存じます。とは？ わかりやすく解説

読み方：ぞんじます

存じますとは、相手の話や質問に対して、その事柄を既に知っていることを伝える日本語の表現である。主に敬語として使用される場合が多く、相手に対する敬意を示す意味合いが強い。また、相手が話している内容を理解していることを示すためにも用いられる。

存じますは、「知っている」という意味の動詞「知る」の尊敬語形であり、敬意を表すために使われる。敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があり、それぞれ相手や自分の立場に応じて使い分けることが求められる。尊敬語は、相手の行為や状態を敬って表現する言葉であり、存じますもその一例である。

一方で、存じますは否定形として「存じません」という表現も存在する。これは、「知らない」という意味の動詞「知る」の尊敬語形の否定であり、相手の話や質問に対してその事柄を知らないことを伝える際に使用される。同様に敬語として使われる場合が多く、相手に対する敬意を示す意味合いが含まれる。

読み方：ぞんじます

「存じます」とは、「～と思います」「～です」「～でございます」の意味で用いられる謙譲表現である。ビジネスシーンなどで「目上の者に用いるへりくだった言い回し」としてよく用いられる。

「存じます」は、動詞「存ずる」または「存じる」に丁寧語の語尾「ます」を付けた連語表現である。動詞「存ずる」は「思う・考える・知る・知っている」という意味の謙譲語である。

「存じます」の読み方は「ぞんじます」である。「存」の読み方（音読み）には「ぞん」と「そん」の2通りあるが、これは語義によって使い分けられる。「思う」という意味では「ぞん」の読みが用いられる（「そん」とは読まない）。異存（いぞん）・一存（いちぞん）・所存（しょぞん）・ご存知（ごぞんじ）などの語も同様に、「存」を「思う」という語義で用い、かつ「ぞん」と読む。

「存じます」は「知っている・理解している」という意味で用いられることもある。ただ、その場合は「存じます」ではなく「存じております」という言い方で用いられる。

「存じます」を使った表現・言い回しの例

「頂きたく存じます」の意味

「頂きたく存じます」は、目上の相手に何かをしてほしい場合など、要望や願望を丁寧に伝える時に用いられる言い回しである。「頂きたく」は、補助動詞「頂く」の連用形「頂き」と助動詞「たい」の連用形「たく」から成り、そこに「存じます」を付け加えることで相手を敬う気持ちがはっきりと伝わる表現となっている。ただし、「頂く」は「もらう」という動作を表す動詞の謙譲語でもあるため、「お時間を頂きたく存じます」「お言葉を頂きたく存じます」など、物理的に何かをもらいたい場面においても「頂きたく存じます」が使われている。そのため、書き言葉では、補助動詞の目的で使う時はひらがなで「いただきたく存じます」、動詞として使う時には「頂きたく存じます」と漢字で表記して区別するのが一般的である。

「お願いしたく存じます」の意味

「お願いしたく存じます」は、自分の希望を受け入れてもらいたいとお願いする時などに使う言い回しで、「お願いしたいと思う」の謙譲語である。「お願いします」のままでも日常生活では問題なく使われているが、ビジネスシーンでは依頼する相手に対して失礼にあたるケースがある。そこで、「存じます」を加えて「お願いしたく存じます」と言い換えることで、相手の都合や気持ちに十分に配慮している謙虚な姿勢が伝わり、目上の人にも安心して使うことができる。さらに、お願いを強要しているような不快感を与えることのないように、相手を気遣うクッション言葉を添えることで、よりやわらかいニュアンスになる。シチュエーションに応じて、「お願いしたく存じます」の前に「恐れていりますが」「申し訳ございませんが」「お手数をおかけしますが」などを適宜付け加えると効果的である。

「ご相談させていただきたく存じます」の意味

「ご相談させていただきたく存じます」は、「相談したい」を丁寧に言い換えて相手に敬意を示す表現である。悩みや問題が生じた時に、目上の人に打ち明けて、解決策やアドバイスなどの助言がほしい時などに用いられる。ビジネスシーンにおいては、話を聞いてもらうための時間を作ってもらうことに対して、あらかじめ承諾を得る意味合いもある。

