以前、勤めていた会社で営業のマネジャーをやっていた時の話。

営業のマネジャーなので、当然チームのメンバーから営業の報告を聞くわけです。企業側は営業というものを受け慣れていて、営業が稚拙だったり、業界の常識的な情報を、訳知り顔で話されたりすると、「あぁ、また時間を無駄にしてしまうのかな。」という気分になって、つい邪険に扱ってしまうこともあるわけです。

ただ、やっぱり大半の方は、つまらない話や稚拙な営業であったとしても、ニコニコしながら聞いてくれたり、時には未熟な営業担当を育てるよう促してくれる方もいらっしゃるわけです。

95%はこういう素敵なお客さん。

でも、年にほんの1~2回は変なお客さんに会うこともあって、営業担当者が怒り心頭で帰ってくることもある。たとえば、

「担当者同士がデキていて、ずっとイチャイチャしていて、こちらの話を全然聞いてくれなかったんですよ!」


という報告を受けたことがある。商談中に、目配せしあって笑い合ったり、体を触りあったりしていたそうな。1000~2000件の営業報告を受けたと思うけど、これを超えるインパクトの報告はなかったかな。

まぁ、入社2年目ぐらいの若手の男女社員だったから、社内でデキていてもおかしくはないと思う。会議室なので、先輩や上司の目もないし、つまらん営業の話なんて何度も聞いているし、でついついイチャイチャしちゃったのかもしれないですね。でも、壁に耳あり、障子に目ありだと思うんですよね。

あと、

「こちらの発言や提案を全否定した上で、いかに僕たちの会社と扱っている商品に価値がないかを1時間以上にわたって力説されました。」


という報告もあった。営業という仕事をやっていると、勤めている会社や商品をdisられることはよくあることなので、特に気にもとめてなかったのですが、面白かったのはその後日談。この方は務めていた有名企業を退職し、私達が属していたのと同じ業界で、独立・起業されたそうです。

立場が逆転して、発注する側だった人が発注される側になったわけですね。
独立後、この方の噂は聞かなくなりましたが、元気にやっているのでしょうか。少し気になります。


雇用の流動性が高まり、転職や起業する人が増える時代になると、こういった立場の逆転を経験する人の数もきっと多くなると思うんですよね。その時に、やっぱりどのように仕事をしてきたか、どのように人に接してきたか。というのは見えないところで自分のブランドになると思うのです。


創業経営者に人格者が多いのは、disられる経験と、人に救われる経験の両方をたくさんしてきたからなんでしょうね。



ぼくも過去を振り返って、どうしてあんな態度をとってしまったんだろう、と思うことが多いです。過去の反省を活かして、誰に対しても真摯に振る舞えるようになれればいいのですが。