

机とペン
https://twitter.com/rjlPOjq0LswEVWy/status/1603925649034735616?t=uFPZztvZjGJFDLKO6lHbxA&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2250-56/https://twitter.com:443/rjlPOjq0LswEVWy/status/1603925649034735616?t=uFPZztvZjGJFDLKO6lHbxA&s=19

アノマロ彼氏
https://twitter.com/anomalokareshi/status/1603769987248041984?t=3k_6TPf_xrreCPNhHSSJ5A&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2208-14/https://twitter.com:443/anomalokareshi/status/1603769987248041984?t=3k_6TPf_xrreCPNhHSSJ5A&s=19

やまもとやま
https://twitter.com/mt_yamamoto_/status/1603939685168197632?t=GMOkGnzg1HwhYyfLt4uwZQ&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2148-35/https://twitter.com:443/mt_yamamoto_/status/1603939685168197632?t=GMOkGnzg1HwhYyfLt4uwZQ&s=19

しわすみ
https://twitter.com/s_w_s_m/status/1603912971843162113?t=s_0II2tvC8PD1m4pQvxoHA&s=19
https://megalodon.jp/2022-1217-2139-10/https://twitter.com:443/s_w_s_m/status/1603912971843162113?t=s_0II2tvC8PD1m4pQvxoHA&s=19

JR西日本への意見書(2022年11月にJR大阪駅で掲示されたYostar社の駅広告について)

西日本旅客鉄道株式会社 御中


JR大阪駅の御堂筋口前通路において、2022年11月27日まで掲示されていたYostar社の広告(※)に関連して、御社に意見書を提出します。この意見書には、御社およびJR西日本グループ傘下企業に対する批判・苦情・改善提案が含まれています。
※同社のスマホゲーム『雀魂』のポスター群で、アニメ『咲-Saki-全国編』とのコラボ企画を告知するもの。  
20221210161703

 この意見書の執筆者である私は、仕事や生活でJR西日本の交通機関を利用している既婚男性です。アニメ・マンガ・ゲーム・映画・小説・歴史・政治・戦記などのオタクでもあります。  

 なお、この意見書には「性的な表現」「犯罪」「暴力」「暴言」「飲酒」に関する記述が含まれます。それらが苦手な方のために、まずは概要のみをお伝えします。


【意見書の概要】


御社に以下の意見を提出します。

「JR西日本グループ人権基本方針」、およびSDGsの一つである「ジェンダー平等の実現」等にもとづき、
①御社の駅関連施設に掲示される広告に、「未成年の飲酒に類した表現」が含まれないようにすること。
②また、「風営法違反に類した表現」が含まれないようにすること。
③さらに、「女性や未成年を性的対象化する表現」が含まれないようにすること。
④御社の広告基準を再検討のうえ改訂し、基準の運用方法も改善すること。また、広告に対する苦情への対応を改善すること。
改訂された広告基準には、「女性や未成年を性的対象化する表現は避ける」「ジェンダーバイアスの強化に荷担しない」という明文規定を追加すること。広告掲載の可否の判断に、社外からの意見、利用者からの批判意見も反映すること。
⑤「広告に関する批判・批評は表現の自由であり、消費者の権利である。批判意見を提出した人々への侮辱や人権侵害は許されない」旨、公式に声明を出すこと。


概要は以上です。ここからは本文となります。


【意見書の本文】

①「未成年の飲酒に類した表現」の問題
 2022年11月27日、私はJR大阪駅で前述のポスター群を拝見しました。私はオタクですので、近年の企業や団体の広告・広報において、性的強調が強いイラスト広告、人権上の問題がある文言などが批判された多数の事例を知っています。それらの事例と比較してみても、今回のポスター群はより多くの問題点を含んでいると感じました。
 まず第一に、未成年のキャラクターによる飲酒の描写があることです。
 当該ポスター群に描かれたキャラクターは、アニメ『咲-Saki- 全国編』の登場人物であり、未成年であるという設定です。

アニメ『咲-Saki- 全国編』公式サイト.
http://www.saki-anime.com/character/:title=http://www.saki-anime.com/character/

 ところで現在、日本の酒類業界では、未成年による飲酒や飲酒運転などの違法行為を防ぐため、酒類の広告に関する厳しい自主規制を行っています。
 酒類の広告審査委員会「酒類の広告・宣伝に関する自主基準」では、20歳未満の者の飲酒を誘因する広告を行わないこと、20歳未満の広告モデルを使わないこと(TV広告では25歳未満)などのほかに、公共広告機関での広告を行わないことが明記されています。

酒類の広告審査委員会. 「酒類の広告・宣伝に関する自主基準」. 2019.7.1.
http://www.rcaa.jp/standard/:title=http://www.rcaa.jp/standard/

 また2016年には、キリンの缶チューハイ『氷結』のネット配信アニメCMが、視聴者からの意見を受けて中止された事例もありました。ゲーム・アニメ・SNS・声優アイドルなどの若者文化を飲酒シーンに関連付けていること、登場人物が25歳未満の設定であることなどが、アルコール薬物問題全国市民協会(アスク)から批判されたためです。

「酒類CMの自主規制 『アニメ』『25歳以下』『ゴクゴク』はNG. 週刊ポスト. 2017.4.23.
https://www.news-postseven.com/archives/20170423_513990.html

アスク(アルコール薬物問題全国市民協会). フェイスブック. 2016
https://pt-br.facebook.com/npoask/posts/1565576337071831/

 このような強い自主規制が存在するのは、酒類業界の皆さんが、「酒類が致酔性飲料であること」を認識し、それを商品として扱う社会的責任を自覚しているからです。酒類とは、端的に言えば「安全な状況下で、適量を自主的に服用することが認められている危険物」ですから、広告や広報にも若年層への十分な配慮と自制が求められるのは当然のことです。キリンが『氷結』のアニメCMを配信停止にしたのも、「アニメCMだから問題ない」とは考えず、「アニメを用いたCMだからこそ、若年層に対する酒類への強い誘引になりうる」と認識を改めたからでしょう。こうした業界の努力や配慮に対して、私は敬意を払いたいと思います。
 ところで、JR大阪駅の当該ポスター群においては、そうした配慮や自制は行われていたのでしょうか。
 もしかしたら御社は、このように弁明されるかもしれません。「あのポスターは未成年の飲酒を描写していない。酒瓶のように見えるボトルには、『〇〇ジュース』という文字が書かれているのだ」と。
 しかし、それは苦しい言い訳です。果物のジュース類は、カクテルドリンクの「割り材」として酒類販売業界で使用されています。「バーカウンターに『〇〇ジュース』と書かれたボトルが描いてある」だけでは、飲酒シーンではないとは言い切れないのです。また、当該ポスターの多数のイラストの中には、「『〇〇ジュース』のボトルが描かれていないイラスト」も存在します。そこには「飲料入りのカクテルグラスを持ち、バニーガール姿でカウンターテーブル前に座る未成年キャラクター」が描かれています。これを「飲酒の描写でない」と主張するのは、少々無理があるのではないかと思われます。
20221210163445
 また、こちらのイラストもご覧ください。イラストに描かれた未成年少女の足元には、球形をしたガラスボトルが見えます。全く同じだとは言いませんが、このボトルは英国FIREBOX社の「CRYSTAL BALL SHIMMER GIN」という製品によく似ています。チェリーやハイビスカスのフレーバーが楽しめる、度数37.5%のジンです。重箱の隅をつつくようなことを言って申し訳ありませんが、いささか「脇が甘い」のではないでしょうか。
20221210163545

