蒼海ガールズ! [★]
「らじかるエレメンツ」の白鳥士郎の新作。
とりあえずこの作品は航海モノをすごく書きたかったんだなーと、ひしひし感じました。
いやでも普通に面白かったですよ。男の娘もいるしな!
蒼海ガールズ! (GA文庫)
「きみはこれから女になる」
「え? え……えええぇ?」
国を追われて海を漂流していた皇子シューフェンは、アラミス王国の軍艦ビシャスホースに拾われる。だが、少女ばかりの乗組員で構成されたこの船には、厳正なルールがあった。すなわち「男子禁制」。
男とバレたら死刑になってしまう状況で、艦長から提案されたのは、持ち前の可愛さを生かして女のフリをすることだった! 少女たちから可愛がられたりセクハラされたりしつつ、果たしてシューフェンは自らの秘密を守りきれるのか!?
漂流した先は、男子禁制の小艦隊――!?
国が堕ち、亡命を臣下から言い渡された主人公シューフェンが漂流した先は男子禁制の少女部隊が率いる軍船だった。バレたら縛り首で済まない状況下に置かれたシューフェンは名前を変えて、その船にしばらく身を置くのだった、という航海ファンタジーです。
まあ男の娘ハーレムと言うことでお約束的なイベントを何度か踏まえつつも、その裏では船員たちのチームワークや信頼関係というモノが厚い。まあとても長い航海ですし当たり前といえば当たり前だけど、それぞれの過去を深く探らないのがみんなの常識にもなっているしね。
それにしても生活や戦闘の舞台となるこの帆式軍船。私は船や航海術についてはまった知識はなく、専門用語の羅列でちょいと苦しいところがありましたが、素人目に見てもこの作品における航海や海戦はすごく本格的に書かれていると思いました。特筆すべきは海戦シーンで、一対多という過酷な戦況においても巧みな航海術と知識で切り抜けるシーンはすごかった。帆船同士の戦いにおいたスリルや高揚感も確かに感じましたねー。海上においても、女の子は戦化粧するものなんだなー。
それにしてもこの天然ジゴロくんは、船員の女の子達は10歳以上年上の副長をも振り向かせてしまうんですね。まあ彼女達はシューフェンを女の子と思っているというのもあるんですが(それにしてもこの男の娘はかわいいですね、ええ)。うんでも、シューフェンの心は微妙にファムへ傾いているわけですが。っていうか結局この子たちのシューフェンの認識は女の子のままでいいんだよね? 船長以外。
しかし女の子200人もいればひとつぐらいハードな百合カップルがあってもいい気がするんですけどね。あ、それはダメですかそうですか。
というわけで普通に面白かった航海ファンタジーでした。オススメ。
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