不堕落なルイシュ [★]
不堕落なルイシュ (MF文庫J) 森田季節 伊東ライフ メディアファクトリー 2010-06-23 売り上げランキング : 43881 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「兄さんは無価値です。まるで犯人のわかっている推理小説。まるで砂漠の中の船。まるで諸葛孔明の退場した後の三国志。まるで穴のあいたコン○ーム。それから――」
優等生で名門の出である神倉ミタマは、心優しい同級生・贄川那智に恋をしている。しかし、ある日那智は足に重症を負ってしまい、この社会の決まりによって「処理」されることが決まってしまう。那智を救うことのできる唯一の手段「弱者保護権」。その権利を持つ姉・珠花に会うために、妹・涙珠の協力を得て家を飛び出したミタマだったが、珠花はしばらく見ないうちにとんでもない人物になってしまっていて――。
よくわからないけど、森田季節著作と言えば「なるほど」って返ってきそうな作風にはかわりなかった。
人が死なない世界で、功績を残さないと齢60で「処理」されてしまうような割とシビアな設定の中、どこかズレた人物たちが織り成すのは、とんでもなく真っ当な愛の物語だった。神倉の家族愛、那智との恋愛、それがもう根底に横たわっているので、どういう過程を踏もうが最後には直球な愛の物語になりそう。
ただ凄まじい勢いはあるかもしれないけれど、いまだ終着地点が見えないのでなんとも判断に困るのが現状って感じですかね。これもうちょい尺長くして1冊にまとめられなかったのかな。こういうの変に続くとだれる気がするんだよなー。ハッキリと好みが分かれそうな突っ切ったキャラ造形だし。
ついでに言うとラノベらしくない感じがした。
前述したとおり結構シビアな設定を色々と感性がブレまくったキャラによって見せられるので、人の見ようによってはかなり浮いてしまうような気がするんですよね。いま数々の学園ラブコメモノでアニメ化作品を輩出し、勢いに乗りまくっているMFからこういうのが出るのは珍しいと思います。個人的にはそういう意味合いでは森田先生の作風はかなり貴重だと思います。同日に出た単行本の「ともだち同盟」を買ってしまう程度にはファンですし。この作品だって2巻も出れば読みますし。
あとこれは至極どうでもいいのですが、私のHNとこの作品のヒロイン(涙珠じゃない方)の名前がかぶってて、非常にもどかしかったです。
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