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中国の戦術眼、したたかな交渉力

 すでに報道されていますが、中国は知財においてもすぐれた交渉力を発揮しています。
参考にご紹介します。
中国のテレビメーカー団体、米国向けテレビロイヤリティの大幅削減に成功
 米国向けのデジタルテレビは、ATSC規格に準拠している必要があり、同規格の標準特許を保有してない中国は、特許料の支払いが負担となっていた。同団体を中心とした特許権者との2年にわたる交渉の末、特許使用料が大幅に減額されたという。 米国の連邦通信委員会(FCC) (以下略)...
 交渉力と、戦術の目の付け方には学ぶべきものがあります。

 話は少々違いますが、アメリカのバイアメリカン条項が国際的批判を浴びるのに対して、一方の中国では「家電下郷(家電製品を農村に)」制度を実施し、家電購入費を13%特定のリストモデルにしぼり、実質的にバイチャイニーズを実現したりしているのも、同じようなしたたかな戦術の成功かもしれません。

かってのIBM

 知財業界は刻々と変貌しています。 しかし、過去80年代、90年代そして2000年代といろいろな歴史的イベントがありました。 
 その中の一つ、かってIBMがいまとはまったく違うビジネスモデルで輝いていたころ、すなわちパソコン市場のトップベンダーとなり、利益もピークを迎えた1985年当時、もっとも攻撃的に「敵」のひとつ富士通に熾烈な特許戦争をたたみかけたことがあります。 その戦争の舞台裏が守秘義務が解かれたためか、次の本に書かれています。 読まれたかたも多いと思います。 「雲の果てに-秘録富士通・IBM訴訟」 伊集院 丈著。日本経済新聞社。 今のIBMの姿と、また富士通の姿からは想像がつかない激しい知財戦争の一端を垣間見ることができます。私も厳しい米国仲裁の「戦争経験」をいたしましたが、いろいろなことを思い出しました。
 後日談ですが、そのIBMもその20年後(2004年)には事業をレノボに売却し、今日の業態になるとは予想がつかなかったことでしょう。 その後IBMは特許取得(米国特許取得)で連続トップを続けつつIBMのプレスリリース、一方でオープンイノベーションを掲げ、まったく異なったビジネスモデルに生きる時代となっています。知財の変遷はダイナミックです。

 

高まる中国の知財熱

 少し以前のことですが、昨年11月20日上海ではじめての特許オークション(入札)が行われ、33.86M RMB(約5億円)で特許の国内売買が成立しています。その8件の特許は、エネルギー、環境、電気そしてバイオの分野の特許だったようですが、この初めての入札でかくも高額の売買が成立したことは注目されます。中国特許庁HPから

 中国の特許庁である中国知識産権局(the State Intellectual Property Office: SIPO)は、まもなく世界最大の特許庁になりますが、出願の件数は年間20万件を超えています。その体制強化のため、EPO(欧州特許庁)との連携が本格化しています。 2,000名以上!!のSIPOの審査官の大部分がすでにEPOでトレーニングを受け、さらに毎年60名の審査官がEPOの支局でトレーニングを受けているようです。

 中国に知財指導をしてあげたほうがいいのではないかと親切な議論をする間に、あるいは日本企業はもっと特許は活用すべきという議論をする間に、実は中国は一気に日本を抜け去っていこうとしているようにも見えます。

外国弁護士

 仕事柄、米国あるいは欧州、そして最近は韓国の弁護士などともよくお目にかかります。ご一緒にあるいは、相手方の弁護士としてお目にかかった方々も相当な数になっていることに気づきました。
よく来日のおり、忙しい日程にもかかわらず立ち寄られる弁護士も少なくありません。
最近は知財関係の方とお話をするときに、(xxの分野で)いい弁護士をご存知ですかなどと聞かれることもでてきました。 弁護士はとてもコストのかかるのが通例ですが、使い方によってはそれはそれはすばらしい働きをしてくれます。 あるいは、費用倒れになる方ももちろんいます。 選任がもっとも難しい分野かも知れません。私も過去の(多くの失敗の)経験から、最近ようやく自分の「嗅覚」に自信をもちはじめました。少しづつブログのなかで書き始めたいと思います。

「ナカガワ??」イタリアとの電話

イタリアと国際電話をしたときに、「ナカガワ」といわれて思わず何のことかわかリませんでした。 しばしあって、中川財務大臣がG8財務相・中央銀行総裁ローマ会議のあとの記者会見で酩酊していたことを話題にしていることがわかりました。 ユーチューブでもでているようです。
イタリア首相のベラルスコーニ氏もいろいろ事件を起こす人で有名ですが、今回の中川大臣はイタリアでは話題を提供したようです。 ユーチューブ G8 もう12万人以上の人々が見たのですね。 プロフェッショナルな仕事が必要とされる場面で、プロフェッショナルでない人が登場した悲笑劇だったのでしょう。

