伊達
伊達(だて)とは、かっこいいところを見せようしている様子を表す言葉である。うわべだけで実際には中身が伴っていないということを含意することも多い。
「伊達」は、身につけるものを表す名詞の上について、それが本来的な目的で着用されているのではないことを示すこともある(例、「伊達眼鏡」「伊達マスク」)。
「伊達」は、「隠し立て」「とがめ立て」などの、むやみにそうする意を表す接尾語「立て」が単独で用いられるようになったものだと考えられる。接尾語「立て」は、はっきりさせる意で用いられた動詞「立てる」の連用形に由来する。伊達政宗の家来が派手ななりをしていたことに由来するとする説もあるが、俗説である。「伊達」は当て字。
「伊達」と似た意味の和語には「粋」「見栄」などがある。
「粋」は、風流に通じていてしゃれており、洗練されている様子を意味する語である(例、「粋な姿」「粋な計らい」)。一方、「伊達」は単にかっこよく見せようとしているさまを意味し、洗練されているといった感じは意味に含まない。また「粋」は、「伊達」のように、うわべだけで中身が伴っていないことを含意することがない。
「見栄」は、他人からよく見られるために体裁を取り繕うこと、またその体裁を意味する語である。「見栄」はもっぱら名詞として用いられ、「伊達」のように形容動詞にはならない。
「伊達」に対し、かっこよく見えないことを表す語には、「野暮」「無粋」「武骨」などがある。
「伊達じゃない」は、うわべだけではなく、それに見合う実体が伴っていることを表す慣用的な表現。「伊達ではない」ともいう。「20年の歴史は伊達じゃない」のように表現する。
伊達の用例:
(執筆:稲川智樹)
だ‐て
だて【伊=達】
読み方:だて
[名・形動]
1 意気や侠気(きょうき)をひけらかすこと。また、そのさま。「—な若い衆」「男—」
2 人目を引くはでな服装や振る舞いをすること。見えを張ること。また、そのさま。「—や酔狂ではない」
だて【伊達】
読み方:だて
北海道南西部、内浦湾に面する市。もと中心部は紋鼈(もんべつ)といった。明治初年に伊達支藩の亘理(わたり)藩の藩主と家臣団が入植し、その旧邸は現在、開拓記念館。野菜栽培が盛ん。平成18年(2006)3月、大滝村を編入。人口3.6万(2010)。
だて【伊達】
読み方:だて
姓氏の一。
鎌倉から江戸にかけての御家人、大名。藤原北家の流。朝宗の時、源頼朝の奥州征伐に従った功により、当時の陸奥(むつ)の伊達郡を与えられ、伊達氏を称したのが始め。のち、政宗のとき東北一の大名となった。伊予の伊達氏は分家。
だて【伊達】
読み方:だて
福島県北東部、福島盆地東半を占める市。奥州伊達氏発祥の地。モモなど果樹農業が盛ん。平成18年(2006)1月、伊達町・梁川(やながわ)町・保原(ほばら)町・霊山(りょうぜん)町・月舘町が合併して成立。人口6.6万(2010)。
だて【建て】
だて【立て】
「だて」の例文・使い方・用例・文例
- 耳をそばだてる
- 彼女は料理が上手だと夫をおだてた
- 彼女はカルテを系統だてて整理した
- 生まれつき気だての優しい女性
- 彼はだてなファッションで待ち合わせ場所に現れた。
- 私のアパートは5階だてだよ。
- それについてあらゆる手だてを講じなければならない。
- 母さんは、女だてらに男だらけの中、建設会社で現場監督をしている。
- 僕は君に何一つかくしだてするつもりはない。
- 僕は何も君にはかくしだてしない。
- 僕のやることにとがめだてしないでくれ。
- 別の手だてを講じるだろう。
- 彼女は贅沢にそだてられた。
- 彼をおだてれば、彼は何でもしてくれる。
- 彼は逃げる以外手だてがなかった。
- 彼はどんなことでも私に全く隠しだてしない。
- 彼の家を見つけ出す手だてがない。
- 島を出る手だてはありません。
- 艇長はボートレースの最後のラップで、乗組員をおだてて、レースを勝ち取るため、スパートをかけた。
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