FIREBOX. Crystal Ball Gin.
https://firebox.com/crystal-ball-gin

ここでまず考えるべきは、御社のような大企業が、「未成年の飲酒シーン」のように見えてしまうポスター群を、公共の場に掲示することの意味です。それは社会にどのようなメッセージを伝えることになるのでしょうか。酒類業界のみなさんが懸命に回避してきた、「若年層に対する酒類への誘引」になりはしませんか。
 なお、御社の関連会社である株式会社JR西日本コミュニケーションズの『2021年度 JR西日本交通広告メディアガイド』によれば、広告として避けるべき表現の一つとして、次の文言があります。「各業界が定めている公正競争規約や、自主規制に反するもの」と。当該ポスター群には、御社の内部基準に照らしても適切とは言いがたい表現が含まれていると思われます。

株式会社JR西日本コミュニケーションズ.『2022年度JR西日本交通広告メディアガイド 2022年度JR西日本交通広告データブック』. 2022.
https://www.jcomm.co.jp/assets/pdf/transit/price/media_guide/mg_all_20220401.pdf

 今後、御社の関連施設に掲示される広告には、「未成年の飲酒に類した表現」が含まれないようにすることを求めます。


②「風営法違反」に類した表現の問題
 第二の問題点は、御社の当該ポスター群に「未成年者のナイトクラブ勤務」に見える表現が見られることです。
  ポスターの中の複数のキャラクターは、バニーガールスーツを着用しており、カウンターテーブルなどの酒席を連想させる背景も描かれています。
20221210165921
 ここで、「バニーガールスーツとはどういう意味を持つ衣装であるか」を確認しておきましょう。バニーガールスーツ(バニースーツ)は1960年、ナイトクラブ『プレイボーイクラブ』のウェイトレスの制服として誕生しました。このナイトクラブの経営者は、アメリカの男性向け雑誌『プレイボーイ』の創設者であるヒュー・ヘフナーです。
 バニーガールスーツは、雑誌『プレイボーイ』のシンボルロゴである黒いウサギ(プレイボーイバニー)のイメージをなぞったもので、肩や背中や足を大きく露出するストラップレスのテディ(コルセットつきボディスーツ)、ウサギの耳型のヘッドバンド、ウサギの尻尾型のコットンテールなどで構成されています。
 さて、ヒュー・ヘフナーが1967年1月10日付『LOOK Magazine』のインタビューで語ったところによると、彼はウサギのロゴに性的な意味合いがあることを認識していました。また彼は、愛玩動物としてのウサギのイメージを、自分の理想とする女性のイメージと重ねていることを明言しました。

Oriana Fallaci, "Hugh Hefner: 'I am in the center of the world'", LOOK Magazine, 1967.1.10.
20200119211855

 これらの史実から明らかなことは、バニーガールスーツが本来はナイトクラブの制服であり、女性を性的対象化する意味合いを持つコスチュームである、ということです。 
 では、「バニーガールスーツを来た未成年のイラスト広告」は、社会に対するどのようなメッセージとして機能するのでしょうか。
 ここで、近年の大阪で発生した、次のような事件を思い出してみましょう。

「女子高生死亡でガールズバー経営者を逮捕」. 産経新聞. 2012.2.14.
https://web.archive.org/web/20120214185031/https://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120214/waf12021412150014-n1.htm

「ガールズバー、違法店続出 大阪府警が初の集中摘発」, 日本経済新聞, 2012.3.15.
https://www.nikkei.com/article/DGXNASHC1402Y_U2A310C1AC8000/

「スタッフも店長も全員未成年…大阪市のガールズバーを摘発」. 産経新聞. 2016.11.16.
https://web.archive.org/web/20161116170019/https://news.livedoor.com/article/detail/12291520/

「大阪のガールズバーで未成年働かせる 半グレグループのリーダー格を逮捕」, 産経新聞, 2020.1.21.
https://www.sankei.com/article/20200121-JHNCX4L2F5JX3EGNGECV5MUI2M/

「神戸三宮のガールズバーで違法営業の疑い 20代男女4人を逮捕」. サンテレビNEWS. 2022.8.18.
https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2022/08/18/56653/

 これらの事件の共通点は、風営法や労働基準法などの各種法令に違反して、未成年にガールズバーなどで酒席の接待をさせていたという点にあります。極めて危険な人権侵害であり、現に未成年の飲酒の習慣化や、急性アルコール中毒による死亡事故なども発生しています。
 このような現状を前にして、JR大阪駅の改札口の正面に「未成年のナイトクラブ勤務を描いているように見える広告」が掲示される。そのことの持つ意味を、よく考えていただきたいと思います。
 なお、先述の『2022年度JR西日本交通広告メディアガイド 2022年度JR西日本交通広告データブック』によれば、御社の広審査査でチェック対象となる表現として、次の文言があります。「犯罪や暴力、売春、反社会的勢力などを肯定、示唆、助長、美化し社会的秩序を乱すもの」と。「未成年者のナイトクラブ勤務」に見える表現は、この基準に照らして適切といえるのでしょうか。JR西日本コミュニケーションズの広告審査においては、十分なチェック機能が働いていないのではないでしょうか。
 今後、御社の関連施設に掲示される広告には、「風営法違反に類した表現」が含まれないようにすることを求めます。 


③「女性や未成年を性的対象化する表現」の問題
 第三の問題点は、当該ポスター群に「女性を性的対象化する表現」、しかも「未成年を性的対象化する表現」が見られることです。先述の「未成年者のナイトクラブ勤務に見える表現」もそれにあたりますが、他にも以下のような表現があります。

20221210171709

 このイラストでは、私のような男性オタクの間で「乳袋」と呼ばれる性的強調表現が使われています。女性の体の一部を、現実ではありえないレベルで誇張して、性的な対象物、または玩弄の対象として描く表現です。
 こうした表現は、マンガやアニメやゲームなどのオタク文化においては頻繁に登場するものです。個人や同好者のグループが、自室または個室で楽しむ分には、あまり問題にはならないでしょう。しかし、そうした性的強調表現が、広告として公共の場に開陳されるとなれば、話は全く別です。それらを目にした人々から大きな批判が寄せられることは、現在では避けられません。以下、参考事例をいくつか紹介しておきます。

