白夜行
2011年02月11日
東野圭吾の小説は大好きでよく読んでおります。
「加賀恭一郎」シリーズの最新作「麒麟の翼」(3月刊行)、待ち遠しいなあ。
「ガリレオ」シリーズの最新作「真夏の方程式」(6月刊行)、待ち遠しいなあ。
この2大シリーズを除いた東野ミステリーの傑作となると、真っ先に挙げられるのが、「白夜行」ですね。 その他に・・・
「殺人の門」
「交通警察の夜」(「天使の耳」に改題)
「幻夜」
「超・殺人事件 推理作家の苦悩」
このあたりが個人的なベスト作。
しかし、やはり「白夜行」は他の追随を許さぬ最高傑作でありましょうや。
数年前に綾瀬はるか主演でドラマ化されましたが、今度の映画は堀北真希でございます。
悪女っぽくないですかねえ? イメージぴったしだと思うんですけど。
昭和55年。 廃ビルの密室で質屋の主人が刺殺体で発見されます。
踊る大捜査線上に上った容疑者は事故で死亡し、事件は一応の解決を見ますが・・・。
担当刑事の笹垣(船越英一郎)は、どうしても納得がイカの姿焼き。
密室の謎はもちろんだけど、容疑者の娘・雪穂の大人びた言動、被害者の息子・亮司の冷たく暗い目がなぜか気になって仕方がない・・・。
時は流れ、遠戚の養女となった雪穂(堀北真希)。
高校生、大学生、結婚と人生を歩んでいく彼女の周囲で次々と不可解な事件が起きます。
彼女に関わった者は誰もが不幸のズンドコ節を舞い踊るハメになるのです。
一方の刑事・笹垣。 出世から外れようが、定年になろうが、事件を追い続けて苦節19年。
ようやく彼が辿りつく真相は、底知れぬ深い闇から今にも聞こえてきそうな、傷ついた少年少女の慟哭と、魔物の道を歩みゆく二人の絆の姿なのであります。
「あたいに近づく奴はヤケドするよ。」・・てなことは言わんけど。
彼女の成功を阻もうとする者、彼女の人生に波風を立てようとする者は皆、人生を破壊され、魂を奪われるのじゃあ。 怖ろしかオナゴじゃあ。
悪口を言いふらすタカビーな同級生をキャンと言わせ、ついでに校門前のカメラ小僧を陥れて罪をかぶせれば一丁上がり。
玉の輿のためには、親友でも叩きつぶす。(ハナから親友と見なしていなかったかも)
コソコソ嗅ぎまわる探偵も、薬盛られて、あわれオダブツ。
厄介そうな義妹も一回ガツンといわしてしまえば、すっかり言いなりじゃ。
利益のためなら他人の心さえも虫けらのように踏みつぶす雪穂。
彼女の陰でうごめく守護天使・亮司(高良健吾)。
原作は二人の感情描写が一切排されており、得体の知れないモンスターとして描かれてます。
映画もそのあたりの描き方を踏襲しています。
原作は「それでこそ」の良さなんですが、映画でも二人の心の闇を可視化しない語り口が吉と出るか、凶と出るかですね。
TVドラマでは内面にけっこう突っ込んでいましたが、それでは「白夜行」の良さが出ないのではと思いました。
難しいですね、優れた小説の映像化というのは・・・。
傷ついた魂を寄り添い合いながら、暗闇だけの世界で絆を深めあった少女と少年。
か弱くとも、少年は少女の手元、足元に灯りをともして導いていく。
信じれるものなど何もなかった暗闇の中で、少年という、かすかな灯火に触れつつ少女は心を殺した魔物の道を歩みだす。
雪穂よ、君はどこへゆくのか。
君の心は「あの日」から、まだ泣いているのか。 怯えているのか。
闇の中から静かに、人の世に復讐するかのように、心の刃を向けてきた君は、遂に自ら輝きながら、この薄汚れた世界を照らしだす。
君の魔性の太陽が、やがて灼熱の炎となって世界を焼き尽くすまで。
「賢人のお言葉」
「人を邪道に引っ張り込むため、暗闇の手下どもが真実を言うことがある。わずかのまことで引っ張り込んでおいて、深刻な結果で裏切るために。」 シェークスピア
