奇異反応とは? わかりやすく解説

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奇異反応(きいはんのう)

不安感焦燥感取り除くために服用したはずのベンゾジアゼピン系睡眠薬によって、逆にちょっとしたことに興奮しやすく、攻撃的な行動とったりすることをいう。本来の作用とは反対症状出現するので、きわめて稀にしか出現しないが、の量が多い場合や、アルコール一緒に服用した時には起こりやすい。

奇異反応

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/11 08:52 UTC 版)

奇異反応(きいはんのう、paradoxical reaction、paradoxical effect)とは、薬物療法において、本来予想されるはずの作用の逆の反応が生じることである。


例えば、一部の人で、鎮静薬の使用に併せて、予想されるのとは正反対の一連の反応をもたらし、重篤で複雑な事態を生じさせる。ベンゾジアゼピンの奇異反応は、自殺傾向の有無にかかわらず抑うつ恐怖症、攻撃性、暴力精神病と時に誤診される症状から成る[1]。大人に処方された鎮静薬の一部は、一部の子供に多動症をもたらす。

ベンゾジアゼピン

ベンゾジアゼピンは、「マイナー」トランキライザーと呼ばれる種類の向精神薬で、催眠精神安定抗不安抗てんかん筋弛緩などの性質を持つが、正反対の反応を引き起こすこともある。敏感な人では、ベンゾジアゼピン治療に対して、不安の増加、攻撃性、動揺、精神錯乱英語版脱抑制、衝動の制御を失う、多弁英語版暴力行為、痙攣の反応がある可能性がある。矛盾した副作用は犯罪行動さえも招く可能性もある。[2]

ベンゾジアゼピンに起因する重篤な行動変化には、躁病統合失調症、怒り、衝動性、軽躁病などが報告されている[3]

ベンゾジアゼピンの奇異反応は用量に依存するように見え、そのため高用量で生じやすい可能性がある[4]

ベンゾジアゼピンに起因する逆説的な激怒反応は、意識の水準が変化した結果として、無意識下での行動英語版前向性健忘、抑制のない攻撃性を生じる。これらの攻撃的な反応は、脱抑制のセロトニン作動性英語版の機序によって生じる可能性がある[5]

英国医師会雑誌BMJ)への投書では、児童虐待が現に行われているかその脅威があるとされた親は、その時点で薬を服用していた割合が高く、頻繁にベンゾジアゼピン三環系抗うつ薬が併用されていたことが報告された。多くの母親が、精神安定剤を消費している間、不安や抑うつを少なく感じた代わりに、子供や同様にほかの家族の一員への敵意と攻撃性があらわになったと述べた。執筆者は、対処が困難な泣いている赤ちゃんと精神安定剤の作用との組み合わせのような環境的あるいは社会的ストレスが、児童虐待の出来事を促す可能性があると警告した。[6]

自己攻撃性が、臨床試験における研究条件下で報告され実証されている。ジアゼパムは、自らを害する気持ちを増加させることが判明している[7]

ベンゾジアゼピンは、たまに発作性疾患を有する患者において、脳波測定値の逆説的な悪化をもたらす[8]

バルビツール酸

フェノバルビタールは子供において多動の原因となる[要説明]。前日にフェノバルビタールが服用されていない条件で、20mgの小用量で生じる可能性がある。この反応の前提条件は緊張感の持続である。作用の機序は知られていないが、フェノバルビタールの抗不安作用によって始まる。

抗精神病薬

クロルプロマジンは、抗精神病薬および制吐薬で、「メジャー」トランキライザーに分類され、動揺、興奮、不眠症、奇妙な夢、精神病性症状の悪化、中毒性の錯乱状態のような奇異反応を引き起こす可能性がある。

抗うつ薬

抗うつ薬は稀に、所望の作用とは対照的に、異常な暴力性あるいは自殺衝動の状態にする。これは奇異反応と見なすことができる。[9]子供青年では、事例は非常にまれだが、抗うつ薬の服用で自傷行為自殺念慮の奇異反応に対してより反応する[10]