青柳美帆子. 「賛否両論、美濃加茂市『のうりん』美少女ポスター。炎上は避けられなかったのか」. exciteニュース. 2015.12.1.
https://www.excite.co.jp/news/article/E1448932351189/

牟田和恵. 「『宇崎ちゃん』献血ポスターはなぜ問題か 『女性差別』から考える」. 現代ビジネス. 2019.11.02.
https://gendai.media/articles/-/68185

「秋葉原にアダルトゲームの巨大広告 東京都が現地調査、千代田区は指導へ」. 弁護士ドットコムニュース. 2019.11.11.
https://www.bengo4.com/c_23/n_10366/

 公共の場で「女性を性的対象化する表現」が晒されることに、女性が抗議の声を上げるのは当然のことです。1989年の「福岡セクハラ裁判」を契機として、職場におけるセクシャルハラスメントは重大な社会問題として認識されました。現在では信じられない話でしょうが、かつて企業の職場には、生命保険会社の販促グッズであるヌードカレンダーなどが卓上に置かれていたものです。酒類を扱う店などでも、水着やヌードの販促ポスターが堂々と貼りだされていました。しかし、1997年の男女雇用機会均等法改正、1999年の男女共同参画社会基本法などを経て、現在では「職場などで性的な表現物を見せる行為は、環境型セクハラである」という認識が一般化しています。
 厚生労働省は、「女性労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該女性労働者が苦痛に感じて業務に専念できない」場合などを、環境型セクハラの具体例として挙げています。

労働省. 「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」.  2019.3.13.
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/s0927-6d.html

 このような社会の動きは、広告業界とも無縁ではありえません。職場では「環境型セクハラ」に類するような表現が、広告においては許される、そんなことはありえないからです。広告における「女性を性的対象化する表現」の問題については、すでに多数の分析や対策、提言などが、広告業界の内外で進められています。詳細は以下の各記事をご覧ください。

Design Studio Xemono. 「ジェンダー炎上回避チェックリスト」2020.4.1.
https://note.com/xemono/n/ne8f3e1c2fdfe

治部れんげ.「『ジェンダー炎上』が注目された2020年。『失敗する企業』に足りないものとは」. 現代ビジネス. 2020.12.31.
https://gendai.media/articles/-/78911

道喜道恵.  「『ジェンダー炎上』ってご存じですか?」. 株式会社あやとり.2021.1.22.
https://ayatori.co.jp/column/digital-shift/developing-customers/20210122112412/

瀬地山角. 「炎上CMを4パターンに分類 ジェンダー論は広告づくりの必修科目」. 宣伝会議, 2021.7.
https://www.advertimes.com/20210531/article352389/

UN Women日本事務所. 「UN Women (国連女性機関) によるアンステレオタイプアライアンス日本支部設立」 .2022.5.19.
https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/news/2020/5/press-release-ua-japan-chapter

金春喜「国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。『外の世界からの目を意識して』と日本事務所長」. ハフポスト. 2022.4.15.
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6257a5d0e4b0e97a351aa6f7

 さらに近年は、私のようなオタク男性からも、「公共の場で性的強調表現を開陳するのは問題ではないか」という意見が出てくるようになりました。「マナーに反するから」「性的な表現物を持ち歩くのは恥ずかしいから」「女性の人権や尊厳を傷つけるから」「子どもに性的表現物を見せるのはかわいそうだから」等々、人によって理由はさまざまですが、いずれにせよ、人権に配慮したゾーニング(望まない人に性的表現などを見せないように、空間や間仕切りを用いて行う自主規制)の必要性が認識されつつあります。

「『コミケのエッチな紙袋で帰宅するのやめて!』地元民の悲痛なツイート」. オタコム. 2012.8.10.
http://0taku.livedoor.biz/archives/4265695.html

「コミケの『紙袋持ち帰りのマナー問題』を解決する! 透けない防護カバー『紳士袋』を配布・頒布予定の共信印刷に話を聞いてみました」. ねとらぼ. 2016.7.19.
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1607/19/news134.html

「【完全にアウト】秋葉原のオタクショップ『まんだらけ』、小学校の通学路なのに幼女の全裸ポスターを堂々と表に展示! さすがに一線超え過ぎと批判殺到」. はちま起稿. 2018.10.17.
http://blog.esuteru.com/archivehttp://blog.esuteru.com/archives/9206952.html

「日赤『宇崎ちゃん』献血PRポスターは"過度に性的”か 騒動に火をつけた米国人男性に聞いてみた」. 文春オンライン. 2019.10.20.
https://bunshun.jp/articles/-/14871

赤木智弘. 「まんだらけ擁護の声が招いた?サブカルの聖地で起きたバッドエンド」. BLOGOS. 2022.3.31.
https://news.livedoor.com/article/detail/22258257/

 問題は、広告に対する社会の意識が変化したのに、広告業界の一部の皆さんの意識が十分に変化していないことです。特にJR西日本コミュニケーションズの皆さんに申し上げたいのですが、「オタク男性は、公共の場でバニーガール姿の未成年のイラストポスターを見て喜ぶものだ」と、本気で信じていらっしゃるのですか? もしそうなら、それは先入観であり、ありていに言えば間違いです。
 人間のセクシャリティ(性についてのありかた全般。欲求、行動、人間関係などを含む)というのは、個々人によって大きく異なるものです。「これくらいなら大丈夫でしょ?」「あなたもこういうのが好きでしょう?」などという思い込みをもって、性的な要素を含む表現物を他人に見せつける行為は、たとえ同性間であっても大きなストレスを引き起こすことがあります。
 具体例として、私自身の経験をお話ししましょう。1980年代頃までは、マンガやアニメといったコンテンツにおいて、「スカートめくり」「風呂のぞき」「更衣室のぞき」といった行為が、あたかも「ちょっとしたイタズラ」「冗談の一種」といった扱いで描写されていました。そうしたものを目にした時、子ども時代の私はいつも居心地の悪い思いをしたものです。「明らかに女の人が嫌なことをされているのに、なぜ『面白い出来事』みたいに描かれているのか?」というのが疑問でした。
 また、昔は日常生活でヌードのポスター類を見る機会がよくありました。小学校のクラスメイトの家に遊びに行くと、彼の父親が居間に貼ったヌードカレンダーを目にしました。大学に行けば、寮やクラブハウスなどの共用施設にはヌードや水着のピンナップが貼られていました。こうした出来事は、「あまり楽しくない思い出」として記憶に残っています。
 なぜ私は、他人に性的表現を見せられて居心地の悪さを感じたのか。それは要するに、「私のセクシャリティが尊重されていなかったから」です。「性的な表現を見たいか、見たくないか」「性的な表現を見たいとしても、いつ、どのようにして見たいのか」「その性的表現を他人と共有したいかどうか」は、当たり前ですが人によって、また状況によっても異なります。個人のセクシャリティを尊重せず、性的表現を同意なく他人に見せる行為は、明らかに問題があるコミュニケーションです。
  
