世界平和は一家団欒のあとに3 父、帰る。 [★★]
世の中にはたくさんの愛があります。
恋愛、兄弟愛、姉妹愛、師弟愛……エトセトラ。今回紹介するライトノベルは『家族愛』をテーマにしたものです。
この3巻すごく感動してしまいました。なので感想を書いてみたいと思います。
世界平和は一家団欒のあとに〈3〉父、帰る (電撃文庫)
家族全員が不思議なチカラを持ち、世界の平和を守る星弓一家。
とある週末、父にして元勇者、耕作が久しぶりに帰宅するという。
時を同じくして、軋人の前に清楚なワンピースを着てギターケースを抱えた美女が現れる。
エルナと名乗る彼女は、異世界での勇者とお姫さま時代の両親の友達だというが……!?
見た目に反して、少し腹黒いところもあるエルナだが、軋人は次第に彼女と打ち解けていく。
しかし、帰ってきた父と何かを隠しているようなエルナの間には、なぜか微かに不穏な気配が漂う。
ついに動きだす事態を前に、軋人の決断は――。
「ええかっこしいのたらしもん」の星弓家父が登場! 一家の大黒柱を侮ることなかれ!
三巻通して家族の中で唯一未だに登場していなかった父の耕作がついに本編に登場。
この親父さん渋くてダンディでカッコいいんですが、元勇者のくせに女たらしのすけこまし、高校生のときは七股をかけるという信じられないエロエロの元勇者さんなんです。ああ、ちなみに星弓家のお母さんである志乃さんは元異世界のお姫様ですよ。
この作品は長男である軋人の一人称視点で描かれます。なので、高校生の男が「父さん」から「親父」に呼び方を変えるまごつき方とかすごく共感。
そして突然異世界からやってきた、勇者時代の耕作と志乃さんの友達らしいエルナ。
僧侶とは名ばかりで路銀(教会からの補助金的な)目当ての信仰心ゼロ。「お布施」と言いながらやってることは、エルナの容姿目当てで絡んできた哀れな男から金を巻き上げる、それどころかキャッシュカードまで残額ギリギリまで使い果たすという悪魔というかただのカツアゲ。何で使い方知ってるんだというツッコミは無粋ですかそうですか。
なんとなく今まで出番が少なかった柚島さんも今回は結構出番あります。父に攫われますし……。
というか彼女のツンぶりはやばいですね。もうニヤニヤですね(ぁ
今回はとあることで父・耕作と息子・軋人がぶつかって対立します。
しかし、どちらも正しい行動なために展開はすごく熱かった。
「お前たちは私のかけがえのない宝物だ。だから、誰にも渡さん」
大切なもの――家族。それを見つけ、『心の空白』を埋めることができた父。
そんな耕作さんのセリフがすごくカッコよかった。
だけど軋人にも、動かなければならない理由があります。
初恋とは違うけど、ただあの人の笑顔が見たいがために。「キシト」と気兼ねなく呼んでくれるあの人のために。
それで軋人はあの人とキスして。そして――別れた。
「お前、泣く男ってダサいと思う?」
「思う」
別れた直後、現場にいた柚島さんからキツイ一言。
クールだけど素直なところは柚島さんのいいところではないでしょうか。
「泣きたければ勝手に泣けば? 私、あっち向いてるから」
「……え?」
「ダサいけど、誰かとの別れに泣くのは当然だと思うけど」
柚島さん。アンタ最高の女だよ。マジで。
軋人もみっともないほどに咽び泣きますが、一見冷たくても黙ってくれてる柚島さんが最高。
もう会えないかもしれないならそれは当然なんでしょうね。
というわけで面白かったです。いや、愛っていいですねホント。
ライトノベルにはあまり見られない『家族愛』をテーマとした作品。あなたもこれを機にどうですか?
→『世界平和は一家団欒のあとに4 ディア・マイ・リトルリトル・シスター』の感想へ
>世界平和は一家団欒のあとに
少し前に私もすべて読みましたが、父親が発するしすぎですねw
柚島のツンツンは軋人には少々厳しいようで・・・すばらしいです(何
それでは。
おお、TAKAさんも既読とは驚きです。
耕作さんハッスルしすぎでしょうw 柚島さんにツボってますからねw
柚島さんのツンっぷりはホントニヤニヤです。次回も楽しみ。