なにか本質的な認識上の移動を必要とするアナロジーが私たちを魅了する。
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A. 1 2 3 4 5 5 4 3 2 1
B. 1 2 3 4 4 3 2 1
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さて、Aの4に対するBはなにか?
一番ありそうなのは3だ。根拠は、たぶん、4がAの中心の対(5 5)の直前にあって、3がBの中心の対(4 4)の直前にあるといったところ。
Aの構造を記述せよと言われたら、たぶん、答えは「1から5へ順次上がって、次に5から1に下がり、半分同士が鏡像対象になっているアーチ状の数列」といったぐあい。
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1 2 3 4 5-5 4 3 2 1
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と見えているはず。
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C. 1 2 3 4 5 7 7 5 4 3 2 1
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Aの4はCでは?
私にいわせれば、答えは6。「6?そんな数ない!」ごもっとも。だが、存在しないからこそ、6が目立つのである。
Aの4は、文字面だけでなく、数値的にも5の直前の数なのだ。Aの5は、Aの最大数でありかつ中心の対を作る。どちらの役割も、Cでは7が演じている。
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D. 6 9 7 3 9 4 1 6 6
E. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 7 8 9 6 5 4 3 2 1
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Dでは、Aの中の2個の4の相互関係が問題になる。これをAにおける4の役割といえないことはない。たしかに、二つの4の関係はこれだけではないが。
Aのうち、4以外の数を伏せてしまえば、こんなイメージが得られる。
x x x 4 x x 4 x x x
Aの二つの4にこうした見方をすると、Dのどれがこれに対応するだろう?二回顔を出して、間に二つ数が入っているのは9だけだ。
Dのうち、9以外を伏せてしまうと、
x 9 x x 9 x x x x
これが、Aの4に当たるものとして、Dの9を選ぶ十分な理由になるかもしれないし、ならないかもしれない。
見た目には、次のような再構成が起こる。
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1 2 3 4 5 6 7-8-9 7-8-9 6 5 4 3 2 1
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答えは、6だ、と思えよう。だが待てよ、中心の対だけでなく、全体を三つ組のかたまりに分解できるのだ。
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1-2-3 4-5-6 7-8-9 7-8-9 6-5-4 3-2-1
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F. 1 2 3 4 4 4 5 6 7 8 9 8 7 6 5 4 4 4 4 3 2 1
G. 1 1 1 2 3 4 3 2 1 1
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7は二つあるが、どうも顕著な役割を演じている様子がない。しかし、7はA'の中では特別である。よく見ると、A'の最大の特長は4が目立って多いこと。
実に「7個」の多さ。つまり、7は数字としてではなく、数えるための機能を発揮して、特別の役割を演じているのである。これをGに移動できるか?
まず、移動可能な形で7が数えたものを、性格づけしなくてはいけない。「4の個数」というのでは、あまりにも近視眼的だ。
A'で一番多くて目立つ7は、Gでは1が演じている。7の対応物は、B'における1の個数、つまり5。またもGに現れない数が答えになった。
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「abc」が「abd」になったなら、「pqrs」は何になるか?
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a-b-c-dだからp-q-r-s-tでpqrt?
aとb以外が全部dになるからdddd?
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巡回して「xya」?
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もしアナロジーを作る機構が進化的な選択を受けたとすれば、むろんアナロジーはある程度までは好みの問題にすぎないが、「エレガンス」「簡潔さ」「一般性」というものがアナロジーに対しても意味をもつ。要するに、生存に役立つ。pqrsがddddになると判断した人は、実人生で苦労するかもしれない。
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アナロジーを作る人は、提示された解の洗練度を評価しようとするが、結局は現実世界における運用が、その成否を決定するのである。
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追記:もし「eqe」が「qeq」になったとしたら、「eqg」はなにになる?