 さて、大阪駅の構内で件のポスター群を見た時も、私が感じたのは懸念と不安でした。「自分のような男性オタクは、こういうものを見て喜ぶ人間だと思われているのだろうか?」「これを見る女性や未成年の中には、尊厳をふみにじられていると感じる人もいるのではないだろうか?」「こういう広告が多くなると、若い世代にジェンダーバイアスを植え付けることにならないか?『大人は未成年を性的対象にしてもいいのだ』と、刷り込むことにはならないか?」「このポスターを批判した女性が、非常識な一部のオタクに攻撃されないか?」といったことです。
 私のようなオタクが楽しんでいるマンガやアニメやゲームの中には、性的、暴力的、反社会的な内容も一部に含まれています。自室や同好者の集まりで、外部に見えないように楽しむならまだしも、公的な場で同意もなく晒すべきではない、そういうコンテンツがあるのです。
 具体的に説明しましょう。御社の当該ポスター群では、アニメ『咲-Saki- 全国編』のキャラクターが描かれています。このアニメ作品は、オタクである私から見れば、そこまで性的強調の強い内容とは感じません。ただし客観的に見るならば、「未成年を性的対象化する表現」が含まれているのは事実です。女性や未成年がこのアニメを見れば、強い嫌悪感を感じる可能性はあります。

『咲-Saki- 全国編』公式ホームページ. 登場人物紹介. 薄墨初美.
http://www.saki-anime.com/character/?school=eisui#3

『咲-Saki- 全国編』公式ホームページ. 登場人物紹介. 石戸霞.
http://www.saki-anime.com/character/?school=eisui#4

 また、このアニメの原作マンガ『咲-Saki-』について言えば、間違いなく「未成年の性的対象化」が激しい作品です。この作品は連載開始当初、「女子高生が部活で麻雀をするマンガ」でした。しかし現在では、作品の傾向が大きく変化してしまっています。現在、連載されている内容をありのままお伝えしますと、「下着を身に着けていない未成年女子が麻雀をするマンガ」となっています。私が何を言っているか、ご理解いただけないとは思いますが、私もこのマンガについては訳がわかりません。

「【悲報】咲の作者、越えてはいけないラインを越える」. まとメメちゃん. 2019.04.18.
http://namekkutake.livedoor.blog/archives/16539754.html

「【疑問】あれだけ人気だった『咲-Saki-』はどこからおかしくなってしまったのか」. やらおん!. 2022.09.13.
http://yaraon-blog.com/archives/224158

 こうしたアニメやマンガのキャラクターを、「バニーガールスーツ」「乳袋」などの性的な記号・表現とともに駅広告に採用すれば、批判的な反響が返ってくることは予想の範囲内です。オタクである私でも、そのような批判意見には正当性があると思いますし、尊重して傾聴すべきだと考えます。
 もちろん「私はあのポスターを性的だと思わない」と言う人もいるでしょうが、それは苦痛を感じる女性の声を無視してよい理由には全くなりません。特に性的な問題に関しては、「多数意見」であるからといって、それが正当であるとは限らないのです。その実例はのちほど触れましょう。


 念のために申し上げておきますが、私は御社が掲示した当該ポスター群について、全てを批判しているわけではありません。オタク男性である私が見る限りですが、「未成年の性的対象化には当たらないと思われるイラスト」も、いくつか存在したからです。たとえば、以下のようなものがそうです。
20221216023338
20221216032816

 JR西日本コミュニケーションズの皆さん。駅に貼っても問題があまり生じないのは、こういったイラストです。(ただし、「未成年女性をアイキャッチに使っているのではないか」という批判はありえます。)

 もうひとつ、重要な論点があります。御社はこれまで、近畿6府県の警察や私鉄各社と協力し、痴漢防止キャンペーンに取り組んで来られました。その努力には敬意と感謝を表したいと思います。痴漢は言うまでもなく卑劣な性暴力であり、被害者に一生残る精神的な傷を残します。また、痴漢の加害者は往々にして未成年や若年層を集中的に狙います。「#WeToo Japan」の2019年の調査によれば、「痴漢被害が最も多いのは10代」、ついで「20代」です。

伊吹早織. 「女性の7割が電車や道路でハラスメントを経験。『実態調査』でわかったこと」. BszzFeedNews. 2019.1.21.
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/wetoo-zerohara-chosa

 このような状況下で、御社が「未成年の性的対象化表現を含む広告」を駅構内に掲示するのであれば、それは社会に対しても、また御社の社内に対しても、誤ったメッセージを送ることになってはいませんか?

「元JR社員、強姦認める 女子中高生8人被害」. 産経新聞. 2015.2.25.
https://web.archive.org/web/20150225130447/https://www.sankei.com/west/news/150225/wst1502250058-n1.html

「JR西日本の車掌がJR車内で女性にわいせつ行為」. ABCテレビ. 2019.7.24.
https://web.archive.org/web/20190724163100/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190724-00022629-asahibc-l28

「JR西日本社員 列車内で10代女性の隣に座り体触った疑いで逮捕」. MRO北陸放送. 2022.11.10.
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c8bee836f743fffb46e83003460af0cff18b8d2

 『2022年度JR西日本交通広告メディアガイド 2022年度JR西日本交通広告データブック』は、「性に関する表現が、露骨でわいせつなもの、品位を損なうもの、不快感や羞恥嫌悪の念を感じさせるもの」を、広告審査のチェック項目に挙げています。この広告審査基準の文言も、またその解釈や運用も、時代の変化に合わせてアップデートされるべきではないかと思います。「R18指定ではないから問題ない」「ヌードではないから問題ない」「ロゴで局部を隠してあるから問題ない」などという、旧態依然の判断基準は再検討されるべきです。

 御社の「JR西日本グループ人権基本方針」には、次のような文言があります。

(1) 多様な人権の尊重
JR西日本グループは、人権に関する国際規範等を踏まえ、お客様、地域の方々、取引先の方々、社員をはじめとするすべての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を行います。
(2) 差別の禁止
JR西日本グループは、人種、国籍、宗教、性別、性的指向、性自認、障がいの有無、社会的身分等を理由とした差別を行わないこと、また、差別に加担しないことを遵守します。
(3) ハラスメントの禁止
JR西日本グループは、性的又は妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント及びパワーハラスメント等、人権を傷つける言動や行為を行いません。

「JR西日本グループ人権基本方針」. 2019. 4.1.
https://www.westjr.co.jp/company/action/humanrights/pdf/humanrights.pdf

 これら御社の内部基準をふまえて、企業コンプライアンスの観点から、今後は御社の関連施設に掲示される広告に「女性や未成年を性的対象化する表現」を含めないことを求めます。