「加賀恭一郎」シリーズの最新作「麒麟の翼」(3月刊行)、待ち遠しいなあ。
「ガリレオ」シリーズの最新作「真夏の方程式」(6月刊行)、待ち遠しいなあ。
この2大シリーズを除いた東野ミステリーの傑作となると、真っ先に挙げられるのが、「白夜行」ですね。 その他に・・・
「殺人の門」
「交通警察の夜」(「天使の耳」に改題)
「幻夜」
「超・殺人事件 推理作家の苦悩」
このあたりが個人的なベスト作。
しかし、やはり「白夜行」は他の追随を許さぬ最高傑作でありましょうや。
数年前に綾瀬はるか主演でドラマ化されましたが、今度の映画は堀北真希でございます。
悪女っぽくないですかねえ? イメージぴったしだと思うんですけど。
昭和55年。 廃ビルの密室で質屋の主人が刺殺体で発見されます。
踊る大捜査線上に上った容疑者は事故で死亡し、事件は一応の解決を見ますが・・・。
担当刑事の笹垣(船越英一郎)は、どうしても納得がイカの姿焼き。
密室の謎はもちろんだけど、容疑者の娘・雪穂の大人びた言動、被害者の息子・亮司の冷たく暗い目がなぜか気になって仕方がない・・・。
時は流れ、遠戚の養女となった雪穂(堀北真希)。
高校生、大学生、結婚と人生を歩んでいく彼女の周囲で次々と不可解な事件が起きます。
彼女に関わった者は誰もが不幸のズンドコ節を舞い踊るハメになるのです。
一方の刑事・笹垣。 出世から外れようが、定年になろうが、事件を追い続けて苦節19年。
ようやく彼が辿りつく真相は、底知れぬ深い闇から今にも聞こえてきそうな、傷ついた少年少女の慟哭と、魔物の道を歩みゆく二人の絆の姿なのであります。
「あたいに近づく奴はヤケドするよ。」・・てなことは言わんけど。
彼女の成功を阻もうとする者、彼女の人生に波風を立てようとする者は皆、人生を破壊され、魂を奪われるのじゃあ。 怖ろしかオナゴじゃあ。
悪口を言いふらすタカビーな同級生をキャンと言わせ、ついでに校門前のカメラ小僧を陥れて罪をかぶせれば一丁上がり。
玉の輿のためには、親友でも叩きつぶす。(ハナから親友と見なしていなかったかも)
コソコソ嗅ぎまわる探偵も、薬盛られて、あわれオダブツ。
厄介そうな義妹も一回ガツンといわしてしまえば、すっかり言いなりじゃ。
利益のためなら他人の心さえも虫けらのように踏みつぶす雪穂。
彼女の陰でうごめく守護天使・亮司(高良健吾)。
原作は二人の感情描写が一切排されており、得体の知れないモンスターとして描かれてます。
映画もそのあたりの描き方を踏襲しています。
原作は「それでこそ」の良さなんですが、映画でも二人の心の闇を可視化しない語り口が吉と出るか、凶と出るかですね。
TVドラマでは内面にけっこう突っ込んでいましたが、それでは「白夜行」の良さが出ないのではと思いました。
難しいですね、優れた小説の映像化というのは・・・。
傷ついた魂を寄り添い合いながら、暗闇だけの世界で絆を深めあった少女と少年。
か弱くとも、少年は少女の手元、足元に灯りをともして導いていく。
信じれるものなど何もなかった暗闇の中で、少年という、かすかな灯火に触れつつ少女は心を殺した魔物の道を歩みだす。
雪穂よ、君はどこへゆくのか。
君の心は「あの日」から、まだ泣いているのか。 怯えているのか。
闇の中から静かに、人の世に復讐するかのように、心の刃を向けてきた君は、遂に自ら輝きながら、この薄汚れた世界を照らしだす。
君の魔性の太陽が、やがて灼熱の炎となって世界を焼き尽くすまで。
「賢人のお言葉」
「人を邪道に引っ張り込むため、暗闇の手下どもが真実を言うことがある。わずかのまことで引っ張り込んでおいて、深刻な結果で裏切るために。」 シェークスピア