私が書いた童話(小学校3年生以上が対象)の一部分です。 アフリカの子どもが、野生動物がいる自然公園で植樹ボランティアをする場面です。 ①あなたが日本の読者なら、最後のレンジャーの言葉に納得しますか? ②あなたがアフリカの子どもなら、最後のレンジャーの言葉に納得しますか? ・・・ 「なぜ、こんなにりっぱな公園があるのに、動物たちは公園の外に出るのですか? 動物たちを公園に閉じこめることはできないのですか?」 「なぜ、動物たちは公園の外に出てぼくたちの畑のものを食べるのに、公園から出た動物を、人間が狩って食べてはいけないのですか?」 「ヘビとかワニとかオオトカゲが人間を襲えば、それは退治してもいいことになっています。が、なぜその皮を好きなように使ってはいけないのですか?」 それは質問というより、まるでレンジャーにつめよっているようでした。それらは国立公園のすぐ近くの子どもたちの意見でもありました。レンジャーの人はとても誠実に一つひとつの質問に答えていきます。 実は、国立公園のまわりの村人たちは、動物たちのふるまいに困りはてていました。動物は、どうも人間の作った、栄養のある味のいい農作物が大好きなのです。動物たちは収かく前の作物を一晩で食べつくします。ピーナッツは根こそぎほって食べ、一年間の食料にするつもりのモロコシも、半分以上をふみつぶして食べたりします。 アフリカの多くの国では、動物に作物を食べられても、政府からお金や食べ物を助けてもらえるしくみはありません。運悪く動物のひがいにあえば、親せきや近所の人に借金をして食いつなぐしか、方法はないです。子どもたちがレンジャーに不満を言うのはしかたのないことでした。 「なぜ、動物たちはこんなに広い公園があるのに、ぼくらの畑へやって来てまで、作物を腹いっぱい食べるのですか?」 レンジャーが、残念そうに言います。 「じつはね、動物たちはあんなにおいしそうに食べますが、人間の作る作物をうまく消化できないのです。ゾウやカモシカは、草や木の葉を食べるようにできてるから、ピーナッツやモロコシを食べすぎると、お腹をこわしてしまうことが多いです。それでも、あまいにおいいがすると、どうしても食べたくなってしまうんです」 すると子どもの一人が言いました。 「動物たちは無計画に私たちの農作物を食べます。その無計画な消費こそが、私たちを飢饉に近い状態においやります。もし私たちが、動物たちが消化できる作物も畑で計画的に作り、計画的に与えれば、私たちは助かると思います」 レンジャーは、うなずきながら聞いていましたが、しんけんに目を開けて 「そうなると野生の動物ではなくなります。それでは家畜です。しかし私たちはもっといい計画を持っています。それが今回の、動物のための森作りです。森こそが動物の食堂です」 ・・・