スパイ防止法は危ないと思いませんか? スパイ防止法が制定された後に実際に起こり得る事態を、具体例として挙げて説明します。 1. 記者やメディアの逮捕 ある新聞記者が、防衛省の装備調達に関する不正を内部告発者から取材し記事にしたとします。政府はその情報を「国家機密」に指定し、記者を「機密漏洩幇助」の疑いで逮捕。証拠は「機密扱い」で非公開のため、世間は真相を知ることができない。結果として報道各社が萎縮し、政府批判記事が激減する。 2. 市民活動家や政治的反対派の排除 環境保護団体が、海外の専門家と協力して軍事施設建設予定地の環境調査を行う。政府はこれを「外国勢力との情報共有による安全保障への脅威」と認定し、活動家をスパイ容疑で拘束。長期間勾留され、裁判は非公開。活動そのものが消滅し、市民運動が衰退する。 3. 学術研究の萎縮 大学教授が外国の学会で、人工衛星通信技術の研究成果を発表。この内容が政府の判断で「軍事転用可能な機密」に指定され、教授は国家機密漏洩で起訴される。以後、研究者は国際学会発表や海外共同研究を避けるようになり、科学技術の発展が停滞する。 4. 冤罪の発生 IT企業社員が、海外のクライアントに技術資料を送付。実際は民生用で問題ない内容だが、捜査当局が「軍事利用の可能性がある」と判断し逮捕。裁判で無罪が確定するまで長期拘束され、生活や社会的信用を失う。 5. SNSでの発言が処罰対象に 一般市民がSNSに「政府の○○計画は危険」と投稿。その根拠として共有した情報が、後から政府により「国家機密」に指定され、投稿者が機密漏洩容疑で捜査対象に。これにより、国民は政治批判や情報共有を避けるようになる。 6. 政府による情報の完全統制 災害対応や感染症対策の失敗を示す内部資料が存在しても、「国家機密」の名目で非公開にされ、報道も規制される。国民は正確な状況を知ることができず、政府発表だけを信じるしかなくなる。 こうした事態は「外国スパイ摘発」という名目のもとで正当化されやすく、一度法律が施行されると、対象は安全保障分野から政治、経済、学術、文化活動にまで広がる危険があります。つまり、スパイ防止法は運用次第で、国民生活のあらゆる領域を監視と統制の下に置くことができるのです。