アポトーシス【apoptosis】
アポトーシス
アポトーシス
英訳・(英)同義/類義語:apoptosis, Apoptosis
多細胞生物の発生過程で、組織を形成する際に特定の細胞が特定の時期に死ぬ現象。手指の形成や、線虫の発生過程、落葉などが例。細胞が死ぬ機構はアポトーシスによる。
プログラムされた細胞死
英訳・(英)同義/類義語:programmed cell death, apoptosis
多細胞生物の発生過程で、組織を形成する際に特定の細胞が特定の時期に死ぬ現象。手指の形成や、線虫の発生過程、落葉などが例。細胞が死ぬ機構はアポトーシスによる。
細胞名や細胞内の構造オルガネラに関連する用語: | トランスゴルジネットワーク ノルアドレナリン作動性ニューロン ヒスタミン神経細胞 プログラムされた細胞死 ヘテロクロマチン ヘルパーT細胞 ベルグマングリア |
アポトーシス
オタマジャクシの発生に伴う尾の消失、手指形成過程における指と指の間の「水かき」の消失、あるいは免疫細胞の成熟の過程における「自己」を認識する免疫細胞の除去などがその例とされる。
この細胞死は遺伝子にプログラムされており、さらにそれがガン関連遺伝子(ガン原遺伝子、ガン抑制遺伝子)と密接な関係があること、免疫系の発達・調節にも深く関与していることが明らかとなってきて、研究が進んでいる。
アポトーシス
アポトーシス
【概要】 プログラムされた細胞死(programmed cell death, cellular suicide)。アポ=離れる+プトーシス=離れる、が語源。オタマジャクシが蛙になるときはシッポが短くなる。これは計画的にシッポの細胞が死んで行くためである。つまり細胞の中には役目が終わったら死ぬようにあらかじめ遺伝子の設計図に書かれている。抗癌剤にさらされた癌細胞が死ぬのもアポトーシス。HIVを作っているCD4細胞が早死にするのもアポトーシスである。一方、例えば火傷で細胞が死ぬのは細胞壊死(えし、necrosis)という。
【詳しく】 細胞の表面にFas抗原と言う物質があらわれ、これに適切な刺激が加わると内部に自殺指令が伝わって行く。HIV感染症では、HIVに感染していない細胞まで巻き込まれて死んで行くのは、HIVがこのメカニズムを誘導しているという説が有力になっている。
《参照》 HIV、 CD4
アポトーシス
アポトーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/28 09:49 UTC 版)
アポトーシス、アポプトーシス[1] (英語: apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死(狭義にはその中の、カスパーゼに依存する型)のこと。ネクローシス(necrosis)の対義語。
Apoptosis の語源はギリシャ語の ἀπόπτωσις(apoptōsis アポプトーシス):「apo-(離れて)」と「ptōsis(落下、転倒)」に由来し、「(枯れ葉などが木から)落ちる」という意味である。英語では [ˌæpəˈtoʊsəs, ˌæpəpˈtoʊsəs][2]と発音されるが、この語が最初に提唱された論文では2番目のpを黙字としている[3]。
特徴
特徴としては、順番に
- 細胞膜構造変化(細胞が丸くなり、急速に縮小する)、隣接細胞から離れる
- 核クロマチンが凝縮する
- 核が凝縮する(核濃縮)
- DNA 断片化(DNAが短い単位〈ヌクレオソームに相当〉に切断される)
- 細胞が小型の「アポトーシス小胞」とよぶ構造に分解する
- マクロファージなどの組織球や周辺の細胞がアポトーシス小胞を貪食する
といった変化を見せる[4]。
多細胞生物の生体内では、癌化した細胞(そのほか内部に異常を起こした細胞)のほとんどは、アポトーシスによって取り除かれ続けており、これにより、ほとんどの腫瘍の成長は未然に防がれている[5]。また、生物の発生過程では、あらかじめ決まった時期に決まった場所で細胞死が起こり(プログラムされた細胞死)、これが生物の形態変化などの原動力として働いているが、この細胞死もアポトーシスの仕組みによって起こる。例えばオタマジャクシからカエルに変態する際に尻尾がなくなるのはアポトーシスによる[注釈 1]。線虫では発生において起こるアポトーシスがすべて記載されている。人の指の形成過程も、最初は指の間が埋まった状態で形成され、後にアポトーシスによって指の間の細胞が死滅することで完成する。さらに免疫系でも自己抗原に反応する細胞の除去など重要な役割を果たす。
