- 2009-08-05(14:25) /
- アニメ(その他)
けいおん!BD売上がテレビアニメ史上最高に
5日発表されたオリコン週間ブルーレイディスク(BD)ランキング(8月10日付)によると、アニメ「けいおん!」1巻のブルーレイディスクが約3万3000枚を売り上げ、1位になった。08年7月に発売された「マクロスF(フロンティア)」の約2万2000枚を上回るテレビアニメ史上最高の売り上げで、総合でも映画「ダークナイト」の約2万9000枚を上回り、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の約4万9000枚に次ぐ史上2番目の記録。
~(中略)~
7月に発売されたキャラクター5人組のバンド「放課後ティータイム」のアルバムが、アニメのキャラクターソングとしては史上初となるオリコン1位を獲得している。
~(中略)~
「けいおん!」のDVD版は、約8000枚を売り上げ7位にランクインしている。【河村成浩】
けいおん!:ブルーレイ売上、テレビアニメ史上最高 「マクロスF」超え オリコン - 毎日jp
抽選で1万名にハスキー唯CDが当たるのがDVD枚数を押し上げたとは思うけど、これはすごい。
知名度が高いとは決して言えなかったけいおん!原作を、京アニはよくここまでヒットさせたなぁ…。アニメ化前の原作は1巻あたり1万部程度だったのが、今は20万部を大きく超えてるし。
というわけで、ちょっといろいろ考えてみます。
というか、けいおん12話が終わった時に途中まで書いて放置していた文章があるので、それを少し手直し。なんかまとまりがない上に、当たり前の事しか書いてないですが…。
予想以上に人気が出た
放送前に「
かんなぎ以上らきすた以下」と書いたけど、予想をはるかに上回ってます。
予想の理由はだいたい以下の通り。
- ○
- 今の売れ線
- キャラデがよい
- 現代日本のゆるい学園物
- 男がほとんど出てこない
- 百合っぽいが強烈な百合キャラはいない
- エロがあまりない(※少しはあった方がいい。半端が一番危ない)
- 暗い話がほとんどない
- 部活動を必死にやってるわけじゃない
- 音楽がテーマ
- 歌が作品に組み込まれると引きやすいしCDが売れやすいのは、マクロスシリーズが実証
- CD1位運動があると、目立つしファンの一体感が高くなる(※実際には派手なのは起こらなかったはず)
- 音楽は数分程度の動画にしやすいし消費しやすく、動画共有サイトとなじむ(ハレ晴レ、もってけ、アイマス、初音ミクほかボカロなどなど)→接触回数が増え親近感が増す
- 京アニの新作萌えアニメらしい
- ×
- 原作が無名
- アニメ化前のけいおん!は、1巻1万部ぐらい
- アニメ化前の涼宮ハルヒの憂鬱は、ラノベで売上上位(7巻で130万部)
- アニメ化前のらき☆すたはそれほど知られてなかったけど、ゲーム化するぐらいの人気はあった
- 原作を読んでみたら、アニメ好きを引く要素が少なく感じた
- 世界の謎、すごく細かい世界観、オタネタなどがほとんどない
- キャラの関係性の細かい描写やその変化が、少ない気がした
- ツンデレがいない。しいて言うなら澪と梓
プラス要素は強いけどマイナス要素も考えると、「らきすたは超えないだろう」と思っていました。でも、
- キャラソンはらきすた以上に売れた
- ミニアルバム「放課後ティータイム」は、キャラソン名義のアルバムでは多分史上初のオリコン週間1位
- けいおん!番組サイトへのアクセスは、TBS内1位。木村拓哉のMR.BRAINより多い
好材料について少しくわしく
始まってからはっきり気づいたけど、全体で密接につながったストーリーがないから、「0話切りしていた人が噂を聞きつけてから途中参入しても、十分ついていけそうだなぁ」という作りだった。
また、ただのゆるい日常系ではなく
- 現実の人間に近い体型
-
萌えアニメの人気デザインは、現実の人間に近い体型+以前に比べてやや小さい目+以前に比べてボリューム感が薄い髪+ぷにぷにした描線、にシフトしつつある印象。
- 9話と11話で、原作にないシリアスを入れた
-
萌えアニメに少しでもシリアスを入れると叩く人が多いのは、京アニもよくわかってたはず。9話ではバンドの不真面目さに梓の泣きが入り、11話では澪と律のちょっとした行き違い&律の嫉妬から微妙に険悪な雰囲気に。
ただ、「シリアスがない」のは「甘い砂糖菓子をひたすら食べ続ける」のに似てます。らきすたでははっきり現れけいおんにも若干その兆候が出てたけど、ゆるい日常だけ描いていると話題性は確実に落ちる。
だから、後に引かない軽いシリアスを入れた方が結局はいい…のかもしれない。でもこれも仮説だよなぁ…。
- 目的意識をはっきりさせた
-
なんとなく軽音するんじゃなくて、実現可能性はともかく「目指せ武道館」は宣言。これも、序盤でうまく引き付ける効果はあったと思われます。
最後の文化祭で「ここが私たちの武道館です!」で綺麗に終わらせたし。
祭り
京アニ作品でも、クラナドやムントの時には目立たなかったので半ば忘れてたのが、ハルヒ1期やらきすたにいた「祭り好き」。萌えアニメ好きの一部が、この層だと思われます。
そういう層が本格的に動き、露出が増え、さらにどんどん人を呼び込むという好循環に入り、予想をはるかに上回ったと思われます。
この層をうまく取り込めるかどうかが超ヒットと普通のヒットの差になるとは思いますが、確実に取り込む方法となると…どうでしょうね。プロが頭をひねってもわからないわけで、自分にもはっきりとした答えは…
今放送中のエンドレスハルヒとかも、そういう狙いがあっただろうし。
補足
リア充アニメ?
