舟を編む
2013年04月26日
原作は三浦しをん。
「風が強く吹いている」、直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」に続いて映像化されたのが、2012年本屋大賞第1位の本作。
どういうお話かというと、辞書を作る人たちの物語です。
辞書かぁ・・・
うちにも大辞林がありますが、近年「辞書を引く」などということは、ほとんどないと言っていいですね。(最近、【変態】を調べましたけど。)
「辞書を作る」と申しましても、生易しいものではございません。
まるまる新しい辞書を一から作るに際し、企画してから出版するまで、少なくとも十年から、長くて三十年近くかかるのだとか。
そりゃ膨大な時間がかかるってのは想像つきますが、それにしたってねえ・・・。
【辞書】
多くの言葉や文字を一定の基準によって配列し、その表記法・発音・語源・意味・用法などを記した書物。
【辞書はこうしてできるのさ】
『編集会議』
新しい辞書を作ろう。
「作ろう、作ろう、作りましょう。」
会議を開きましょう。 「開きましょう。」
いつ頃までにどんなコンセプトの辞書を?
読者層は? 目的は? 規模は? 語数は? ページ数は? フォントは? お値段は? 原稿はどう書くの?
会議で決めましょう。 「ああしよう、こうしよう。」
編集要領、執筆要領、見本原稿を作成しましょう。 「そうしましょう。」
「・・・ここまで1年かかっちゃいました。 フ~・・・」
『言葉集め・用例採集』
辞書に載せる言葉を集めましょう。 「大変だ~」
初めて知った言葉は、その使用例も含めて“用例採集カード”に記録しましょう。 「大変だ~」
いつでもどこでもカードを常に持ち歩き、テレビやラジオに集中し、女子高生の会話にも耳をそばだてましょう。
「白い目で見られるよ~」 仕事ですから我慢しましょう。
『見出し語選定』
旧モデルの辞書から選定した言葉、約数万語のリストを作成しましょう。 これはそのまま新しい辞書に載せますよ~ 「それは助かる~ 」
残りの二十万語を選定しましょう。 「やっぱり大変だ~」
用例採集カードの中から、広辞苑と大辞林、この二冊に載ってるかどうかを全てチェックしましょう。
二冊両方に載ってる言葉に〇、どちらか一冊に載ってる言葉は△、どちらにも載ってない言葉は無印として、全て書き出しましょう。
「これ、いつまでかかるんですかあ?」 終わるまでですよ~
無印の言葉、つまりどの辞書にも載ってない言葉の中からどれを載せるかで、新しい辞書の個性が決まるのですよ~
『原稿執筆』
見出し語の説明をするための原稿を書いてきましょう。 「書こう、書こう。」
専門的な分野は、その専門家に執筆を依頼しましょう。 「それがいいね。」
協力者から上がってきた原稿も、執筆要領に則っているかをチェックしましょう。 「気を使うねえ。」
用例が適切かどうか、他の辞書とかぶった表現がないかもチェックしましょう。 「がんばろう。」
ここから十年以上はかかりますよ~ 「勘弁して下さい。」
ところで、あなた。 【右】という言葉を説明できますか?