抗生物質

奇異反応あるいはイーグル現象(最初に記述したH・イーグルにちなんだ名称)、抗菌剤 (antimicrobialの活性を試験したとき、生存数の増加を観察したことに言及している[11]

脚注

  1. ^ Benzodiazepines: Paradoxical Reactions and Long-Term Side-Effects”. www.benzo.org.uk. 2022年3月19日閲覧。
  2. ^ Bramness JG, Skurtveit S, Mørland J (June 2006). “Flunitrazepam: psychomotor impairment, agitation and paradoxical reactions”. Forensic Sci. Int. 159 (2–3): 83–91. doi:10.1016/j.forsciint.2005.06.009. PMID 16087304. 
  3. ^ Cole JO; Kando JC. (1993). “Adverse behavioral events reported in patients taking alprazolam and other benzodiazepines”. The Journal of clinical psychiatry. 54 (Suppl:49–61): 62–3. PMID 8262890. 
  4. ^ Mancuso, Carissa E.; Tanzi, Maria G.; Gabay, Michael (September 2004). Paradoxical “Paradoxical Reactions to Benzodiazepines: Literature Review and Treatment Options”. Pharmacotherapy 24 (9): 1177–1185. doi:10.1592/phco.24.13.1177.38089. PMID 15460178. http://www.medscape.com/viewarticle/489358 Paradoxical. 
  5. ^ Senninger JL; Laxenaire M. (1995). “[Violent paradoxal reactions secondary to the use of benzodiazepines]”. Annales médico-psychologiques. 153 (4): 278–81. PMID 7618826. 
  6. ^ “Letter: Tranquilizers causing aggression”. British medical journal. 1 (5952): 266. (February 1, 1975). PMC 1672080. PMID 234269. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1672080/?page=1. 
  7. ^ Berman ME, Jones GD, McCloskey MS (February 2005). “The effects of diazepam on human self-aggressive behavior”. Psychopharmacology (Berl.) 178 (1): 100–6. doi:10.1007/s00213-004-1966-8. PMID 15316710. 
  8. ^ Perlwitz R; Grimmberger E, Schmidtsdorf R (June 1980). “[Immediate effect of intravenous clonazepam on the EEG]”. Psychiatr Neurol Med Psychol (Leipz) 32 (6): 338–44. PMID 7403357. 
  9. ^ Teicher MH, Glod C, Cole JO (February 1990). “Emergence of intense suicidal preoccupation during fluoxetine treatment”. Am J Psychiatry 147 (2): 207–10. PMID 2301661. 
  10. ^ King RA, Riddle MA, Chappell PB, et al. (March 1991). “Emergence of self-destructive phenomena in children and adolescents during fluoxetine treatment”. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 30 (2): 179–86. doi:10.1097/00004583-199103000-00003. PMID 2016219. 
  11. ^ Eagle H, Musselman AD (July 1948). “The rate of bactericidal action of penicillin in vitro as a function of its concentration, and its paradoxically reduced activity at high concentrations against certain organisms”. J Exp Med 88 (1): 99-131. 

奇異反応

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 00:36 UTC 版)

GABAA受容体」の記事における「奇異反応」の解説

ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤吸入麻酔薬プロポフォール神経活性ステロイド英語版)、アルコールなどによる奇異反応(パラドキシカル反応)は、GABAA受容体構造的な異常と関連していることが複数示唆されている。受容体構成する5つサブユニット上図参照)の組み合わせ変化することで、例えば、GABA対す受容体反応変わらないが、名前の付いた物質一つ対す反応通常のものとは大きく異なる。 このような受容体異常によって、一般人口の約2〜3%が深刻な情緒障害に陥り、最大20%がこの種の中等度の障害陥る推定されている。一般に受容体変化は、少なくとも部分的には、遺伝的およびエピジェネティクス変化起因する考えられている。後者は、特に社会的ストレス燃え尽き症候群によって引き起こされる可能性示唆されています。

※この「奇異反応」の解説は、「GABAA受容体」の解説の一部です。
「奇異反応」を含む「GABAA受容体」の記事については、「GABAA受容体」の概要を参照ください。

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