日本の介護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 22:00 UTC 版)
日本で「介護」という言葉が法令上で確認されるのは、1892年の陸軍軍人傷痍疾病恩給等差例からであり、介護は施策としてではなく、恩給の給付基準としての概念であった。「介護」という言葉が主体的に使われるようになったのは、1970年代後半からの障害者による公的介護保障の要求運動からである。それ以前の「『障害者の面倒を見るのは親がやって当り前』という社会の考え方からでは障害者は施設に追いやられる」という危機感からそのような運動が発生した。 公的介護保障の要求を受けて、介護人派遣事業が制度化され始めたのは1980年代半ばからであるが、障害者にとって保障と呼ぶにはほど遠いものであった。地方自治体による高齢者の訪問介護・看護事業は1960年代より始まったが、理念的には家族介護への支えであって、その考え方は現在でも受け継がれている。医療にクオリティ・オブ・ライフ(Quality of life・QOL)の考えが普及すると、介護にも導入され、介護によって病人、高齢者のQOLを高め、QOLのさらなる向上に貢献することもまた介護の目的とされている。 介護保険法や支援費支給制度により障害者が在宅介護や施設介護のサービスをまた、介護を行う介護福祉士や訪問介護員等の介護職や、介護サービスの利用の調整を図る介護支援専門員は、名称独占資格の専門職であるが仕事の肉体的・精神的負荷が大きく、仕事の難易度の高さや負荷の大きさや低賃金のため、恒常的な労働力不足の状況である。 日本における介護事業はしばしば、経営はきびしく、職員の待遇はよくないと報じられている。その一方で外資系買収ファンドが大手企業を買収し、企業価値をおおきく高めている。この背景には介護業界の、中小零細がひしめいている現状がある。このなかで合併と買収で規模を拡大し、スケールメリットを活かし、経費を抑制することによって高収益を目指している。また高齢者は増加の一途をたどり、市場成長が見込め、税金と保険料からなる介護報酬は公定であり値崩れはありえないというメリットもある。ようやく政府は2021年6月の閣議決定 骨太の方針に、介護事業の収支の届け出、ネット上での公表をもりこんだ。
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