※今日はここまで。このあと④~⑤までの意見書の本文が追加されていきます。

▼【私getter】小学校教師「女子トイレを覗いている男子生徒を息子さんが注意したら注意された子が怒って息子さんを追いかけ回しました。息子さんには相手の気持ちを考えて注意しないように指導しました」

※togetterで女性差別や性犯罪について批判的なまとめを作っていたら、運営から編集機能にロックくらったので、個人的にtogetter的なまとめを作っておくことにしました。私getterです(@∀@)

【タイトル】小学校教師「女子トイレを覗いている男子生徒を息子さんが注意したら注意された子が怒って息子さんを追いかけ回しました。息子さんには相手の気持ちを考えて注意しないように指導しました」

【コメント】ちょ(@∀@)どういうことなの

【タグ】:覗き 教師 小学校


▼関連リンク
togetter.com

テスト

≫「フェミニズムが実践されて人間のメスの本性が解き放たれたら女は男に捨てられても死ななくなった。男に対する忠誠心などカケラほども持ち合わせていなかった。」という意見について(@∀@)


タグ:フェミニズム 文学





https://twitter.com/macron_/status/1431392183546904576?s=21


https://twitter.com/macron_/status/1431392316606935041?s=21



https://twitter.com/macron_/status/1431392388145041409?s=21



https://twitter.com/macron_/status/1431392445112094722?s=21



https://twitter.com/macron_/status/1431392498392305668?s=21



https://twitter.com/macron_/status/1431392552347836418?s=21



https://twitter.com/sanetomi_san/status/1433290131616661509?s=21

[â– :embed]

https://twitter.com/chillitomato11/status/1433286190115946497?s=21

[â– :embed]

https://twitter.com/ifmari/status/1433268756721987585?s=21

[â– :embed]

https://twitter.com/mame3dennkyu/status/1433271324336705538?s=21

[â– :embed]

https://twitter.com/itohmaki/status/1433271786913734656?s=21

[â– :embed]

「安倍政権が必死で目をそらす、徴用工問題についての基本的な事実」を知るリンク集

大日本帝国時代の侵略戦争や植民地支配の被害について、戦後、和解を進めるためのさまざまな動きが、日本と被害諸国との間でおこなわれてきました。その一つが元徴用工の補償請求運動であり、すでに和解・謝罪・支払いによる解決事例もあります。しかし今、それは安倍政権によって政治的に妨害され、「炎上」させられ、政治的に利用されることになりました。
グーグルで検索しても上位には決して浮上しない、「安倍政権が教えない徴用工問題についての基本的な事実」を知り、どのような解決が望ましいのかを考えてみませんか。


▼【まずはここから読みましょう】
日本の弁護士・学者298名による
元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明
2018年11月5日
https://t.co/yXZ8cYriZG
1 元徴用工問題の本質は人権問題である
2 日韓請求権協定により個人請求権は消滅していない
3 被害者個人の救済を重視する国際人権法の進展に沿った判決である
4 日韓両国が相互に非難しあうのではなく、本判決を機に根本的な解決を行うべきである

※同サイトのリンク集も必見
http://justice.skr.jp/index.html


▼志葉玲
徴用工問題は解決済みではない。日本の主張の問題点とは!?
2019.04.29
https://t.co/D2pwaCLJ3b


▼【日中】強制連行基金年内にも設立 被害者と三菱マテリアル
2018/11/4
https://t.co/cyLfXaiiCv


▼出石 直 解説委員
「企業の戦争責任 三菱マテリアル和解の意義」(時論公論)
2016年06月06日
https://t.co/na5GJBrrCY


▼中国人強制連行 和解 三菱マテリアルが謝罪 毎日新聞 
2016年6月1日

▼三枝成彰 
会津は維新150年も長州を許さない…徴用工の恨みは当然だ
18/11/10
https://t.co/NdwBC11UVP

老害の対義語としての若害(じゃくがい)について

日韓合作アニメ『妖怪人間ベム』作画監督・森川信英の証言

▼元サイトが消滅していたのでサルベージ(@∀@)

森川信英の世界
https://web.archive.org/web/20130130161053/http://www.k2.dion.ne.jp/~nersury/page013.html

講演での話
こんにちは、森川信英と申します。本日は、妖怪人間になれなかったアニメーターたちのお話しです。
「黄金バット j 「妖怪人間ベム 」 の作者は誰なのか。写楽斉的ミステリーの話題を追って、私が答えることになりました。皆傑もご不審な点があれば、お答えいたしますのでご質問ください。私は 82 才ゆえ、塩爺さんのように「忘れました」とは云えませんので。

昭和 40 年 (1965 年 ) 、政府筋のお偉方から、韓国へわたってアニメ技術を教え てくれとの依頼が、私の元に届きました。私はその頃、東京銀座の三越と松屋の中間にアニメの撮影スタジオを設備して大忙しの毎日でした。丁度、前の年に「日韓国交回復条約」が締結され、両国間の交流を何にするか話しあって、当時既に日本が世界に誇る産業に成長していたアニメーションが良いということ になり、技術を提出する約束があったのです。私は戦時中、甘粕正彦氏の国策会社、満州映画協会で動画技術を現地の人たち ( 満州族 ) に教えた経歴がありましたので、私に白羽の矢がたったのだと思います。
私も戦争を体験し、日本人が韓国人の財産や、人としての誇りを奪いとった卑劣な行為を知っていました。私も日本人の一人として、韓国の文化にお役に立てるならと、渡韓証明証を手に行くことにしました。費用は自腹でしたが、日本の大手広告代理応「第一企画」の重役と後に一緒に「妖怪人間ベム 」や「黄金バット」を創ることになる浅井孝長さんが同行でありました。韓国に行って驚いたのは、アニメーション映画作りへの国を挙げての力の入れようでした。ソウルにある東洋放送と中央日報は、 N H K と朝日新聞を併せたような国内最大のマスコミ機関でありました。まず顔合わせをして、友好をふかめ、日韓共同のアニメ映画作りを約束しました。
局長には、国務大臣が、動画部長は韓国財界の雄・三星物産の元参事が加わり、大それた顔ぶれでありました。ただ、当時の韓国は、今では考えられないほどの反日感情が渦巻いていました。戦時中に我々日本人が彼らに行った数々の残虐な行為を考えれば、それはひどく当然のことなのですが、その憎悪の凄まじさは私の想像を越えていまし た。日本人はソウルの街を歩くだけで、殺されても文句はいえないという状況 だったのです。

ひとり韓国にとどまった私は、アニメ製作に使う「作画スタンド」や日本から送ってくる用紙を納めるロッカーや棚を置く場所を、東洋放送最上階の 1O 階、ワンフロア全てを「動画製作部」 にしました。その後、マスコミを使って公募された採用試験では、8O 人の定員枠に対し、美大生や一流のマンガ家が実に 900人を超える若者が全国から集まりました。

https://web.archive.org/web/20130130161648/http://www.k2.dion.ne.jp/~nersury/page014.html

