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ディアトロフ・インシデント
2013年08月31日

T0017945p.jpg 1959年。
旧ソ連のウラル山脈で実際に起こった摩訶不思議な遭難事件。
それが世に言う「ディアトロフ峠事件」であります。

 ウラル山脈へスキー登山に向かった、ウラル州立工科大学の学生・OBら9人のメンバーが遭難。
その後、捜索隊が9人全員の遺体を発見するのですが、あまりにも奇妙な遺体の状況は、どうにも説明がつかず、彼らに一体何が起こったのか、あれやこれやと憶測が飛び交うミステリー事件として語り継がれています。
Dyatlov_Pass_incident_02.jpg 
 ちなみに「ディアトロフ」というのは登山グループのリーダー、イゴール・ディアトロフのことで、「ディアトロフ峠」という地名は事件後に命名されたものです。

★イゴール・ディアトロフ(♂23歳)
★ジーナ・コルモゴーロワ(♀22歳)
★リュドミラ・ドゥビーニナ(♀20歳)
★アレクサンドル・コレバトフ(♂25歳)
★ルステン・スロボージン(♂22歳)
★ユーリ・クリボニシチェンコ(♂23歳)
★ユーリ・ドロシェンコ(♂20歳)
★ニコライ・チボー=ブリニョーリ(♂23歳)
★セミヨン・ゾロタリョフ(♂37歳)
haka.jpg 
 一人だけオッサンが混じってますが、あとは女性2人を含め、みんな20代なのでなんとも痛ましいですね。
当初10人だったのですが、途中で一人が病気のために下山しています。(ユーリ・ユーディン(♂21歳) 今年4月に75歳で死去)

【遺体状況検分】
◆ボロボロの状態のテントが最初に発見され、そこから100メートルないし300メートルの間隔で5遺体がバラバラに発見される。 2ヶ月後、最初の遺体発見現場から75メートル離れた渓谷で4遺体を発見する。
◆最初の5遺体は裸足で下着だけの状態。
◆頭がい骨骨折の所見アリ一体。
◆肋骨骨折及び眼球欠損の所見アリ一体。
◆肋骨骨折及び舌の欠損の所見アリ一体。
◆衣服に放射能被ばくの痕跡が認められた者一体。
◆全遺体に争った形跡なし。

 う~む、確かに奇々怪々。
なぜ全遺体がテントから離れて散り散りバラバラなのか?
全く普通の状態で凍死している者もいれば、-30℃のクソ寒い中、マッパ同然の者や、骨折、目がない、舌がないなど、遺体の特徴がバラバラすぎる。
しかも放射能に被ばくした者もいる。

超常的な理屈をつけるのはカンタン。 単なる事故と理論づけるのもカンタン。
これまで詳細は一切公表されておらず、様々な憶測を呼ぶのもむべなるかな。


 この世界10大ミステリーのひとつとされる「ディアトロフ峠事件」の真相を追うアメリカ人大学生グループが残した記録映像。
そこに映っていたものとは・・・?
・・・いわゆるPOVスタイルのフェイクドキュメンタリーです。
監督はレ二ー・ハーリン。  おお!久しぶりですな。


 オレゴン大学の映画製作サークルに籍を置く学生ホリー・キングちゃんは燃えていた。
346345_002.jpg 
「ディアトロフ峠事件」の真相はあたいたちが解明してやるんだわさ!
アドバイザーのジェンセンは、すっとぼけたこと言ってたわ。
「低体温症になると一種の認知症になるんだぜ、ベイベー、知らなかったかい?」
知るか、アホ。
それが下着姿で発見された遺体の説明になるとでも?
ヌルイわねえ。
目をくりぬかれたり、舌が切り取られていたり、放射能のことなんかはどう説明するってのよ。

まずは現地に行ってナンボよね。
絶対なにかあるはずよ
事件の前後は空にオレンジ色の発行物体が目撃されたっていうじゃない。
もしかして、“ユーのフォー”ってやつ? ゾクゾクするわね。
ずっとカメラを回してたら、ひょっとして決定的瞬間が撮れるかもね。
大学からたんまりと補助金もらっちゃったしね、手土産なしじゃ帰れないわよ。

ジェンセンはじめ、雪の山に詳しいビジェイ、音声担当の美女デニース、カメラマンのアンディJ.P.ハウザーが参加して、あたいを含めて計6人。
目指すはウラル山脈、コーラット・サイキール。
別名「死の山」ですって?
なんでもシノ、シノって呼べばいいもんじゃないわ。中尾彬じゃあるまいし。
まあ、いいんじゃない?自分的には盛り上がるわ。
さあ、ドキュメンタリー「ディアトロフ・インシデント」撮影開始よ。