シドニー・ブレナー、ロバート・ホロビッツ、ジョン・サルストンはこの業績により2002年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
アポトーシスを開始させる細胞内のシグナル伝達経路は主にこの線虫の遺伝学的研究から明らかになった。その後線虫や昆虫から哺乳類まで多細胞動物のアポトーシス経路には共通点が多いことが明らかとなった。これは非常に複雑に調節されるネットワークであるが、カスパーゼと総称される一連のプロテアーゼが中心的な働きをし、下流のカスパーゼを順に切断・活性化していくこと、また「アポトーシスの司令塔」であるミトコンドリアも重要な働きをなすことが特徴である。おおよそ次のようにまとめられる。
- TNFやFasリガンドなどのサイトカイン(デスリガンド)による細胞外からのシグナル ⇒ 受容体(デスレセプター)⇒ カスパーゼ-8,-10 ⇒ カスパーゼ-3
- DNA損傷など ⇒ p53 ⇒ ミトコンドリア上のBax、Bakなどのタンパク質からなるシグナル系による制御(またはミトコンドリア自体の異常)⇒ ミトコンドリアからシトクロムcの漏出 ⇒ カスパーゼ-9 ⇒ カスパーゼ-3
- 小胞体ストレス(小胞体で異常なタンパク質が生成するなど)⇒ カスパーゼ-12 ⇒ カスパーゼ-3
カスパーゼ-3がその他のタンパク質を分解するなどしてアポトーシスを決行させる。現在普通にはこのような経路による細胞死を特にアポトーシスと呼んでいるが、植物などで異なるメカニズムによる細胞死をアポトーシスと呼ぶこともある(これらについてはプログラム細胞死を参照)。
派生言語
- アポトーシス症候群
- * 会社などで定年退職、勇退(会長・社長等)、寿退職、転職による退職、産休・育休前などで残りの日数が減ると勝手に普段は目立たなかった人たちが突如狂ったように「私がやりますから」などといって次々行動を起こすことがこう呼ばれることがある。まれにこれは良い結果を残すことがあるが、大抵は余計な結果を残したり、普段しないミスを連発したり、特に権力者がこれを発動することで会社全体に多大な迷惑を起こすことがある。
「アポる」と略されることもある。
脚注
注釈
- ^ この経路に免疫系がかかわっており、自己免疫から抗原と認識される蛋白質を尾に発現させ、異物として排除する。新潟大学の井筒ゆみ助教(2009年10月現在)が証明し、生物の発生に免疫系が関与する事例を初めて示したとして2009年10月に米国科学アカデミー紀要に発表した。
出典
- ^ 神奈木玲児 細胞の自然死(アポプトーシス)に伴う糖鎖抗原の変化とその遺伝子的背景の研究 1994
- ^ Merriam-Webster Apoptosis
- ^ J. F. R. Kerr, A. H. Wyllie, A. R. Currie Apoptosis: A Basic Biological Phenomenon with Wide-ranging Implications in Tissue Kinetics 1972
- ^ “アポトーシス”. 薬学用語解説. 公益財団法人 日本薬学会. 2020年7月18日閲覧。
- ^ Modulation of lung cancer growth arrest and apoptosis by Phellinus Linteus Mol Carcinog. 2007 Feb;46(2):144-54 PMID 17131292; doi:10.1002/mc.20275
関連項目
外部リンク
アポトーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 14:57 UTC 版)
本作に登場するコンピュータウィルス「アポトーシス」は、続編の『Twelve Y. O.』にて「アポトーシスII」として改良されて再登場する。
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