「存じますが」の意味

「存じますが」は、「知っていますが」「思いますが」の意味で、「〜とは存じますが」「〜だと存じますが」といった形で、目上の相手に要望や意見を伝える時のクッション言葉として用いられている。唐突に本題を言うと相手に強いニュアンスで伝わってしまい、不快に思われることがある。そのため、「お忙しいとは存じますが」「失礼とは存じますが」と最初に述べておくと、時間を割いてもらい申し訳ない、言いにくいけれども伝えておかなくてはいけないという低姿勢な気持ちが伝わり、失礼な印象を与えずに本題に入れる。

ちなみに「存じますが」は、思っていることや知っていることを丁寧に表現する時に使われるのに対して、知っている対象が人や物である場合には、「存じ上げていますが」を用いる。意味や言い回しが似通っている表現のため、混同しないように注意が必要である。

「いただければと存じます」の意味

「いただければと存じます」は、「〜してもらえればと思います」を丁寧にした言い回しである。「もらう」の謙譲語である「いただく」に、仮定を表す「〜れば」と接続助詞の「と」を付け、「存じます」で締めくくることによって、押しつけがましくない謙虚な印象を与える。類語として、「〜れば」と同じく仮定を表す「〜たら」を使った「いただけたらと存じます」がある。

「恐悦至極に存じます」の意味

「恐悦至極に存じます」は、目上の相手に対して謝意を伝える場面で用いるかしこまった表現である。「恐悦至極」は、相手のしてくれたことに対して謹んで喜ぶという意味の「恐悦」と、この上なくという意味の「至極」の2語が組み合わさった四字熟語で、「きょうえつしごく」と読む。「恐悦至極」に「存じます」を組み合わせることで、恐れながらも非常に喜んでいるという気持ちと高い敬意を同時に表現することができる。改まったスピーチの場やビジネスメールなどの書き言葉として適している。

「幸甚に存じます」の意味

「幸甚に存じます」の「幸甚」は「こうじん」と読み、この上なく幸せであることを表す熟語である。「幸甚」に「存じます」を組み合わせた「幸甚に存じます」は、「〜してくれて助かります」「〜を大変嬉しく思います」という意味合いを含む最上級の敬語表現となる。口語としては堅苦しいイメージがあるため、形式的な敬語表現としてビジネスメールや手紙などの中で用いられることが多い。

「幸いに存じます」の意味

「幸いに存じます」は、「そうしてくださるとありがたく思います」という意味合いを丁寧に表現した言い回しである。ビジネスシーンなどで、相手にお願いをする時や感謝の気持ちを表す時に用いられる。同様の意味を持つ表現に「幸いです」があるが、「幸いに存じます」は「存じます」を付け加えることで自分をへりくだり相手を立てて、「幸いです」よりもさらに高い敬意を払うことができる。

「ありがとう存じます」の意味

「ありがとう存じます」は、「ありがたく」が音便化した「ありがとう」と「存じます」が組み合わさって成り立つ言い回しである。相手に対してお礼や謝意を伝えたい場面で用いる表現ではあるが、古風なイメージが強いフレーズで、日常生活ではあまり耳にすることがない。そのため、相手に堅苦しい印象や違和感を与えてしまうことのないように、使う場面や話す相手を選んで使う必要がある。「ありがとう存じます」ではふさわしくないと判断した場合には、同じ意味合いを含む「ありがたく存じます」「嬉しく存じます」「光栄に存じます」などの言い換え表現を用いるのが妥当である。

「存じます」の使い方・例文

・先日お伝えした件に関しまして、メールにてご一報を頂きたく存じます
・現在の状況につきまして、ご教示いただきたく存じます
・ご多忙のところ恐縮ですが、先日お送りした資料につきましてご確認をお願いしたく存じます
・今後の方針や進め方につきまして、後日改めてご相談させていただきたく存じます
・失礼とは存じますが、今回のプロジェクトにつきましては再検討が望ましいと考えております
・ご足労をお掛けしますが、お時間がある時にお越しいただければと存じます
・このたびは、このような格別なご厚情を賜りまして、誠に恐悦至極に存じます
・本日はこのような素晴らしい会合にお招きいただき、幸甚に存じます
・心ばかりの品をお送りしましたので、お使いいただけましたら幸いに存じます
・たいへんお世話になりまして、ありがとう存じます