シャープの業績と見通しがきわめて深刻な事態に陥っている。
8月2日発表によれば、通期売上高予想は前回予想(4月27日)から2000億円減額し2兆5000億円、経常利益は1200億円減額して1400億円の赤字(2012年3月期は654億円の赤字)。
当期利益は、前回予想比2200億円減額し、2500億円の赤字(同3760億円の赤字)とした。
このため、固定費も1000億円削減し、うち、人件費は400億円を削減する計画で、2012年3月末5万6756人の連結社員数を13年3月末には約5万1700人へと約5000人を削減する。
この赤字の原因は、液晶テレビ市場の「想定外」の需要減などもあるが、それに加え、DELLむけPC液晶、アップル向けディスプレイ、そしてモトローラむけディスプレイでの価格談合の民事訴訟での賠償金158億円の支払いも暗い影を与えている。
シャーププレスリリースより (参考)エプソン、日立、東芝もDELL訴訟の被告であるが、まだ審理中 2008年11月シャープはDOJ(米国司法省)から、DELL社TFT液晶ディスプレイのPrice Fixing Scandal(価格談合)で、115億円の罰金を命ぜられ、その後、DELL社ならびに2社から損害賠償の訴訟を起こされていたのが今回決着したものである。
赤字が700億円増えたうち、独禁法違反による追加支払いは158億円に過ぎない(?!)が、先年の罰金と合わせると、まったく払う必要のない「ムダ金」を273億円払ったといえる。一般に日本企業は価格談合など、独禁法に関して無頓着な場合が多い、これまでシャープ以外でも莫大な罰金や、損害賠償を求められるケースが多い。しかし、今回のシャープの件は痛々しい。
シャープのプレスリリースでは、デル社以外の2社(アップル、モトローラ)については社名を秘した。しかし、今日、情報はグローバルに行き来するのであるから、多くある英文報道さえみればわざわざ隠す必要もない。なにか戦前の報道管制をみるようで、いい気がしない。
シャープの損害賠償金支払いの英文記事人員削減も10%も行い、あるいは、亀山や堺など地方自治体も多くの助成金をだしているなか、多くの犠牲が広がるなか、このようなムダ金がでていった事実はもっと真剣に問い直されるべきではなかろうか。