消えた家電量販(米)サーキットシティー

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アメリカ家電量販NO.2で60年の老舗、ベストバイとかっては覇を競っていたサーキットシティーがいよいよ店じまいです。 昨年11月に破産法の適用をうけてサーキットシティー破産法適用のニュース、会社再建を図っていましたが、とうとう立ち至らず1月16日から 会社清算にはいってしまいました。
 サーキットシティーといえば、80年代90年代には絶好調の発展をとげ、私もアメリカでは必ず訪問した記憶があります。感無量です。
 その敗北の原因については、TIMEの2008年11月11日号Time Magazine が書いています。 もちろん昨今の売っても売っても儲からない液晶テレビが直接のきっかけだったのでしょうが、タイム誌はかっての成功のなか変革を怠った、店舗立地が悪かった、ゲームやPCなどの流れに乗り切れなかった、セールス知識の豊富なベテラン人材を切りサービス低下、そして、台頭してきたオンライン販売(アマゾンドットコムなど)との競争に敗れたなどがあげられているようです。
 日本でも、ヤマダ電機、BIC CAMERA、ヨドバシなど量販の競争も熾烈ですが、「他山の石」となるかもしれません。私自身はオンライン販売の動向に注目しています。
 

インテレクチャルベンチャーズ その後(トランスメタ社)

 先日プレス発表されたIV社の特許買収の記事は注目されるニュースだと思います。まず、IV社の買収の報道から。 IV社と特許買収 IV社が米国半導体企業トランスメタ社から140件あまりの特許ポートフォリオ(将来分も含む)の譲渡をうけたとの記事です。
transmeta_efficeon.jpg トランスメタ社といえば、Mini PCに必須な省電力技術などを有する著名な会社ですが、未曾有の半導体危機で経営不振となっていました。 2006年にはインテル社を演算処理や消費電力低減に関する技術に関する特許侵害で提訴して、2007年に一時金として約180億円。さらに5年間のライセンス料120億円、合計300億円を支払うことになった会社です。インテル社とトランスメタ社の合意

 IV社が手に入れた物は、今後、もっともダイナミックな展開が予想される半導体分野での重要なパテントポートフォリオです。これまでIV社が入手した2000件あまりの特許と今回の140件の特許群はそれだけで、半導体メーカーにとりいやがおうでもライセンスを受けざるをえないような状況となるのでしょう。IV社のめざすビジネスモデルが今回の買収で、浮かび上がってくるようです。

 今回の買収劇には前マイクロソフト副社長で、今はIV社CEOのNathan Myhrvold氏の大きな成果と書かれた記事も散見します。私見ですが、これでマイクロソフトも一安心かもしれません。

過去のIV社関連ブログ その1 その2 その3

米国CEショー 後日談:テレビの将来

 今日の日経産業新聞に、優れた視点の記事がでていました、私もまったく同感です。 「乱戦薄型テレビ、変わる競争軸」(2月4日3面)。 
このなかで、先日のCES(コンスーマ エレクトロニクスショー)でプレゼンしたマイクロソフトのスチーブバルマーCEOのプレゼンを紹介されています。 私も現地会場でマイクロソフトのブースをつぶさに見ながらおもったのですが、テレビが大きな転換点にきたことを実感していました。マイクロソフトのブースで見たレンガの壁をハンマーで壊す人のDISPLAYが目に焼き付いています。マイクロソフトが壊す既存の世界の壁ということなのでしょう。
 バルマー氏はCEショーでのプレゼンで「今後数年でテレビはより洗練されて接続機能を持つようになり、パソコンとの境界は消える」、「パソコン、携帯電話、テレビの3つをつなぐ」。 携帯やテレビがネットへの入口となると述べられています。

  日経記者はこのなかで台頭するのが、IT企業と半導体メーカーであり、テレビメーカーは単なる「組み立て屋」で薄利に苦しむと予測されています。予測があたるかどうかわかりませんが、ありそうなシナリオと感じました。

オバマ大統領演説 後日談(中国での検閲)

 オバマ大統領の演説が中国でも新華社通信、テレビ中央電視台などで報じられました。
しかし、大統領演説が中国語ではいろいろな「検閲」の上で報じられたことを英国BBCが報じています。新華社通信での検閲は、過去のギョーザ事件報道や、チベット事件の報道などと同様のことで別に珍しくはありませんが、どこが「検閲」されたかをみてみると中国の考え方の一端がわかります。 またBBCは中央電視台での不自然な通訳の場面も皮肉に映し出しています。BBC報道

 検閲された主な箇所(一部):
 (1)「先人たちがファシズムと共産主義を屈服させたのは、(中略)たのもしい同盟国と強固な信念」faced down fascism and communismの箇所で、「共産主義」を削除。
 (2)「腐敗と謀略、反対者の抑圧によって権力にしがみついている者たちは、歴史の誤った側にいることに気づくべきだ(以下略)」To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history,"箇所を全文削除。
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toshifutamata

Author:toshifutamata
東京大学政策ビジョンセンター客員研究員。国際知的財産戦略研究。ライセンシング戦略。パテントプール。標準化戦略。中国・韓国知財動向研究。日本知財学会会員。

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