 アニメーターになるには、一秒 24 コマの動きをキャッチする目、描いたものに命を吹き込むトリック技術や、アクションペーパー、日本でいう「パラパラ漫画」の原理を応用した技術が必要です。
採用した画家たちは男女ともに素質、個性の目立つ人たちです。彼らは動く原理を知っていましたが、映画になる工程や、一枚の絵を数名が仕上げるマニュアルは、現場でなくては学べないのです。家を新築するにも、設計から土台や配線など、組み立てる技が必要です。各持ち場のグループを選定し、集ったアニメーターの卵たちで分担作業がスタートしました。ところが日本語は厳禁です。一流大学の講師を通訳としてつけてくれましたが、一つひとつのトリックは上の空ですから、上手く伝わりません。ですから私自身が身振り手振り、表情や感じを織り交ぜて教義するのです。それに私はドジで、ボンクラな気質なので、先生 のはずが、みんなと同級生のような気分で通じ合って、結局、通訳は不要となりました。
毎日、目と口と線の強弱を練習させ、時々は外へ出て、人の動きや車の速さを広げた指の聞から見ては遠近を描写したり、動物園へ行って各動物のクセや動きをスケッチさせました。生徒たちの目が真剣になりました。もともと彼らの絵は一級なので、互いに演技を交わしスケッチさせ、どんどん上達していきまし た。生活の中の少しの動作にも一秒 24 コマを念頭におくよう習慣づけさせまし た。例えば、食事をする時は 7,200 コマとか、あらゆる動きは小声で、口の中で数えます。欠伸は何コマ、小便は何コマと記憶させます。それを鏡を見ながらスケッチします。食
貪欲なまでに理解し、自らのものにしようとするのです。彼ら全員の心の中には、いつか自国のこどもたちに素晴らしいアニメ映画をみせた いと願う夢と希望と、また新たな国の文化を背負ってゆくのだ、という誇りと気概がいつも溢れていました。

そして翌年の夏ごろになって、ようやく彼らの技術がアニメ製作を行えるようになりました。日本へ帰国すると、「第一動画」という製作プロダクションが 結束しており、私はいつのまにかその取締役、製作部長の肩書です。「第一動画 」は、「第一企画」が、アニメ製作のため独立させた会社で、社長は境直哉さんが兼務されてましたが、実質の会社経営は専務の浅井孝長さんが取り仕切っていました。そして常務の庵原和夫さんは、若い頃、同じ釜の飯を食ったアニメーターで、「鉄人 28 号」 や「エイトマン」 の監督をした人でした。その手腕を買われて、数名のアニメーターを引き連れて「第一動画」に移籍してきたのです。
さて、では何をやろうかということになったとき、私が紙芝居を作っていた時の友人、加太こうじさんを思い出したのです。加太さんは「黄金バット」の 作者の一人で、「黄金バット」 といえば、紙芝居最大のヒーローです。日本と韓国が共に手を取り合い最初に製作するアニメには、この日本が産んだ最初のス一パーヒーローがぴったりのように思ったのです。早速、私は加太さんに連絡を取り、庵原さんに紹介しました。私は韓国に戻り、暫くして、「黄金バット」テレビ化の知らせが届きます。
ここからは、大変多忙な日々が待っていました。第一動画から、色つけを担当する木村和夫さんがまず赴任し、その後、又野龍也さんや野田卓維さんといっ た若いアニメータ ) たちも駆けつけ、私と共に指導にあたるようになりました。中でも又野さんは、私が日本へ行って不在のときは、代役を勤めてくれました。
( 図書館の玄関に展示してある「動画辞典」は、このとき使ったマニュアルをコピーしたものです。 )
当時の基本的な日韓の役割は、日本で作った脚本や絵コンテを空輸してもらい、韓国側は中割、トレース、色づけ、背景といった一連の仕上げを行います。こうして仕上げたセル画が再び東京に空輸され、日本のスタッフにより、修正やチェックがされ、撮影が行われたのです。日本側のスタッフには、「東映動画 」や「TCJ」という動画プロダクションから優秀な人材が集っていました。
演出のベテラン、若林忠生さんを始め、背景チーフには草野和郎さんがして、この方の弟子には今最大のアニメ作家、宮崎駿さんもいました。一方の韓国側は、私の思ったほど進歩せず、やはりアニメの難しさを痛感しました。「黄金バット」のオープニングを作らせたら、全く良くない。しかし、もう各社を集めて行う試写の日取りまで少ないので、私は一人東京のスタジオにこもり、セル画を主題歌とシンクロさせるよう手直しし、どうにか公開に間に合わせました。台詞とともに音楽は、動画に大切な要素であります。
また国民性の違いから、絵の中にも韓国色が度々、出て描き直させました。 例えば、ソウルの空は、濁って汚れているのが普通ですから、日本晴れの色が理解できないのです。「黄金バット」と「妖怪人間ベム」 が、どこか他と絵が違うのは、その秘密はここにあったのです。でも無国籍風のあの絵に魅力があったからこそ、今でもこの作品は多くの人の支持に支えられているのですから、何が幸いするか判らないものです。
「黄金バット」は、その後日本テレビ系で放送され、人気も上々 で1 年間に 52 本の作品が製作されました。続いて製作に入った「妖怪人間ベム」では、韓国の人たちも、かなり複雑な動作もアニメート出来るように進歩していました。
8O 人の韓国スタップの中にたった一人、 16 歳の少年がいました。最年少でしたが、この少年も、驚くほど上手くなっていました。彼には、子どもの妖怪 人間"ベロ " を描く担当にしました。 3 人の妖怪人間の中でも、特にベロに豊かな表情と、躍動感あふれる動きがあるのは、この子の感性に負うところが大きかったのです。


https://web.archive.org/web/20130130160459/http://www.k2.dion.ne.jp/~nersury/page015.html

 しかし、同時に制作費を抑えるため、セルの枚数や絵の具の使用量に対して 厳しく制限が加わるようになってきました。また、テレビアニメは、一週間に一度放送されてゆくわけですから時間への制約も大変です。「ベム」の頃になると、放送前に、何点か場面を想定し絵のストックをしたり、また一度使ったセル を全く別の日のシーンで再度使用したりもしました。これも放送に間にあわせ、経費を節減するための苦肉の策でした。
また、当時はアニメを海外で製作するということがなかった時代ですから、大切な仕上げの原画が空輸中に没収や紛失、傷つけられるという事件が度々おきていたのです。そのたび「第一動画 」から揃き直しの指令が届き、そこからは何日も徹夜の日が続きました。何日もかけてやっと仕上げたものを、もう一度同じ形に描きなおすのですから、これは精神的にもキツイ作業です。
しかし、そんな時でも韓国の人たちは、寝食も忘れ、私の指示にも答え、黙々と作業を続けてくれるのです。今でも思い出すのは、あの時の韓国の人たちの、まさに献身的な仕事と向き合う姿なのであります。

