集団的自衛権
自国と同盟関係、または協力関係にある国家が攻撃を受けた場合、それを自国への攻撃とみなして、共同で防衛のために武力行使をする権利。国家の国際法上の権利の一つで、国連憲章第7章第51条で規定されている。
国連憲章51条には、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」と明記されている。
日本では、憲法第9条(戦争の放棄、戦力の不保持)との整合性が問題になり、様々な見解がある。防衛省は個別的自衛権は憲法9条の交戦権には当たらないとして、その行使が認められているが、集団的自衛権については、「わが国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然だが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されない」との考えを示している。
2012年12月に発足した第二次安倍内閣では、集団的自衛権を容認する構えをみせており、憲法改正に向けた議論がなされている。2013年3月31日のウォールストリートジャーナルの記事によると、安倍政権による集団的自衛権の容認は、中国の台頭や朝鮮半島情勢の緊迫化などが背景にある。他方、韓国は日本の再軍備につながりかねないと警告している。
2013年4月9日のMSN産経ニュースの記事によると、アメリカのカーター国防副長官は、集団的自衛権行使の容認の姿勢をみせる安倍政権を評価し、「日本が国際社会に果たせる役割につながる」と述べた。アメリカは、東アジア地域で影響力を強める中国に対する牽制を意図しているという意見が多い。
関連サイト:
国連憲章 - 国際連合広報センター
集団的自衛権「制限緩和は建設的」 米国防副長官が歓迎 - MSN産経ニュース
日本で高まる軍事力強化論―北朝鮮情勢受け - THE WALL STREET JOURNAL.
憲法と自衛権 - 防衛省
しゅうだんてき‐じえいけん〔シフダンテキジヱイケン〕【集団的自衛権】
読み方:しゅうだんてきじえいけん
国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一。ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利。→個別的自衛権
[補説] 日本は主権国として国連憲章の上では「個別的または集団的自衛の固有の権利」(第51条)を有しているが、日本国憲法は、戦争の放棄と戦力・交戦権の否認を定めている(第9条)。政府は憲法第9条について、「自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められている」と解釈し、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」との見解を示してきたが、平成26年(2014)7月、自公連立政権下(首相=安倍晋三)で閣議決定により従来の憲法解釈を変更。一定の要件を満たした場合に集団的自衛権の行使を容認する見解を示した。武力行使が許容される要件として、(1)日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(存立危機事態)、(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、(3)必要最小限度の実力を行使すること、を挙げている。
集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん)
集団的自衛権は、「自国が直接に攻撃されていない場合でも、自国と密接な外国が武力攻撃されたときは、自国も加わってその攻撃を実力で阻止できる権利」と定義される。2国以上で自衛を行う意味から、集団的自衛と言う。集団的自衛の典型例は軍事同盟だ。集団的自衛権は「国家の権利」として国際的に認められている。
日本の集団的自衛権については、多くの人が否定的だ。政府見解でも「現行憲法では集団的自衛権の行使は禁止されている」としている。
仮に日本がどこかの国と集団的自衛に参加しているとする。それで同盟国が武力攻撃を受けた場合、日本は同盟国を救うため、まず武装部隊を海外に派兵する。そして同盟国に加担して戦争に参加する、ということになる。これは自衛のための必要最小限度を超えるため、現行憲法では許されない、と見るわけだ。
(2000.10.25更新)
【集団的自衛権】(しゅうだんてきじえいけん)
友好国が攻撃を受けた場合に、自国がその戦闘に介入し共同して敵を駆逐すること。もしくはその権利。
一般的な軍事同盟においては基本的な事柄だが、平和憲法を擁する日本が結ぶ日米安全保障条約においてはしばしば論議の対象となる。
いわく、憲法に従って日本が武力を行使しなければ「安全保障のタダ乗り」と批判され、逆に武力を行使・あるいはそれに準ずる行為をすれば「憲法違反ではないか」と批判される。
日本国憲法第9条が示す「武力放棄」の範囲を議論する「憲法解釈」と密接に存在する問題である。
集団的自衛権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/26 06:57 UTC 版)
集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん、英語: right of collective self-defense、フランス語: droit de légitime défense collective)とは、ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が共同で防衛対処する国際法上の国家の権利である[1][2]。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある[3]。
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