

断章のグリムⅠ 灰かぶり [★]
初めての甲田学人。
グロイだの読んでると痛いだの噂は聞いていましたが、まさにその通りでした。文面に書かれていることを想像したらすごい痛い。うまく言えないけど、寒気がする痛々しさ。
イメージ的にはすごい難しい話だと思ってたけど、意外にシンプルなストーリーでびっくりです。でもこの読みやすさが逆に恐怖を助長している気もします。
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高校生の白野蒼衣は、普通が一番と考える温和な少年。
ある日、ゴスロリ姿の美少女・時槻雪乃と出会い、人間の狂気が生み出した “灰かぶり(シンデレラ)の悪夢” の存在を知る。
彼女曰く、この世界に存在する怪現象は、すべて<神の悪夢>の欠片だというが……。
繰り返される、恐怖と戦慄の“神の悪夢”――。
ここまで全身の神経に刃物を当てられるかのような、読んでいるだけでダメージを追いそうな本は久々です。
恐怖や痛々しさ的な意味合いではこの作品もなかなか飛びぬけていると思います。
読む前はすごいお堅い印象を持っていたこのシリーズですが、改めて触れてみるとその中身は意外とシンプルでした。神の悪夢から起こる「泡禍」という怪現象の中で女の子に助けられた主人公が<断章>と認定され、巻き込まれる形でその怪現象にこちら側も異能で立ち向かっていくお話ですね。なかなか説明くさかった部分はありましたけど、それほど苦にはなりませんでした。
今回の題材である「灰かぶり」というのは「シンデレラ」を意味するのですが、これがまた作者の手によって気味悪く描かれています。本来メルヘンチックな童話のはずなのに、どうしてこうなった。
なんというか、すんごい痛いの! というか、あの光景を想像させられると全身が総毛立つようですっごい痛いの! しかし甲田さんの本領は『Missing』と聞いているので、これで落ち着いているだと……と思ってしまった私は確実にヘタレですね分かります。
いやしかし、よくこんなお話作れたなと思います。
主人公やヒロインの立ち位置や過去、<断章>に目覚めこの悪夢に立ち向かう理由等がちゃんとしているので、あまり矛盾点は見られなく、うまくまとめた印象も強かったですねー。
ただ、この本を読んだすぐ後には、ご飯は食えないなと思った。つーか、喉通らないよ。
怖かったけど面白かった。これはまた楽しみなシリーズができたけど、連チャンで読むのはきつい。
確か10巻ほど刊行されていたはずなので、ゆっくりと崩していこうかと思います。怖いものが大丈夫な人にはオススメ!