「黄金バット」の勢いをかつて製作された「ベム 」でしたが、当時は期待に反して人気の方は今ひとつでした。やはり、当時としてはモダンな絵柄や、不思議な物語は、まだ早すぎたのかもしれません。当初は一年間放送する予定だったものが、テレビ局側のお達しで、半年の 26 本で打ち切りが決定したのです。
第一動画からの電話では、韓国との提携は打ち切るので、すぐ帰国するようにとのことでした。
当初、韓国との文化交流として始まった私の渡韓ですが、何時の間にか企業の論理にすり替わって私もその歯車に組み入れられていたのです。
アニメの製作には大変な入手が必要です。その制作費の 6 割は人件費です。 当時、日本でもアニメ製作における人件費の高騰や、人手不足がすでに始まっていたのです。日韓両国の繁栄とは名ばかり、つまるところは、韓国の安い人 件費と人手を確保するための下請けに過ぎなかったのです。
私は、何とか東洋放送との提携を続けるよう会社に掛け合いました。が、第一動画では、既に日本国内に新たな下請けの製作スタジオを確保する計闘が進んでいて、私はそこへ出向が内定しているとのことでした。結局、 2 年間の韓国との共同製作は、空輸にかかる経費や度重なるセル画の紛失など、思ったほどに 製作費用が浮かないという判断が会社にはあったのです。
最後には「森川さん、あなたも第一動画の役員なんですから、韓国のことより、まずは第一動画のことを考えてください。」と突き放されてしまいました。
その後、どうにもならなくなった私は 4 年間過ごした韓国を後にしました。第一動画の非情な決定を知ったあとも韓国のスタッフたちは、全員が、空港に私を見送りに来てくれました。別れの日、私は彼らを守れなかったどころか、むしろ会社の手先になって裏切ってしまったという思いから、彼らの顔がまともに見られませんでした。日本人の私に家族のように接してくれた韓国の方たちとの思い出が、脳裏を駆け巡り機悔したのです…。
帰国後、暫くして、東洋放送の重役の方が来日され、浅井専務に物凄い剣幕で怒鳴り込んできたそうです。その方は「森川を出せ」とのことでしたが、会社では、私は帰国後体調を崩して秋田に入院していると嘘までついたそうです。
でも、きっと当時の浅井専務や庵原常務さんは会社を守るため、私以上に必死だったと思います。 「黄金バット」や「ベム 」のあの素晴らしい主題歌や、「早く人間になりたい」という有名なフレーズを考えたのは浅井専務です。それ以外にも企画の殆どで、その卓越したアイディアは数知れません。彼も、「バット」と「ベム」の生みの親であり、また大変な功労者だったのです。
さて「東北新社」 といえば、当時「風とともに去りぬ 」を輸入した大手広告代理店です。ここと、第一動画が提携して、秋田県本荘市に韓国同様の下請けの動画製作スタジオが建設してあり、すでに50 人ほどのスタッフが揃っていました。
日本海の波しぶきが雪と混ざって吹きたてる毎日でした。そして、スタッフも何となく集った人の様でありました。それでも、いつもの私なら根気強く教えられたのですが、当時の私は韓国への断腸の想いから、意欲を失い、このスタッフは使い物にならないと報告をし、ひとつの作品も作らずスタジオを閉鎖してしまったのです。その責任を取る形で、私は第一動画を去りました。
その為、東北新社との提携も白紙に戻り、第一動画には、多大の負債だけが残ってしまいました。今思うと、この私のスタジオ経営反対も、会社にとってはかなりの痛手になってしまったと思います。その後も 「第一動画」に残った庵原さんや、草野さんたちのご苦労は、大変だったと思います。でも、彼らの惜しみない熱意が、この作品を守り、度重なる再放送が今もファンを増やしております。
その後、 3O 数年、私は二度と韓国の地を踏むことはありませんでした。あの空港での別れの日以来、苦楽を共にした韓国の人たちとも、音信不通のままです。 ただ、唯一救いがあるとすれば、「妖怪人間ベム」 と「黄金バット」は当時の日本の子どもたちの心には確実に届いていて、今も生き続けているということであります。私が皆さまに伝えたいのは、あのふたつの番組は、皆さんの知らない名もなき韓国の方々が、それこそ血の惨むような努力を重ねて、作ってくれた ということなのです。もしかしたら仇であったかもしれない、日本の子どもたちに喜んでもらおうと、ひたすら描き綴った事実をお伝えしたかったのです。

来年には日本と韓国がひとつになって、サッカーの国際大会が聞かれます。
これからは国籍が違うとか、言葉が通じないなんて何でもないんです。私たちの世代は挫折してしまいましたが、これからの時代を背負って生きる皆さまは、どうぞ二度と過ちを犯さないでください。
差別をなくして、世界中の人たちと仲良くしてください。 今日は私の拙い話にお付き合い頁き、有難うございました。
https://web.archive.org/web/20130130160023/http://www.k2.dion.ne.jp/~nersury/page016.html

講演後記
さて、皆さま如何でしたでしょうか。
実は、私も子どもの頃から「妖怪人間ベム」も「黄金バット」 も、大好きな作品でして、いつもワクワクしながら観ておりました。しかし、こんな驚きのエピ ソードがあろうとは思いもよりませんでした。
妖怪人間や黄金バットの活躍に胸躍らせた者のひとりとして、森川先生という 一人の天才と、その師を信じた名もなき異国の若者たちの努力に心から感謝いたしました。みなさんもきっと同じ思じ思いかと存じます。

さて、ここでもうひとつ皆さまへ大変なご報告がございます。なんと、先生とご一緒に 「 妖怪人間ベム」「黄金バット」をお作りになった当時の第一動画の製作スタッフの方々が、今日の先生の講演をお祝いしようと駆けつけてくれております。ここで、会場の皆さまに、この素敵な森川先生の仲間たちをご紹介したいと存じます。恐れいりますが、お名前を呼ばれた方は、どうぞお立ちいただき、会場の皆さま並びに森川先生へ一言ご挨拶いただきたいと存じます。まずは、番組のプロデユースを担当され、当時第一動闘の常務取締役であった庵原和夫様です。奄原様いかがでしょうか。
庵原氏「こんな立派な会場で、何十年ぶりに森川さんとお会いできるとは思いもよりませんでした。今、お元気な姿に非常に感動いたしました。韓国時代の想い出というのは、森川さんの人生の中でも最高に充実した数年間だったろうと思います。当時は、私たちも韓国へ行くと森川さんたちのご苦労を見ては、東京の本社へ参りまして社長に報告したり、そして私たちも海外での動画製作の方法を研究したりと、森川さんとは別の意味で殆ど毎日徹夜のような日々を送っていました。そういった意味では、森川さんと一緒に仕事をしたことは、僕にとっても大変貴重な時間でした。ありがとうございました。そして森川さん、どうぞ、まだまだこれからもお元気でいらしてください 」