「時計の針が12時ジャストの位置の時に、針が次に動く方向。」 なるほど。
「電車の改札口を通る時、キップを機械に挿入する側。」 なるほど。
「パチンコ台に座った時、ハンドルが着いている位置。」 なるほど。
「車用信号機の横並びの三色のうち、「赤」を配置する位置。」 なるほど。
「タカ派。」 なるほど。
『レイアウト』
実際の辞書の紙面を作りましょう。 「いよいよだね。」
1ページの中に、出来る限り情報を載せながら、読みやすくする工夫をしましょう。 「頭が痛いねえ。」
ひとつの見出し語の説明文をフォントやサイズを決めて、どう落とし込んでいくか、指定が決まったら、整理原稿を印刷所に入稿し紙面(ゲラ)を作成してもらいましょう。 「お願いしまーす。」
紙の薄さや色味の指定も重要ですが、ページをめくった時、複数のページがくっついてめくれることのない「ぬめり感」のチェックも忘れないようにしましょう。
『校正』
ゲラのチェックです。 「チェックばっかりですね。」
誤植がないか、内容に誤りがないか、配置は正しいか、見出し語の抜けはないか、修正箇所があったら赤字で指示を入れて、再度ゲラを出してもらいます。 「2校で校了できればいいね。」
普通の雑誌なら、それで済みますが辞書ではあり得ませんよ。 5~6校は当たり前。 「1ヶ所や2ヶ所の間違いがあったっていいんじゃん。」
辞書に間違いがあっては絶対いけないのです。 校了したら十数年たってたなんてのはザラにある話です。 「ひえ~」
『印刷・製本』
最終的な体裁の確認が終われば印刷し、本が完成です。 「バンザーイ。」
明日から改訂作業に入りましょう。 「なんですって?」
何十年もかけて本が完成したと思ったら、その年月のあいだに死語になった言葉や、今は普通に使われている新しい言葉や、いつのまにか使い方が間違っている言葉などがあり、当然辞書も手直ししなければなりません。 改訂版の出版に向けてがんばりましょう。 「そんな殺生な・・・ 」
この映画は「辞書ができるまで」のインサイド・ストーリーという趣きながら、あくまでも側面的なものであり、辞書作りに携わった一人の青年の成長を描いたお話です。
物語の時代は1995年からスタート。 「PHSが発売された時期なんだよね。」
出版社・玄武書房
瀟洒なビル(新館)の隣りに、年代を感じさせる古いビル。
そこが倉庫兼・辞書編集部になっている旧館です。 「随分な扱いだねえ。」
辞書編集部
松本さん(加藤剛) 「優しいおじさんだね。」
荒木さん(小林薫) 「定年間近です。」
西岡さん(オダギリ ジョー) 「流行に目ざといマイペースなアニキ。」
佐々木さん(伊佐山ひろ子) 「しっかりしたオバチャンです。」
もうすぐ退職する荒木さんが後釜として、営業部から引っぱってきた青年。 「西岡さんのカノジョの推薦です。」
名前はマジメ君。 「ほんとマジメそうだね。」
馬締光也(松田龍平)。 「あだ名じゃなかったの?」
とにかく物静かで、他人とのコミュニケーションが大の苦手。 「よく営業なんてやってたね。」
彼自身、自分の思いを人に伝えたい気持ちが強すぎて、言葉を大事にするあまりに言葉が出てこないんでしょうね。 「そういう人の方が辞書作りに向いてるね。」
編集部が今回起ちあげた新しい辞書のプロジェクト。
「大渡海」! 「クリスタル・キング?」
約24万語を掲載予定の中型辞典。 キャッチフレーズは「今を生きる辞書」。
俗語や若者言葉、さらには誤って使われてる言葉も、正用と誤用を併記して載せるという、画期的な辞書です。 「それは楽しみだね。」
さて、タイトルの「舟を編む」とは一体なんでしょう? 「それ気になってたあ。」
しばし、松本先生の講説をどうぞ。
「言葉の海。 それは果てしなく広い。 辞書とは、その大海に浮かぶ一艘の船。」
「人は辞書という舟で海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探します。 それは唯一の言葉を見つける奇跡。」
「誰かと繋がりたくて、広大な海を渡ろうとする人たちに捧げる辞書。 それが大渡海です。」
「先生、カッコいい。」
マジメ君のハートにガツンとくるのも当然ですね。
マジメ君は大学の頃から「早雲荘」というところに十年以上、下宿してます。
アパートというより、大家のタケさんのお家みたいなもんでして、下宿人はマジメ君一人だけ。
あっ、ネコのトラさんもいました。
ニャ、ニャ、ニャンと!