5.jpg 
まずは事件当時、途中で下山して生還した男が病院に入院中ってんで取材をしようとしたら病院の職員に門前払い。
なによ、カンジ悪いわねえ。
えっ、すでに死んでる? マジ? えっ・・・窓からこっち見てるおじいちゃんは? あの人じゃないの?
なんか臭うわね・・・。
「おう、すまんすまん。 さっきスカ屁やっちまったよ。 やっぱクサかったか?」
ジェンセン死ね。 今すぐ死ね。

images_2013083022284817a.jpg 
前夜。 まずは地元の酒場でガソリン補給&記念写真。
あっ、横のワンちゃんは酒場まであたいたちを案内してくれた地元のワンちゃんよ。
かしこいねえ、よしよし・・・って、ブーツにオシッコかけやがったよ、こんにゃろめ。
バーのマスターからは「旅の無事を祈る」とテキーラをショットでおごっていただきました。
キクーッ!!

事件当時、捜索隊に参加した先住民の女性からお話を伺いました。
もうすっかりおばあちゃんですが、50年前はさぞ、美人だったんだろうなあ。
「ええ、確かに見つかった11人の遺体をこの目で見たわ。」
「ちょっと待って。 11人ってどういうこと? 亡くなったのは9人のはずよ。」
「あなた、報道のことなんか信じちゃダメよ。」
ダメよって言われても・・・。
おばあちゃん、ボケてんじゃないの?

346345_006.jpg 
目的地を目指して登攀なう。
いやあ、これはきつい。
「おーい、そんなとこでいつまでもカメラ回してないで、早く来ねえと置いてくぞー。」
「うっせえ! ちょっとでも男前に撮ってやろうと苦労してんのよ、こっちは!」
「じゃかあしい! 置き去り決定!」
「あっ、待って! ジョークジョーク。 置いてかないで~ん。」

sub6_large_20130831090843c2e.jpg 
足跡らしきものを発見。
なにこれ? 動物じゃないよね。 人間の裸足の足跡じゃん。
でも、でかい。 軽く35センチ超えてるよ。
まさか、チェ・ホンマンがこんなとこにいるはずないし・・・。

「おい、つまらんヤラセなんかしてんじゃねよ。」
「ちょっと! 言葉に気をつけなさいよ! なんであたいがヤラセなんかしなきゃいけないのよ。」
「フン、どうだかね。 よくできた足跡だな。」
「あたいじゃないってば。」

01_20130830233304069.jpg 
現場到着なう。
さっそくコメント撮り。
えっ?なに? GPSが効かない? 高度計が狂ってる?
まあ、いいんじゃない。 ムードが出てきたわ。
・・・・・今、なんか声がしなかった? 空耳かしらね・・・。

ちっちゃな気象塔があったわ。 百葉箱みたいなもんよね。
ビジェイがよじ登って箱の中を見てます。
よしなさいよ、子供ねえ。 どうせ温度計とか湿度計ぐらいしかないわよ。
「Oh、Shit!」
「な、なにー!?」
「し、舌が・・・。 舌があるぞ。」
これはいよいよシャレにならないわよ・・・。

「おい。 さっきから変だと思わないか。」
「あたいのメイクに文句でも?」
「そうじゃなくてよ。 もうとっくに日が暮れててもおかしくないぐらいの時間を歩き続けてるんだぜ。 なのに、なんだよ、このピーカンは?」
「磁場が狂ってるんだな。 もう引き返そうぜホリー。」
「ここまで来てなによ。 さっきまで人をヤラセ呼ばわりしてたくせにさ。 さあさあ、ここでキャンプを張るわよ。」
 

box2.jpg 
大発見なう。
なんでこんなとこに扉があるのよ
建物があるってことよね? やっぱり、事件にはなにか裏があったのよ。
大正解だわ。 やっぱり来てよかったわー!

・・・・・・・・いや、来てはいけなかったのだ。
彼らはここに来るべきではなかった。
そのことに気づいた時には、もう手遅れだった・・・。
346345_001.jpg 
 (人為的?)雪崩に巻き込まれるわ、照明弾を撃って助けが来たと思ったら銃撃されるわで、死人も出る。
仕方なく例の謎の扉を開けて逃げ込んだホリーたちが中で見たものとは・・・・



 【ネタバレで候】 
 POVスリラーにありがちな、「そんな時までカメラを手放さないのはおかしい!」というツッコミは野暮ですな。
信憑性というよりは、「体感しながら観る」ことへの追求ですから、深く考えない方がいいでしょう。
全然ペーペーの若手がこの手の映画を撮るのなら分かりますが、レ二ー・ハーリンがこんな低予算のPOVモノを手掛けるとはちょっと意外。

 ホリーたちが逃げ込んだところは、暗いけれど広い施設。
何の目的の施設なのかは一見しただけでは分からない。
部屋と言うよりは金網で仕切られたスペースがいくつも続いており、人は誰もいない。
大層な機械があるわけでもない、古くて永らく使われていない施設のようである。

 机の上にビデオカメラ発見。
なんとそれは、今自分が撮影のために手に持っているカメラと同じもの。
しかもHDDに残されている映像は、今まで自分たちが撮ってきた映像が記録されている。
そんなカメラは自分が今手にもってるこれ以外、世界に二つと存在するはずがないのに。
カメラが分身の術でも使ったと? このカメラは一体どこから出現したのか?

