創作落語「センカク長屋」
雪裏亭梅花でございます。毎度バカバカしいお笑いで一席伺いますm(_ _)m
え~、有るところにセンカク長屋っていう長屋がございました。
ここの長屋がまたなんとも風変わりな長屋でございまして、いえ外見は普通の長屋なんでございますが、中の住民が揃いもそろって風変わりと来ています。
与太「大家さん、大家さん」
大家「なんでぇ、戸が外れらぁ、開いとるよ。おう、お前はこの間引っ越してきた与党…じゃなかった与太じゃねぇか。いったい何の用だ」
与太「何の用だ…じゃございませんよ。聞くところによると長屋でこの前でっかい揉め事があったって聞くじゃありませんか。その話をしようと思って来たんですよ」
大家「おお、お前もここに来て日が浅い。長屋の話を聞いて住民に早く溶け込もうとするのは良い心がけだ。聞かせてやるから少しばかり耳を傾けな」「いいかい、この長屋と塀を接する、ここよりほんの少し大きい長屋に気が付いているだろう」
与太「へい、なんでもチュウゴク長屋と言うんだとか」
大家「そこだ。この前ウチの近所で火事があったのは聞いているな。じつはウチの長屋はいまチュウゴク長屋と土地を巡って諍いがある。その境目が焼けたって寸法だ」
与太「随分でっかい騒ぎになったと聞いております。なんでも噂じゃチュウゴク長屋の連中がこっそり火を付けたとか」「いや、実はあっしもその噂を聞いて心配になって大家さんの所に来たわけなんでして…」
大家「シーッ黙って聞けよ。実は火を付けたのはアソコの連中じゃねぇ…。お前も見知っているだろう。前原屋の若旦那」
与太「へい、あのツルツルな顔をした威勢のいい若旦那ですな。なんでもあの顔で若い連中に随分人気があるって話じゃねぇですか」
大家「顔は良くても中身が良くねェ。あのバカ御法度の火遊びをして、うっかり火を付けちまったって寸法だ」「ところが頭は良くねぇくせに、あの若旦那には悪い友達が付いているらしく変な知恵を授けやがった。それで何をしたか分かるか」
与太「へぇ…いえ全然分かりやせん…」
大家「あの若旦那、火を付けたのは自分のくせに、大きな声で『火事だ!チュウゴク長屋が火を付けた』って触れて回ったってわけだ」「しかも知恵を付けた当の悪友、防衛屋の番頭キタの野郎が、調子に乗っておかしな商売を始めやがった」
与太「火事で商売ですか。あっしにはいよいよもって訳が分かりません」
大家「火事に怯える他の住民に消火器を売りつけるようって魂胆よ。国を守るには軍隊がいる、それと同じように長屋を守るには消火器が必要だってな口上だ」
与太「あ、そいつはいけねぇ。火事を起こして消火器を売りつける。そいつは詐欺じゃありませんか。いけねぇ、こいつは一刻も早く御奉行に訴えを…」
大家「まあ短慮を起こすんじゃない。そこでお見えになったのが、この長屋の裏に住んでいる米国…じゃなかった米穀奉行の小浜さまだ」
与太「あ、いま、一番羽振りがいいと噂の、将来は老中・大老と噂の、小浜さまが長屋まで出張ってきたので…」
大家「小浜さまは名代として平利屋の女将をお遣わしになると、前原屋の若旦那を一喝し、ごく内密に心得違いをお諭しになられたそうだ」「そしてチュウゴク長屋の連中を呼び出し『隣り合わせ同士の長屋で不仲だからこうなるのだ。以後は双方仲良くいたせ』とのお達しを下された」
与太「さすが小浜さま。長屋のことを良く分かっていなさるねぇ。さすが!立派なお方だねぇ」
大家「そうであろう。お前も小浜さまを見習って立派な住民になるのだぞ」「そして火事への備えを怠るべきではないと、防衛屋の消火器を買うよう長屋に改めてお達しを下さった」
与太「あれ、せっかくいい場面だったのに、結局はあのインチキ野郎の消火器を買うはめになったのでございますか?」「ま、それはいいか。消火器なんて邪魔になるもんじゃねぇし。ま、何であれ、揉め事が解決したのは目出度いねぇ。ほんに小浜さまは偉いお方だ」
大家「そうであろう。お前もこの長屋に住む以上、寝る時も小浜さまに足を向けてはならんぞ」
与太「もちろんでさ。あ、ところで、名代の平利屋ってのは何者で?」
大家「平利屋は消火器の卸元」
極楽落語(ゴクラクラクゴ)
お後がよろしいようで…おっと、ここの口上はこうじゃねぇ…。
お粗末さまでした(^o^)
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