「レンタネコ」で、歌丸師匠を熱演?していたマイケル君ですね。
「演技の秘訣だって? 演技をしないことさ。 フッ、キマッたニャ。」
高齢のタケさんを心配して上京した孫娘・香具矢(宮崎あおい)と、月夜の晩に出会って、一目ぼれのマジメ君。 「隅に置けないねえ。」
辞書作りに悪戦苦闘しながら、言葉の持つ力や大切さに触れていきます。
香具矢への想いを募らせ、自身があたかも「未完成の辞書」のごとく、人に気持ちを伝えることの真髄へと一歩一歩成長していくのです。 「筆の草書体でラブレターを書くのには笑わせてくれましたねえ。」
辞書を作るという仕事の苛酷さが十分伝わりますし、それに携わる人たちの忍耐力や、妥協しない一意専心には頭が下がりますね。
「辞書なんて金食い虫だろうが!」などと言ってた局長さんは、最後にゃ「期待してます!」と熱くなり、ファッション誌から転属してきて「私、シャンパンしか飲めません。」と言ってたオシャレな岸辺さんまで、遂にはビールをグイッと召し上がる。
結局いい人ばっかり出てくるんですが、それも鼻にはつかないし、こういう「プロジェクトX」的物語は“美しき青春”を大いに語ってくれる方がよろしい。
コミュニケーション能力に欠けるマジメ君のバックグラウンドの説明はないけど、過去にはいろいろあったとは思うし、彼が辞書の編纂に携わりながら自分を乗り越えていく姿が瑞々しいですね。
松本先生や、荒木さん、西岡さん、タケさんなど、自分を導いてくれた人たちへの感謝を忘れずに、使命に打ち込む人柄。
彼がいなければ「大渡海」は完成しなかったでしょう。
言葉の選定から説明の執筆まで辞書という舟を編んでいく過程とシンクロしてるような、香具矢との恋の成就もなかなか好感覚なラブストーリーになってます。
マジメ君を演じた松田龍平の雰囲気がいいですね。
セリフは一言一言が最小限で、一見つかみどころのないキャラですが、不思議とこの“マジメなマジメ君”の魅力がジワッと出てきます。
物語の絶妙なアクセントになってる西岡役のオダギリジョーの好演も特筆もの。
「賢人のお言葉」
「もし、人生に再販があるならば、私は改訂したい。」
ジョン・クレア
「風が強く吹いている」、直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」に続いて映像化されたのが、2012年本屋大賞第1位の本作。
どういうお話かというと、辞書を作る人たちの物語です。
辞書かぁ・・・
うちにも大辞林がありますが、近年「辞書を引く」などということは、ほとんどないと言っていいですね。(最近、【変態】を調べましたけど。)
「辞書を作る」と申しましても、生易しいものではございません。
まるまる新しい辞書を一から作るに際し、企画してから出版するまで、少なくとも十年から、長くて三十年近くかかるのだとか。
そりゃ膨大な時間がかかるってのは想像つきますが、それにしたってねえ・・・。
【辞書】
多くの言葉や文字を一定の基準によって配列し、その表記法・発音・語源・意味・用法などを記した書物。
【辞書はこうしてできるのさ】
『編集会議』
新しい辞書を作ろう。
「作ろう、作ろう、作りましょう。」
会議を開きましょう。 「開きましょう。」
いつ頃までにどんなコンセプトの辞書を?
読者層は? 目的は? 規模は? 語数は? ページ数は? フォントは? お値段は? 原稿はどう書くの?
