“文学少女”と飢え渇く幽霊 [★★★]
シリーズ2冊目にして涙腺崩壊しかけました。この結末は悲しすぎです……。
あれ、このシリーズもしかしてすごいんじゃない? って思うほど良くできてます。文句なしで面白いって言えますね。
というわけで感想をば。
”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫) (2006/08/30) 野村 美月 商品詳細を見る |
文芸部部長・天野遠子。物語を“食べちゃうくらい”愛しているこの自称“文学少女”に、後輩の井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。
そんなある日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。
文芸部への挑戦だわ! と、心葉を巻き込み調査をはじめる遠子だが、見つけた犯人は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で――!?
コメディ風味のビター&スイートな学園ミステリー、第2弾!
悲しすぎる結末、そして真実。愛と憎しみは似ているものなのかもしれません……
そんなに深いミステリーというわけでもないのに、手紙を投函していた人物が実はあの人だったっていうのに気づかなかった私は鈍感なんですかね。
基本はシリアス路線なんだけど、ところどころで遠子先輩が空気を和ましてくれるからそこまでじゃないんですよね。いや、物語はすごく悲しいですけど。
にしても雨宮蛍ちゃんの幸薄さは異常。読んでるほうが辛くなってくる。しかも最後には……嗚呼。
弟くんの蛍ちゃんへの愛も伝わったのかはいまいちでしたけど、彼の叫びはすごい印象的だった。
それがまた、ある理由で応えたくても応えられずにいる蛍ちゃんもすっごく悲しい。
で、最終章からエピローグまでの怒涛の展開がすごかった。
まさかね……ああ来るとは。ホントすげえよ。もう涙無しには読めない。
愛と憎しみは本当に紙一重ですよね。「殺したいほど愛してる」なんてよくありますけど。こういうことなのかって思った。
明かされた真実に対しての蛍ちゃんの悲痛の叫びや行動がホント痛々しい。
こんな心理描写ができる野村さんの文章力はすごいです。見習いたい。
何気にツンデレななせも話に関わりつつありますね。なんか伏線っぽいのあるし。
心葉と中学時代に何があったのか気になりますが、いずれ明かされることでしょう。そっちも楽しみにしておきます。
このシリーズホント面白いなぁ。すごいハマったよ。
感動したい人には是非オススメです! 遠子先輩も可愛いので是非!
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