と、言ってるとやっぱり出たよ、怪物。
imagesCA04GU4A.jpg 
 「アイ・アム・レジェンド」に登場したダーク・シーカーのガリガリタイプ。
忍者のように壁から壁へとピョンピョン移動する動きはCGがちょっと安っぽくて・・・・、う~ん、まあ、いいいかね。
ゾンビではないのだけど、とにかく素早くて凶暴な人食い超人。
逃げて逃げて逃げまくったホリージェンセンはトンネルのような通路の奥のドアを開ける。 そこには・・・。

68646c51dc6298673afb97ed49358620.jpg
この光の渦巻きは何か?

 1984年のSF映画「フィラデルフィア・エクスペリメント」のモチーフにもなった【フィラデルフィア計画】という都市伝説を御存じだろうか。
1943年10月28日、アメリカ海軍が駆逐艦エルドリッジを使って行った、ある実験のことである。
強力な磁場発生装置を使用し、艦が敵レーダーから探知されないようにするため、艦に船員を乗せたままの人体実験が秘密裏に行われた。
結果は、確かにエルドリッジはレーダーから消えたが、それどころか完全に艦体が消失。
2500キロも離れたノーフォークに瞬間移動した後、数分後に再び元の場所に姿を現したという。

恐ろしいことに船員は壁や甲板に体がめり込んでいたり、体が燃え上がったり、半透明化してる者もいた。
多数の死者・行方不明者と発狂者を出した異常事態にビビったアメリカ海軍はこの事件を隠ぺいしましたとさ・・・というオハナシ。


 さて、ここから先が本作のネタの考察。
【フィラデルフィア計画】の情報を当時の旧ソ連が入手し、「よっしゃ、ワシらもやったろうやないか。」とウラル山脈に秘密施設を作って研究を重ねてきた。
強力な磁場をもって、時空間を移動できる光のトンネルを造り上げたのであろう。

 ダーク・シーカーもどきの怪物がドアを破ろうとしている。
追い詰められたホリージェンセンは、一か八かで目の前の光の渦の先へ進むのである。
この先には一体何があるのか・・・・・


 1959年、ウラル工科大学の登山グループ遭難事故の捜索に参加していた先住民の女性は、9人の遺体を発見した後、さらに2人の遺体(実は死んでいない)を発見した。
しかし、どこからともなく現れた軍人たちが遺体を回収してしまった・・・。
雪に閉ざされた秘密の施設に変わり果てた男女を運び、彼らが持ち込んだカメラも回収し、机の上に置いた・・・。

 【フィラデルフィア計画】では、強烈な磁場によって瞬間移動した船員たちの体に恐ろしい影響を与えた。
旧ソ連軍の時空移動トンネルは、ホリージェンセンを怪物に変貌させてしまっていた。
dhia.jpg 

 まさかのタイム・パラドックス・オチ。
施設の中でホリージェンセンが追いかけられていたのは、50年以上も前に人間ではなくなった自分だった?ってことで解釈していいんでしょうね。
9人の大学生を襲ったのも彼らなのか、それとも先に実験台になっていた兵士が一人ぐらいはいただろうから、それなのかも。

 こう考えてもいい。 
現地は磁場が異常な状態だったので、オレゴン大のメンバーが事件現場に来た時、すでにタイムスリップして1959年の時代にいたという説も有効。
 GPSとか通信系が全部ダメになったのも、気象塔の中にあったものが、腐乱しておらず人間の舌と判別できる状態だったのも、そのためではないか?
救援要請のために撃った照明弾が、昔目撃されたオレンジ色の発行物体のことだったというのもタイムスリップで納得できる。

 ???いや・・・、それだと無人状態だった秘密施設でのシークエンスに食い違いが出ちゃうのか?
いやいやいやいや。 そこはもう、磁場のせいにしていいのでは。
とにかく磁場がワヤだったので。
全部磁場が悪い。 全部磁場のせいだ。 
それで全て解決だ。


「賢人のお言葉」
 
「まあ、もうちょっと行ってみようやないか。 ほんとうに未知なものにむかって進むとき、人はそんなふうに自分に対して言うほかはない。」
小田実

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