日本の重力ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/22 01:37 UTC 版)
「重力式コンクリートダム」の記事における「日本の重力ダム」の解説
1900年(明治33年)、神戸市水道局が生田川本川に布引五本松ダムを建設したのが日本最初の例である。その後1911年(明治45年・大正元年)に「電気事業法」が施行されるに及んで福澤桃介や松永安左ヱ門といった名だたる実業家が電力事業に乗り出し、こうした中で帝釈川ダム・大井ダム等の堤高50mを超える本格的大ダムが建設された。さらに、昭和に入ると小牧ダム(庄川)や塚原ダム(耳川)といった堤高80mを超えるダムも建設され、折からの機械化工法の普及によりその勢いは加速。遂には高さ100mを超えるダムとして五十里ダム(男鹿川)や小河内ダム(多摩川)、水豊ダム(鴨緑江・現北朝鮮)といったダムが計画されるようになったが、戦争の激化により水豊ダム以外のほとんどは建設中止を余儀なくされた。 戦後丸山ダム(木曽川)が1955年(昭和30年)に完成すると、本格的な大ダム時代を迎える。電源開発株式会社が天竜川に建設した佐久間ダムは、当時としては大規模機械化工法の粋を尽くした建設工法で僅か3年半で1956年(昭和31年)に完成。その後小河内ダム・奥只見ダム(只見川)等高さ150m級のダムが相次いで建設された。また、この時期は堤体内部が空洞で、コンクリートの量を節減できる中空重力式コンクリートダムが多く建設されている。だが、次第に大規模重力ダムを建設できる地点が減少。現在は滝沢ダム(中津川)・八ッ場ダム(吾妻川)・戸草ダム(三峰川)といったダム建設が進んでいるものの、ダム建設への風当たりや経済的なダム型式の開発(台形CSGダムなど)により、1950年代の様な大規模重力ダムが相次いで建設されることは、まずありえなくなってきている。 所在地水系名一次支川名(本川)二次支川名三次支川名ダム名堤高(m)総貯水容量(千m3)管理主体備考福島県新潟県 阿賀野川 只見川 - - 奥只見ダム 157.0 601,000 電源開発 神奈川県 相模川 中津川 - - 宮ヶ瀬ダム 156.0 193,000 国土交通省 埼玉県 荒川 浦山川 - - 浦山ダム 156.0 58,000 水資源機構 静岡県愛知県 天竜川 天竜川 - - 佐久間ダム 155.5 326,848 電源開発 東京都 多摩川 多摩川 - - 小河内ダム 149.0 189,100 東京都水道局 福島県 阿賀野川 只見川 - - 田子倉ダム 145.0 494,000 電源開発 富山県 常願寺川 和田川 - - 有峰ダム 140.0 222,000 北陸電力 群馬県 利根川 渡良瀬川 - - 草木ダム 140.0 60,500 水資源機構 長野県 天竜川 三峰川 - - 戸草ダム 140.0 61,000 国土交通省 計画中 埼玉県 荒川 中津川 - - 滝沢ダム 132.0 63,000 水資源機構 奥只見ダム(只見川)高さ157m 浦山ダム(浦山川)高さ156m 宮ヶ瀬ダム(中津川)高さ156m 佐久間ダム(天竜川)高さ155.5m 小河内ダム(多摩川)高さ149m 田子倉ダム(只見川)高さ145m 草木ダム(渡良瀬川)高さ140m 有峰ダム(和田川)高さ140m 滝沢ダム(中津川)高さ132m 下久保ダム(神流川)高さ129m 長井ダム(置賜野川)高さ125.5m 月山ダム(梵字川)高さ123m 弥栄ダム(小瀬川)高さ120m 上野ダム(神流川)高さ120m 鶴田ダム(川内川)高さ117.5m 札内川ダム(札内川)高さ114.0m
※この「日本の重力ダム」の解説は、「重力式コンクリートダム」の解説の一部です。
「日本の重力ダム」を含む「重力式コンクリートダム」の記事については、「重力式コンクリートダム」の概要を参照ください。
- 日本の重力ダムのページへのリンク