庵原様は若い頃からの先生のご親友でもあり、今日は何としても森川先生を祝福したいと、かなりの無理をして、はるばる横浜から起こしいただきました。 どうぞ、皆さま大きな拍手をお送りください。
どうぞ、庵原様、これからもお元気でいらしてください

https://web.archive.org/web/20130129082939/http://www.k2.dion.ne.jp/~nersury/page017.html

又野龍也さんより
さて、続きましては先生と共に韓国に渡り、現地指導のお手伝いをしていた当時の若きアニメーターをご紹介いたします。又野龍也さまでございます。又野さまは、現在、画家としてもご活躍でございまして、先生と共に「まんが日本昔ぱなし」などでご活躍されておられます。又野様お願いいたします。
又野氏「どうも、皆さんこんにちは。 ( 表題を指し ) ここに「伝説のアニメータ ー」と書いてありますが、森川さんは我々アニメーターにとりましても、まさに伝説の人であるわけで、雲の上にいるような人です。とにかく、森川さんに追いつかなきゃダメだと、でもどんなに頑張っても森川さんの絵には敵わない。まあ、 森川さん自身の生きかたが漫画そのものという人ですが ( 笑 ) 。韓国の想い出というと、さきほどの森川さんの話とも少し重複するかもしれませんが、今から35 年位前ですね。私が 25 、6 歳、日韓基本条約が結ばれて一年くらい経った頃 です。森川さんは暫らく前に行ってらして、私が後から行かされたんです。当時、韓国は軍事政権でしてね。だから、行ったら殺されるんじゃないかつて真剣に親や友達が心配してくれました。夜は戒厳令が敷かれていて、9 時以降は外出禁止なんです。私がソウルの空港についたのが、夜 1O 時過ぎだったと思いますが、東京から何も食べてなくて、とにかく食事をしたいと思っても応が全然開いてないんですね。一軒だけ果物屋が開いてて、やっとバナナを 3 本買い、ホテルで食べたのが最初の想い出です。今でこそ、素晴らしい文化の国ですが、その当時は本当に大変な国状でしたね。ここで、ホントにアニメが教えられるのかっていう状態で、鉛筆や紙だって満足に揃わないんです。そこで、森川さんと二人で最初3ヶ月位。その後は東京とソウルを行ったり来たりしながら、延べでは半年位いましたね。とにかく、森川さんと一緒に、アニメの「ア の字から教えていったんですね。今、韓国で、アニメーション、大分盛んになっていると思うんですけど、多分私たちが教えた人たちが中心になって、その次の世代がだんだん広めていって、今の韓国のアニメの降盛があると思うんですね。だから、言って見れば森川さんは、韓国アニメーションの育ての親というか、そういうことだと思います。「ベム 」の後、私は森川さんより第一動画を先に辞めたので、今日初めて聞くような話も沢山ありましたね。その後は「まんが日本昔ぱなし」を私がやって、また森川さんと一緒になったんです。森川さんという人はいつも前向きに物を考える、じっとしないで何かをやっていて、それが凄く新しいことをやっているんですね。だから、森川さんは絶対死ぬまでボケない、多分そういうタイプ の人なんですよ。さっき息子さんと話したんですが、たぶんコレが終わったらガ ックリくるんじゃないかって言ってましたけども、僕はそうは思わない。次やることを、もう今から考えてるんじゃないかと思います。まあ、電話ではよく話するんですけども、なかなか会えなかった。お会いするのは今日が十数年ぶりです。 森川さんも 82 歳ですか。本当に日本のアニメ界にとっても貴重な「人間国宝 」みたいな方ですからね。とにかく、これからも頑張って、まあ、頑張ってというと無理しそうですから、マイペースでコツコツと、あまり急がずにやってください。
そして、これからもどうぞお元気で。」

又野さま、どうも有難うございました。お2人とも日本が世界に誇る「ジャパ ニメーション」の屋台骨を支えた一流のアニメーターでございます。また、「ベ ム 」という歴史的番組の当時の製作者たちが、3O 数年の時を経て今、一堂に 会したというのは、ここ嵐山町始まって以来の大変な事件ではないで、しょうか、
さて、ご講演の中にありましたが、心優しい先生は、今も韓国の弟子たちを欺いてしまったという後悔の念をお持ちです。しかし、実はこのストーリーには後日談がございますので最後にご披露させていただきます。あの韓国での辛い別れから 3O 数年たった昨年の夏、ある日、先生のご自宅へ一本の国際電話がか かってきました。電話の主は、なんとアノ日の韓国の生徒の一人からです。彼は片言の日本語で一生懸命に語ってくれたそうです。「森川先生、お元気ですか。多分、先生は覚えてないかも知れませんが、私はあのとき先生にアニメーションを教えていただいた 8O 人の生徒の一人です。お陰さまで今も先生に教えていただいたアニメを仕事に生活してます。これも、先生が一生懸命、教えてくださったお陰です。やっと、先生にお礼がいえました。」とのことでした。この方が、 電話をかけてくれたことで、恐らくは先生もほんの少し心のつかえが救われたのではないでしょうか。
先生は 2 度、海外で、アニメを指導されています。最初が戦時中に渡った中国、そして、今お話のあった韓国です。私は思うに、先生が渡ったこの時、史上初めてこの2 つの異国へアニメーション技術が伝わったのではないでしょうか、そして、これが原点で、その後現地の方の努力により、アニメが根付いたのではないでしょうか。そう考えると、韓国や中国での、今日のアニメーション産業隆盛の影には、アニメの伝道師・森川先生の惜しみない努力と、平和を願う心が絶対にあるように思うのですが、皆さん如何でしょうか。
お話の最後にありましたが、先生の願いは、民族や国籍を超え、地球に暮らす全ての人間が皆、仲良く暮らす社会の実現です。
来年のワールドカップ日韓共同開催の反面、今まさに首相の靖国参拝や、はたまた歴史教科書問題など、半世紀を経た今もなお戦争の後遺症は続いています。
ですから、皆さん。今の時代を生きる私たちは、今こそ、かなわぬまでも絵によって世界の人たちの手を繋ごうとされた森川先生の果敢な人生に感謝し、そして誇りに思おうではありませんか。そして、今日からみんなで努力しましょう。
それでは、今日素晴らしいお話を頂きました森川先生と、そして 「 妖怪人 間ベム」という素晴らしい作品を私たちに残してくれた素敵な仲間たちに、もう一度大きな拍手をお送りください。

「憲法9条で、アタマ悪い『対テロ戦争』をかしこくサボろう」
「愛国心とか夢見てんじゃねーよw
 国家は国民を守らない。君の生活とか老後は特に。」
「日の丸・君が代とか強制してると国が滅びますよ!(@∀@) (例)大日本帝国」