砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない [★★★]
これはすごかった……。いろんな意味で。
ジャケ絵からではまさかあんな内容だなんて想像もつかなかったけど、とにかくすごいとしか言いようがない。これが暗黒か。
私の言葉でうまく伝えられるか激しく怪しいですが、すごく心に残ったので書きます。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫) (2004/11) 桜庭 一樹むー 商品詳細を見る |
全ては忘れていくことかもしれない。今感じているこの切なさも、そして大人に対する憤りも、そしてどこかに行きたいと願う焦燥も。そんな十代の思いを桜庭一樹が鋭く切り取った暗黒ミステリーが本作。
鳥取の片田舎に生きる女子中学生・山田なぎさ。父は他界し、母のパート代でなんとか暮らしている。どこにでもいる少し不幸な少女と、自分を「人魚」だと語る、謎多き転校生・海野藻屑との奇妙な友情が、進む未来の先に見える光景とは――?
世界に、大人に、青春に苦悩する二人の少女。「実弾」を求めて、少女は生きていく
最初に言いますが、この物語はかなり暗鬱です。痛々しいです。
しかし、オチは最初に藻屑の死亡記事として語られています。本編はそんな藻屑に出会ったなぎさ視点の物語です。そして藻屑が死亡するまでの過程を描きます。
読む前は「砂糖菓子」とか「実弾」とかなんのことなのかと思ったのですが、読んで納得。
決して裕福とはいえず、父の保険金も引きこもり状態の兄・友彦がほとんど使ってしまったがため、働きに出る母の代わりに家事を務めるなぎさ。自分が生きる為の力を「実弾」と比喩したセンスに脱帽です。こういうことだったのね。
自分を「人魚」と言う藻屑はただの痛い子だと思ってましたけど、あれにはちゃんとした理由があったんです。いや、ならざる得ない理由ですね。
それが分かってもう一度要所を読み返してみると、なるほどなと思いました。しかし悲しすぎる。
だから藻屑はあんなふわふわした「砂糖菓子」と喩えられているんでしょう。
そんな二人の共通点を「見せてくる」ではなく「見えてくる」物語の過程がまたなんとも。
現実にもあるリアルさがまた暗澹さたる所以なのかもしれません。
藻屑が殺されてしまうオチはやはり、最初の死亡記事の内容どおりで、オチは分かってたけどどことなく納得できない私がいる。
いや、なんというかたった200ページ弱の物語でこんなに印象深い物語を読めるとは思いませんでした。
素直に感動です。気になる方は是非書店の方へ。最近はマンガの方も出てるみたいなのでそちらでも。
……げふんげふん。最近身体の調子が優れない吟です。
桜庭さんのものなら「少女には向かない職業」がおすすめ。GOSICKは最近出てませんねぇ(´・ω・`)
他にも「B-EDGE AGE」シリーズとか「赤×ピンク」とかいろいろ読みましたけど(少女七竈が家にずっと積んでry)私はやっぱりラノベ分野より一般小説に分類される桜庭さんの小説が好きだなぁ。読んだあとで結構欝ったりするんですけど(苦笑)
……さぁ、今すぐ好きな作家さんに加えるんだ!(何
お久しぶりですー。最近はメッセにも現れないんで寂しいですね。
桜庭さんにはもう魅せられましたよ。この「砂糖菓子」がきっかけでね!
一般小説の方でも活躍なされてるんで是非とも読んでみたいと思いました。「少女に向かない職業」も実は結構気になってました。今度買ってみますよー。