会議で決めましょう。 「ああしよう、こうしよう。」
編集要領、執筆要領、見本原稿を作成しましょう。 「そうしましょう。」
「・・・ここまで1年かかっちゃいました。 フ~・・・」
『言葉集め・用例採集』
辞書に載せる言葉を集めましょう。 「大変だ~」
初めて知った言葉は、その使用例も含めて“用例採集カード”に記録しましょう。 「大変だ~」
いつでもどこでもカードを常に持ち歩き、テレビやラジオに集中し、女子高生の会話にも耳をそばだてましょう。
「白い目で見られるよ~」 仕事ですから我慢しましょう。
『見出し語選定』
旧モデルの辞書から選定した言葉、約数万語のリストを作成しましょう。 これはそのまま新しい辞書に載せますよ~ 「それは助かる~ 」
残りの二十万語を選定しましょう。 「やっぱり大変だ~」
用例採集カードの中から、広辞苑と大辞林、この二冊に載ってるかどうかを全てチェックしましょう。
二冊両方に載ってる言葉に〇、どちらか一冊に載ってる言葉は△、どちらにも載ってない言葉は無印として、全て書き出しましょう。
「これ、いつまでかかるんですかあ?」 終わるまでですよ~
無印の言葉、つまりどの辞書にも載ってない言葉の中からどれを載せるかで、新しい辞書の個性が決まるのですよ~
『原稿執筆』
見出し語の説明をするための原稿を書いてきましょう。 「書こう、書こう。」
専門的な分野は、その専門家に執筆を依頼しましょう。 「それがいいね。」
協力者から上がってきた原稿も、執筆要領に則っているかをチェックしましょう。 「気を使うねえ。」
用例が適切かどうか、他の辞書とかぶった表現がないかもチェックしましょう。 「がんばろう。」
ここから十年以上はかかりますよ~ 「勘弁して下さい。」
ところで、あなた。 【右】という言葉を説明できますか?
「時計の針が12時ジャストの位置の時に、針が次に動く方向。」 なるほど。
「電車の改札口を通る時、キップを機械に挿入する側。」 なるほど。
「パチンコ台に座った時、ハンドルが着いている位置。」 なるほど。
「車用信号機の横並びの三色のうち、「赤」を配置する位置。」 なるほど。
「タカ派。」 なるほど。
『レイアウト』
実際の辞書の紙面を作りましょう。 「いよいよだね。」
1ページの中に、出来る限り情報を載せながら、読みやすくする工夫をしましょう。 「頭が痛いねえ。」
ひとつの見出し語の説明文をフォントやサイズを決めて、どう落とし込んでいくか、指定が決まったら、整理原稿を印刷所に入稿し紙面(ゲラ)を作成してもらいましょう。 「お願いしまーす。」
紙の薄さや色味の指定も重要ですが、ページをめくった時、複数のページがくっついてめくれることのない「ぬめり感」のチェックも忘れないようにしましょう。
『校正』
ゲラのチェックです。 「チェックばっかりですね。」
誤植がないか、内容に誤りがないか、配置は正しいか、見出し語の抜けはないか、修正箇所があったら赤字で指示を入れて、再度ゲラを出してもらいます。 「2校で校了できればいいね。」
普通の雑誌なら、それで済みますが辞書ではあり得ませんよ。 5~6校は当たり前。 「1ヶ所や2ヶ所の間違いがあったっていいんじゃん。」
辞書に間違いがあっては絶対いけないのです。 校了したら十数年たってたなんてのはザラにある話です。 「ひえ~」
『印刷・製本』
最終的な体裁の確認が終われば印刷し、本が完成です。 「バンザーイ。」
明日から改訂作業に入りましょう。 「なんですって?」
何十年もかけて本が完成したと思ったら、その年月のあいだに死語になった言葉や、今は普通に使われている新しい言葉や、いつのまにか使い方が間違っている言葉などがあり、当然辞書も手直ししなければなりません。 改訂版の出版に向けてがんばりましょう。 「そんな殺生な・・・ 」
この映画は「辞書ができるまで」のインサイド・ストーリーという趣きながら、あくまでも側面的なものであり、辞書作りに携わった一人の青年の成長を描いたお話です。
物語の時代は1995年からスタート。 「PHSが発売された時期なんだよね。」
出版社・玄武書房
瀟洒なビル(新館)の隣りに、年代を感じさせる古いビル。
そこが倉庫兼・辞書編集部になっている旧館です。 「随分な扱いだねえ。」
辞書編集部
松本さん(加藤剛) 「優しいおじさんだね。」
