烈風の騎士姫 [★★]
男装少女! つるぺたの男装少女が降臨なされましたぞ!
というわけでヤマグチノボル&兎塚エイジのコンビで贈られる新シリーズ。「ゼロの使い魔」と世界観は一緒で、本作主人公のカリンがルイズのママンらしいです。そのカリンがルイズと同じ年頃くらいのときを描いたもの。
中身はいつものヤマグチノボル。ゼロ魔読んでない人は、こっちから入るのもありかもしれません。
烈風の騎士姫 (MF文庫J)
負けず嫌いな少女・カリーヌは、幼い頃助けてくれた騎士に憧れて、自分も立派な騎士になるのが夢。女では入れない誉れ高い魔法衛士隊に入るため、名をカリンと改め、男装して王都に向かうが、ついた早々、サンドリオンと名乗る貴族ともめて決闘をする羽目に。冷たい雰囲気のその男に、カリンは事実上負けてしまう。このまま故郷に帰るわけにはいかない――カリンは衛士隊に志願し、見習いとして採用されるが、世話役はあのいけ好かないサンドリオン。しかも一緒に暮らすなんて! 女であることを隠し、憧れの騎士になれるのか!? 危うい魅力の男装の美少女が挑む魔法冒険活劇!
誇り高き騎士になるため、少女は男装で衛士隊に入るが――。
幼きころに助けられた騎士に強く憧れ、その数年後に男の姿を装って魔法衛士隊に志願するカリン。しかしその下宿先が最悪の出会いを果たしてしまったサンドリオンの家だった。女とばれてはいけない中、カリンの冒険活劇が幕を開ける。
結論から言えば普通に楽しいし、おもしろかったです。
1巻としての導入も丁寧だし、カリンやサンドリオンをはじめとするキャラの立て方も手慣れている感あるし、なによりこの読みやすさがさすがと言わざるを得ない。ヤマグチ作品は物語をつくるときにすごく参考になるから、私の中の評価はかなり高いです。これは結構本気で言ってる。
さて、この男装少女のカリンですが、やっぱりどことなくルイズを思わせる部分がありますね。
ただあっちと違って下手なまでにツンデレではないです。普段は男言葉を使っているし、男装しているという立場なのでツンデレはかなりコンパクト。でもカリン視点が主なので、うちに秘められた乙女心がまたかわいいんですねこれが。
しかし胸を触られてもなお男にしか見られないのはさすがにかわいそう。いや、女だってばれちゃいけないからその展開はカリンにとっては僥倖なんでしょうが、オカマとまで言われてw この言いたくても言えない状況でもやもやするカリンもかわいいですね。
対しサンドリオンは辛い過去を持つゆえに、自らを灰かぶりと揶揄し酒に明け暮れるさまはなんとも。こんな女々しいやつでも戦闘になればめちゃくちゃ強くなるってもんだから、カリンが彼をちょっと許せないのも分かります。
そんなサンドリオンの悪夢のような過去を、また再演するような明確な敵が現れて、どうやらまだ吹っ切るに吹っ切れないご様子。
今回は撤退されましたが、しばらくはこのキャラが敵として立ちふさがってきそうですね。
というわけでルイズママンの冒険活劇の初めでございました。ゼロ魔と並行して刊行してくれると嬉しいな。