ニーナとうさぎと魔法の戦車2 [★★]
ニーナとうさぎと魔法の戦車 2 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 う 2-2) 兎月 竜之介 BUNBUN 集英社 2011-01-25 売り上げランキング : 4456 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ゴシック&ロリータを身にまとい、世界で一番眼帯が似合う美少女・テオドーレは17歳にしてエンデ市の市長を務める貴族のご令嬢だ。私立戦車隊・ラビッツの面々は彼女の招待に応じ、エンデ市を訪れていた。一方、ラビッツを離れ、家族を探す旅に出ていたニーナは、エンデ市付近の開拓村で家族と、さらには意外な人物とも再会を果たす。
しかし、開拓村は野盗によって定期的な略奪を受けており、存亡の危機に立たされていた。野盗に抵抗し、戦うことを主張するニーナ。それに対して開拓民たちがとった選択は、ニーナを…!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第2弾!!
1巻がきれいに終わっていたので、続編はどうなるのかと思っていたのですがかなり堅実に固めてきた印象でした。
濃い新キャラがいるにはいますがラビッツの面々もニーナもちゃんと出てくるし、なにより続編ということで1巻よりもテーマ性がしっかりしていると個人的には思います。というか表紙に既視感があると思ったら1巻とほぼ同じ構図だったのね。
さて、それで新キャラのゴスロリ眼帯で若き市長でもあるテオドーレなのですが、このキャラ普段は軽いノリの割には自分の夢のことになるとすごい影を持つキャラでしてね……。まさかこういう結末が待っているとは思わなかったのですよ。
いわばニーナとの対比を際立たせるキャラだったのだと思います。正反対の境遇ですし。
もちろん両親は嫌だったが、生きるために売られてしまったニーナ。
家族からは必要とされなかったが、貴族の体面から捨てられなかったテオドーレ。
二人はそれぞれの絶望の淵をさまよう中、救いの手が差し伸べられた。それは将来を誓い合った人だったり、傷を分かち合ってくれる仲間だったり。そして憎しみや悲しみが薄まり、互いに守るものができて、ニーナとテオドーレは出会ってしまった。残酷だけどきっとこれは運命だったんでしょうね。
ですが友達になり、名前で呼び合い、ちょっとした信頼関係が見えてきた中で、こんな結末に。
果たしてテオドーレとレオナルトがここまでする必要があったのだろうか、罪を償った上でもっと別の道があったんじゃないかと思わなくもなかったです。でも、二人の最後はとても美しくて、思わず見とれてしまうほどに清らかだった。これが愛のなせるわざなのか。
ニーナもニーナで捨てられた両親と再会し、ちゃんと和解できてよかった。
今まではむしろ憎んできた両親と、折り合いを付けることはそうそうできることじゃないけれど、ニーナが自分自身で選んだ答えなら納得できます。まあやけにあっさりしてる感じは否めませんでしたが、不自然ではないので。
そんなわけで続刊も手堅く面白かったです。こういう続編なら今後も追っていきたいですね。
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