ゼロの使い魔14 水都市の聖女 [★]
やっぱりある程度は予測できた展開だったけど、まさに王道。
うんでも、その『王道』を貫いてそういう物語を書けるヤマグチノボルさんはすごいと思います。
というわけで感想とか書いちゃったり。あと、アニメ3期おめでとう。
ゼロの使い魔14 (MF文庫 J や) (2008/05/21) ヤマグチノボル 商品詳細を見る |
ガリア王ジョゼフの野望を砕くため、ロマリアへの協力を決めたルイズ。
しかし、最も危険な役割を担う才人を案じたルイズは、ロマリア教皇の持つ「虚無」の力を借り、才人を元の世界へと戻すことを決意する。
才人が突然姿を消したことにとまどうティファニアたちだったが、ガリアを迎え撃つために国境近くの街・アクイレイアへと出発したため、うやむやになってしまう。
一方、ジョゼフの命令を受け、騎士人形「ヨルムンガント」の“軍団”はロマリアを目指して出立していた――。
ルイズの運命は、才人の決断は!? 大人気の冒険ラブコメファンタジー第14巻!
才人にとっての一番の幸せを苦悩する末、ルイズの取った行動とは。そして二人の絆の結末は!?
やべえ、ギーシュがすごいかっこいい。こいつ一巻のときはただのキザ野郎だと思ってたのにホント変わりましたね。
もう才人の親友……までとは行かないかもしれないけど、一番の友達とは言えるんじゃないかな。今回はいきなり消えた才人に代わって騎士団をまとめていましたが、「その内いつものようにひょっこり帰ってくる」と信じて疑わない才人との信頼関係に惹かれた。こいつこんなに熱いキャラだったっけ?
元の世界に帰ったはずの才人は、なぜか始祖とガンダールヴが健在する昔のハルキゲニアに飛ばされて仲良くなっちゃうし。しかも昔のガンダールヴはエルフでした。その上女の子っていう。
でも元の世界に帰るか、ハルキゲニアに残るかの迷いを吹っ切るための布石だったんでしょうかね。
そしてルイズ。才人をこの戦争間近という大変な時期に、ロマリア国王ヴィットーリオの力によって元の世界に帰します。何も言わずに、黙って。
なんだかんだでルイズも変わりました。当初は才人のことを使い魔以下の存在として卑下していたにも関わらず、今では想いの中の彼ですよ。才人に代われる使い魔なんていませんしね。
才人の幸せを考えた末に取った行動なんですが、これは切ない。
ただ、ティファニアに才人の記憶は消してと頼んだときは……。
本人にはまあ才人が消えたことは埋めようのないほど厳しい現実なんでしょうが、だからといってそんな易々と記憶消してなんて頼んだら才人の立場がないような……。「魔法」という何でもできる要素が設定上あるからこそできる話ですが。これだからファンタジーは難しい。
「才人がいなかった場合のルイズ」を見ることができたのは貴重でしたが……なんだか傲慢稚気で自画自賛すぎる気がする。
で、目覚めた才人は帰るか残るかをヴィットーリオに問われる場面。目の前にはハルキゲニアに召喚されたときと同じゲート。そしてその向こうに映る実母の姿。
まあ予想通り、才人は残るほうを選びましたよ。だけど、もしも元の世界に帰るほうを選んだら後ろから銃殺なんてロマリアも結構エグイことしますね。ジュリオは結構好きだったんだけど憎まれ役だなぁ。
それでも才人はやっぱりやってくれるやつだった。さすが7万の軍を追い返した男。
「地球ナメンな、ファンタジー」
タイガー戦車でヨルムンガントの軍勢を砲撃しながらの一言。このセリフはすげえカッコよかった。
その後ルイズも才人のことを思い出して、大団円的な。ちょっと簡単すぎじゃね? とか思いつつ王道展開で安心している自分もいます。
そして最後に、才人から母親への手紙。あれは良かった。うん。
というわけで次回からの新展開を期待しつつ続刊を待ちます。次の巻が出る頃にはきっとアニメ3期も始まったころでしょうね。
そういえば「ストライクウィッチーズ」の文庫版もヤマグチさんが書いてるんですよねー。
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