Le;0 -灰とリヴァイアサン- [★]
「ムゲンのセンカ」「ペンギン・サマー」の六塚光の新作。
ほぼ作者買いだったんですが、これは絵の力もたぶん強いです。折込の注釈どおり、この絵師さんのキャラの目の強さというか存在感といいますか、惹かれます。
しかし、夏に弱そうなイメージを逆手にとって「渚で暴れる吸血鬼」という設定を作ってしまう、この作者の技量は本当にすごいなーと思う。話もよかったし、続編出るみたいだし楽しみだなー。あと帯自重!
Le;0―灰とリヴァイアサン (一迅社文庫)
地殻変動によってバラバラの島々となり、リヴァイアサンと総称される大海獣に脅かされるようになった日本。リヴァイアサンに対抗できる存在は、ヴァンパイアと、サイクラーと呼ばれるそのパートナーのみ。
そんな島々の一つ・大蒜島に流れ着き、島をリヴァイアサンから守ることになったヴァンパイアの姫乃とサイクラーの顕九郎。二人の活躍で島は平穏へと向かうかと思われたが、顕九郎の過去を知る存在がその魔手を伸ばしてきたことから、島へ最大の危機が訪れることに……。
六塚光がおくる、渚で繰り広げられる一大アクション、開幕です。
吸血鬼VS海獣!? 夏の海の下、吸血鬼が暴れる!
バラバラになったところでさらにこまごまとした島国と化した日本、そしてそこへ群がるようにして出没するようになった海獣(リヴァイアサン)たち。そんな海獣に対抗できる存在が、一人一人がとんでもない力を宿した吸血鬼だった。――という世界観で繰り広げられる一大アクション。
大蒜島という、文字通り大蒜が特産の島に流れ着いた顕九郎と姫乃さん。地元の吸血鬼たちと協力して、島の平和に尽力するがそう簡単にもいかず、連合に狙われたり、最初は信用がなかったりとてんやわんや。
日差しに弱いというイメージが定着しがちの吸血鬼ですが、この作品では夏の眩しい日差しと浜辺のもとでこの海獣たちとバトルを繰り広げております。一見夏のビーチと吸血鬼って全然合わない取り合わせですが、この作者にかかればそんな壁を諸共しないパワーが満ち満ちてますね。まあ「ペンギン・サマー」の作者だからこれくらいへっちゃらなんだろうなぁ、と。
まあ最初からこの作品の吸血鬼も日差しに強いわけではなく、そこには転生師(サイクラー)である顕九郎の力が必要になってくるんですけどね。彼が独自に開発した技術で、パートナーの吸血鬼である姫乃さんは日差しの下で日傘さえさせば自由に動けるまでになっているし。
というか最初は結構ドライだと思ってたけど、顕九郎って実は忠義に厚い男なんだよな。普段はおちゃらけているようでも、いざとなると頼りがいのある男です。だから姫乃さんも彼のことをここまで慕っているし、信頼しているんだろうなあ。パートナーとしても、一人の男としてもね。そんな二人の関係は素敵だなーと思ってしまいました。
それから戦闘シーンも何気に熱いです。姫乃さんVS郁巳さんとか。
というかリミッター外れた姫乃さんがやばすぎる。ジャンキーも真っ青の戦闘狂っぷり。挿絵からもその狂気が垣間見えますが、瞳孔開きそうだぞ!?
そして島には一時的な平和が訪れましたが、また一波乱ありそうな予感ですね。とりあえず姫乃さんの関節技オンパレードで幕は引かれましたが、これは続刊も楽しみだなー。
その他もキャラも好きですが、海景はなんか「ムシウタ」の霞王と同じにおいがしてたまりません。一人称「俺」の女の子ってかわいいよな。
というわけで面白かったです。夏の渚の吸血鬼たちを、あなたも拝んでみてはどうでしょう。オススメ。