
医師の大量退職から経営難に陥った大阪府阪南市立病院で、新たに確保した医師が新市長の病院経営見直しなどに反発し辞意を伝えている問題で、医師8人が12日、辞表を提出した。この日就任した福山敏博市長は話し合って慰留する考えだが、市立病院の運営は再び厳しい局面を迎えた。
この日午前中に、辞表が提出された。関係者によると、常勤的に診療をしている医師2人のほか、当直医などで、来年2月末などに退職する意向という。
阪南市立病院は、医師の大量退職で昨年7月に内科が休診。その後、歩合給を導入して医師の平均年収を約2000万円に引き上げる待遇策を掲げるなどして医師確保を進め、今年9月に内科の診察を再開するなど再建に乗り出していた。しかし、10月の市長選で現職を破り初当選した福山市長が、歩合給の見直し検討などに言及していた。
医師らは、福山市長の発言は、給与体系を見直した議会の議決を無視したもので、信用できなくなったなどとして反発。これまでに辞意を表明していた。市側は慰留に努めるが、辞職につながれば、医療収益が大きく減少するなど、運営に支障が出るおそれがある。
こんな流れですね。
昨年7月に医師の大量退職で内科が休診
↓
『年収1200万円→2000万円にするから医者集まれ~』
↓
なんとか医師確保、今年9月から内科再開
↓
10月の選挙で新市長誕生。『やっぱ給料値上げ無しね』
まあせっかく集めた医師が辞表を提出するのは当然でしょうね。
もう医師たちは福山敏博新市長を信用出来ないでしょうし、辞めて他に行った方がずっと良い条件で働けるのですから。
『ストライキ』や『契約を反故にされ慰謝料請求』などと騒いでいるのではないのですから医師達を批判する理由も見つかりません。『退職』くらいは認めてあげるべきでしょう。
例え今後『慰謝料請求』したとしても当然な気がしますし。
集まった医師たちからみれば『騙し』そのものなのですから。
医師が居なければ病院運営どころではありません。
医師は今、訴訟リスクを抱え、お金の問題ならまだしもミスらしいミスが無くても逮捕されて『人殺し呼ばわり』されてしまう『割に合わない』仕事になってしまいました。
今までは医師に診て貰う事で治った病気や怪我が、今後は『致命傷』になってしまう可能性も出てきたのです。
マスコミによる『医療叩きキャンペーン』は当初は医療ミスによる事故を白日の元に曝してくれ我々にとってありがたいものでしたが、今は『やりすぎ』なのです。
『過ぎたるは及ばざる如し』ですね。
我々が健康を維持できて長生きできるのも、当たり前のように近所に病院が存在しているからで、その当たり前が当たり前でなくなった時は、治療行為も受けられずに死んでいく身内を見る事が『当たり前』になってしまうのです。
診てくれる医者を探して走り回る未来を私は望んでいません。
本件に話を戻しましょう。
病院を維持再建する為には医者が必要不可欠です。医者が治療行為を行う事で億単位の収入が発生しそれを他のサポートにまわる看護士や事務員が分け合うのです。
サポート役ばかりいても医者がいなければ収入は発生しないのです。
『医師確保』は病院経営の基本と言って良いでしょう。
阪南市議会と前市長は内科を復活させる為に財政崩壊な中から公務員給与を少しずつカットまでして予算を作り医者を集めました。
来てくれた医者の中には前市長と議会の地域住民を守ろうとする必死な姿に共感して来てくれた医者もいるでしょう。
公務員労組『自治労』は、自らの給与カットに反対するために、反対派の新市長を担ぎ出し10月の市長選で前市長を破りました。
阪南市立病院が30億の負債を抱えてしまった当時、福山敏博新市長は『阪南市立市立病院副理事・事業部長』という病院経営の実権を握る立場だったらしいです。前市長によって解職されていました。
阪南市でも無責任な『自治労』が大活躍って訳です。
議会と前市長、そして阪南市の住民の事を思って給与カットに応じた真面目な公務員の『努力』は見事に踏み躙られてしまいました。
内科復活どころか結果は大量退職で『市立病院閉鎖』の危機ですからね。
今回の大量退職を作り出した自治労と新市長とそれにマスコミは、病院閉鎖の危機を退職医師たちに責任を擦り付けようとしているようなので注意が必要です。
騙されて更に責任を押し付けられて、医師たちはたまったものじゃありませんね。
10月の市長選で阪南市立病院の給与体系見直し問題が争点だったのかどうかが気になります。もしそれが争点で見直し白紙撤回を掲げる福山敏博新市長が誕生したのだとしたら、市民の総意が『病院閉鎖』だったという事ですからね。
本件は、給与値上げを白紙撤回すれば医師の大量退職まではほぼ『決定事項』です。大量退職後のプランを福山敏博新市長は有権者に何と説明していたのでしょうね?
責任ある立候補者ならば、この後予想される『病院閉鎖』、『退職者に多額の退職金支払いが発生』、『阪南市が財政再建団体へ』という当然の流れをきちんと有権者に説明しているはずですね。
そして『当然の流れ』を止める代替プランをきちんと掲げていたのですよね?
まさか新市長は無責任に『白紙撤回』だけを繰り返し連呼していた訳ではないのでしょう?そんな『ジンバブエ状態』を生み出すような無責任な人じゃないですよね?
そういった事がきちんと説明されていて福山敏博新市長が当選したのならば、それでも福山敏博新市長に投票した阪南市民の財政再建団体転落への『選択』を我々がとやかく言える立場ではありませんね。福山敏博新市長&自治労ばかりを責める事も出来ません。
自ら財政再建団体転落への道を選択する行為自体は全く理解不能ですが。
結果振り回された医師たちは非常にお気の毒ですね。
続報を待つとしますか。
さっそく嘘を付いてまで『医者のせい』にして責任を押し付けようとする連中が現れましたので追記しておきます。
医師年収「2000万円」巡りバトル 「人手不足を人質に…」: とくダネ!:J-CAST テレビウォッチ
医師達は『言い値でもって要求』なんて全くしていないのに…
『歩合制』を提示して医師達を募集したのは阪南市側、その募集条件をを再開早々反故にしたのも阪南市新市長です。
桜美林大大学院教授の諸星裕氏はろくに調べもしないで発言する無責任な人なのですかね?
騙された形の医者達は辞職する権利もないのですか?
『騙された医者が悪い、黙って働け!』とでも言いたいのですかね?
なんで諸星裕氏はTV番組という影響の大きい場で嘘を付いてまでミスリードしようとしているのでしょう?
酷いものですね。
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