幕末魔法士-Mage Revolution [★]
幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫) 椋本 夏夜 アスキーメディアワークス 2010-02-10 売り上げランキング : 5113 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
時は幕末。攘夷派と開明派が相克する激動の時代。
大坂適塾に学ぶ若き蘭学者にして魔法士の久世伊織は、塾長・緒方洪庵の命で、一冊の難解な魔導書を翻訳するため出雲国松江藩に赴いた。
一刻も早く翻訳を済ませ大坂に帰りたい伊織だったが、招かれた屋敷で手渡されたのは、亡き父失脚の原因ともなった、古の“大崩壊”によって失われた技術・魔法金属ミスリル銀の錬成炉が記された書物だった……。
翻訳を開始した伊織の周囲の村で起こる神隠し、突然襲いかかる攘夷志士の凶刃、魔法士・金森鳶巣の暗殺。謎を追う伊織と赤眼の志士・冬馬の前に、やがてミスリル錬成に隠された無窮の闇が広がっていく!
魔導の旋律が奏でる幕末ファンタジー!
さて遅ればせながら今年の電撃大賞作の感想であります。
大賞を冠すにふさわしい完成度だとは思いますし、実際読んでいておもしろいなーとも思いました。ライトノベルでは若干敬遠されがちの時代劇、そしてその時代劇とライトノベルでは氾濫状態の「魔法」を取っ付きあわせ、舞台設定・日本の情勢などをひっくるめ、灰汁無くキレイにまとめてあります。この技量は並大抵のものではありませんし、発想もおもしろいし、力のある新人さんだなーとも思いました。というかラノベより時代小説寄りだよね。
1巻は複雑な設定を少しでもわかりやすく伝えようと、完全に勧善懲悪モノになっているのも作者の気配りなんでしょうか。どっちにしても文章も読みやすいし助かります。
ただですね、おもしろいとは思ったんですけど、そこまでに至るのが長い。
わかりやすく言いますと、話がうごくのがすんげー遅いんですよ。小さい山はいくつかありますが、とにかくこの一点をすごく感じてしまった。退屈までとは言いませんが、せめてプロローグはもうちょいわかりやすくても良かったんじゃと個人的には思いました。伊織の正体がバレるまでがホント長かったんだよな……。
あとですね、やはり「幕末」の舞台設定で「魔法」が絡むと、どうしても違和感がでてしまうですよね。ちゃんとそういうものだとわかってはいるんですが、意識しちゃいます……。特に詠唱してるところは。
続きはあるのかわかりませんが、出たら一応追う予定。完成度は高いけど印象には残りづらいという感覚でしたね。
コメントの投稿