ベン・トー5 北海道炭火焼き秋鮭弁当285円 [★★★]
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半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP同好会は合宿を終え、地元に戻って日常の争奪戦に精進していた。そんなある日、佐藤のかつての憧れのクラスメイト、現在芸能アイドルとして活躍する広部さんが転校生として現れる。傍若無人の振る舞いをする彼女に、案の定巻き込まれる佐藤は、徐々に弁当争奪戦から遠ざかってしまう。さらに、しばしの沈黙を破り、再び立ちはだかる猟犬群たちの乱入で戦闘は激化していき…! 佐藤は「狼」としての誇りを失ってしまうのか!? それとも秋鮭のごとくスーパーに戻ることはできるのかーーー!? 庶民派シリアスギャグアクション、原点回帰の第5弾!
変態こと主人公・佐藤洋の初恋の人であり、かつてはみんなのマドンナだった広部さんこと広部蘭、ついに登場。
鬼灯ランという芸名で妹系アイドルとして売り出し中の彼女が、交換学生制度でドMの内本くんの代わりに佐藤のクラスにやってくる。
私としては「原点回帰」という名目に恥ぬお話だったと思いっています。
佐藤からして純粋に好意だけで言えば著莪や槍水先輩よりも高い広部さんは、いつでもどんな「広部蘭」であろうとも彼にとっては永遠のマドンナなんだなーと思いました。というか広部さんのキャラがツボる。芸能界という厳しい世界で自分という存在を見失いつつあった彼女が、バカな佐藤と久々に触れ合って感じたものは安心感のようなそれで、これはまた著莪と違うタイプの幼馴染みキャラだなーと。
で、なにが原点回帰だったのかと言うと、客観的に見ての狼たちの饗宴のことだと思います。
たとえば広部さんは正論過ぎるほどの正論を言う。たかが半額弁当。痛い思いをしてまで手にいれるものなのか?
たとえばダンドーと猟犬群の山原は言う。本当は楽して勝ちたいんだろう。誇りがなんだ。無様で愚かで異常な執着心。何が楽しいんだ。
そう、冷静に考えてみればホント何してんのこいつら? って話なんですよ。半額弁当に誇りがなんだの言ってるやつなんて普通に考えて頭がおかしいでしょうよそりゃあ。広部さんは佐藤を自分につなぎとめるために、山原はかつて自分が居た場所にいる佐藤に、それぞれ自分の想いをぶつける。
そんでもって今回の佐藤。すっげえカッコよかったし熱かった。まるで主人公。
小学校のときからあれほどフラれまくっている広部さんからのまさかのアプローチ。でも半額弁当を追い求めるのはをやめて、と。ここでもし佐藤が広部さんを取っていたら、もしかしたら広部さんは一生本当の自分に気づけなかったかもしれなかったよね。でも佐藤は広部さんへの想いが変わったわけじゃない。その上、広部さんことを真摯に考えている佐藤カッコいいよ佐藤。
そして争奪戦パートも山原や猟犬群との戦い、そしてなにより憧れの槍水先輩と背中を合わせ、肩を並べて共闘できることが嬉しいんだろうな。とても強い信頼が無いと出きないことだしね。
そう、やっぱり“狼”の誇りはだてではない。より強い相手と切磋琢磨しあい、全力をぶつけ合って、もぎ取る半額弁当の味は、「本当の勝利」の味なのだから。
でもって華々しく散った佐藤の長い初恋。失恋の数だけ人は強くんなれるんだよ。それにしても広部さんちゃっかり佐藤のことガチに好きになってるっぽいよなあ。二人の再会がこれは楽しみ。もしかしたら、もしかするかもね。
それにしても佐藤家は親父だけじゃなくて母ちゃんも変人なのかよ。正直アレはイタすぎるわw
白粉大先生はケツの張り方で男を見分けられるようになってるし、もう露骨に佐藤のことネタにしようとしてるし。
久々に出たオルトロスの姉妹はかわいかった。著莪も金髪も大概にいい奴だった。プチ嫉妬モードの槍水先輩もかわいかった。
そして今回の白梅梅様。
「お疲れ様。バイバイ」またしても素敵な張り手でございました。そういえばこのバイバイネタも一巻だったような。ギャグまで原点回帰かw
「佐藤君、その呼び方はやめてくださいと以前言いましたよね? 久しぶりなので忘れてしまいましたか? 覚えていませんか? 怒っていいですか?」
今回はギャグより燃え寄せだったけど、すごく満足な内容でした。ちなみに銀剥がししおりの結果は「がんばれ!」だった。裏のあせびちゃん厄除けと言いマジでしゃれにならない。
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