荒木さん(小林薫) 「定年間近です。」
西岡さん(オダギリ ジョー) 「流行に目ざといマイペースなアニキ。」
佐々木さん(伊佐山ひろ子) 「しっかりしたオバチャンです。」
もうすぐ退職する荒木さんが後釜として、営業部から引っぱってきた青年。 「西岡さんのカノジョの推薦です。」
名前はマジメ君。 「ほんとマジメそうだね。」
馬締光也(松田龍平)。 「あだ名じゃなかったの?」
とにかく物静かで、他人とのコミュニケーションが大の苦手。 「よく営業なんてやってたね。」
彼自身、自分の思いを人に伝えたい気持ちが強すぎて、言葉を大事にするあまりに言葉が出てこないんでしょうね。 「そういう人の方が辞書作りに向いてるね。」
編集部が今回起ちあげた新しい辞書のプロジェクト。
「大渡海」! 「クリスタル・キング?」
約24万語を掲載予定の中型辞典。 キャッチフレーズは「今を生きる辞書」。
俗語や若者言葉、さらには誤って使われてる言葉も、正用と誤用を併記して載せるという、画期的な辞書です。 「それは楽しみだね。」
さて、タイトルの「舟を編む」とは一体なんでしょう? 「それ気になってたあ。」
しばし、松本先生の講説をどうぞ。
「言葉の海。 それは果てしなく広い。 辞書とは、その大海に浮かぶ一艘の船。」
「人は辞書という舟で海を渡り、自分の気持ちを的確に表す言葉を探します。 それは唯一の言葉を見つける奇跡。」
「誰かと繋がりたくて、広大な海を渡ろうとする人たちに捧げる辞書。 それが大渡海です。」
「先生、カッコいい。」
マジメ君のハートにガツンとくるのも当然ですね。
マジメ君は大学の頃から「早雲荘」というところに十年以上、下宿してます。
アパートというより、大家のタケさんのお家みたいなもんでして、下宿人はマジメ君一人だけ。
あっ、ネコのトラさんもいました。
ニャ、ニャ、ニャンと!
「レンタネコ」で、歌丸師匠を熱演?していたマイケル君ですね。
「演技の秘訣だって? 演技をしないことさ。 フッ、キマッたニャ。」
高齢のタケさんを心配して上京した孫娘・香具矢(宮崎あおい)と、月夜の晩に出会って、一目ぼれのマジメ君。 「隅に置けないねえ。」
辞書作りに悪戦苦闘しながら、言葉の持つ力や大切さに触れていきます。
香具矢への想いを募らせ、自身があたかも「未完成の辞書」のごとく、人に気持ちを伝えることの真髄へと一歩一歩成長していくのです。 「筆の草書体でラブレターを書くのには笑わせてくれましたねえ。」
辞書を作るという仕事の苛酷さが十分伝わりますし、それに携わる人たちの忍耐力や、妥協しない一意専心には頭が下がりますね。
「辞書なんて金食い虫だろうが!」などと言ってた局長さんは、最後にゃ「期待してます!」と熱くなり、ファッション誌から転属してきて「私、シャンパンしか飲めません。」と言ってたオシャレな岸辺さんまで、遂にはビールをグイッと召し上がる。
結局いい人ばっかり出てくるんですが、それも鼻にはつかないし、こういう「プロジェクトX」的物語は“美しき青春”を大いに語ってくれる方がよろしい。
コミュニケーション能力に欠けるマジメ君のバックグラウンドの説明はないけど、過去にはいろいろあったとは思うし、彼が辞書の編纂に携わりながら自分を乗り越えていく姿が瑞々しいですね。
松本先生や、荒木さん、西岡さん、タケさんなど、自分を導いてくれた人たちへの感謝を忘れずに、使命に打ち込む人柄。
彼がいなければ「大渡海」は完成しなかったでしょう。
言葉の選定から説明の執筆まで辞書という舟を編んでいく過程とシンクロしてるような、香具矢との恋の成就もなかなか好感覚なラブストーリーになってます。
マジメ君を演じた松田龍平の雰囲気がいいですね。
セリフは一言一言が最小限で、一見つかみどころのないキャラですが、不思議とこの“マジメなマジメ君”の魅力がジワッと出てきます。
物語の絶妙なアクセントになってる西岡役のオダギリジョーの好演も特筆もの。
「賢人のお言葉」
「もし、人生に再販があるならば、私は改訂したい。」
ジョン・クレア
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「舟を編む」三浦しをん
玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。
20...
粋な提案: 2015年10月06日