けいおん!を「リア充アニメ」と評する意見を見かけるけど、
平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓の誰一人として彼氏が出てこない事とか考えると、少なくともそういう方向でキャラたちが充実するのを望む人はいないだろうな、という気はします。
萌えアニメの断絶
萌えアニメは、あくまで自分の仮説だけど
- ゆるいものを好む層……らきすた、けいおんなど
- 激しいものを好む層……化物語、CANAANなど
の間に少し断絶があります。ロボアニメと萌えアニメほどの断絶じゃないですが。
「主人公が『自然に』モテる」以外の恋愛要素はアニメでは避けられやすいし、ゆるアニメ好きは、男性キャラも暴力も主義主張のぶつかり合いも必要としないです。この点、けいおんは大丈夫。
「ラノベやアニメ好きが納得出来る、主人公が『自然に』モテるパターン」の一例:乱暴なツンデレ女の下僕に→俺は彼女のよさが分かるし彼女は俺がいないとダメらしい(実は俺最強)。
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この結果は自分もびっくりです。
話題性から2万はいくと思ってたけど。
今期はけいおんクラスのライバルが不在だったのも売上アップにつながったんですかね。
一応ハルヒはいるけど…
でもこの結果を見ると、結局大多数のアニメファンは何も考えずにぼけ~と見れる萌え日常アニメを求めているんですかね?
余計な小難しいストーリーをなくして時代のニーズにあわせた萌えキャラの日常を極上クオリティで仕上げる。
そしてたまにキャッチーな音楽シーンを流す。
ただこれだけのことをすれば、売れるんですね。
あと途中から入りやすいというのは同意です。
名探偵コナンがいまだに人気あるのも、一応メインストーリーがあるとはいえ、基本1、2話で完結する単発の事件が続くだけですから、途中からでもすんなり入れるのが人気の要因の一つじゃないかと。
でも一般人にけいおんが人気あるかは疑問ですけどね。
でも意外と萌えアニメってハーレムアニメの要素(無駄にもてる主人公に周りの女の子が媚びる)をなくせば、一般人でも普通に見てくれるのかもしれませんね。
けいおんにはハーレムアニメの要素少ないですし。
女の子が見ているのもあながち嘘じゃないのかも。
一般人はサザエさん的日常アニメを好むから、けいおんもすんなり見れるのかな?
しかしアニメファン限定だとは思いますが、京アニブランドはジブリ並みに成長してますね。
今はハルヒで暴落してますが…
他のアニメ会社が制作したら、こんなに売れたかは疑問です。
でもホント京アニはオリジナルは全然なのに原作物を世の中に受けるようにアレンジするのは天才的ですよね。
けいおんのアニメの出来を見ると、けいおんみたいな原作力がないマンガをわざわざアニメ化するなんて面倒なことしないで、自分達でオリジナルの音楽物のアニメを作ったほうが早かった気がするんですけど、それでもけいおんをアニメ化したのは、自分達では1からアイデアが出せなくて、他人(マンガ)のアイデアを下敷きに使わないと、受けるアニメが作れないのかなーと個人的に思いました。
長文失礼しました。
ただこれだけのこと、と言えるほど簡単なら
どのアニメも同じやり方で同じように売れるハズなのですが。。。
すいません。
そういう意味で言ったわけじゃないんですよ。
他のアニメも同様のやり方で必ずしも受けるとは自分も思ってません。
その言葉はけいおんへの皮肉の意味をこめて言った部分が大きいので、その言葉自体にたいした意味はありません。
誤解を与える発言をしてしまい申し訳ありませんでした。
>レイジさま
萌えアニメ好きをけいおんがつかんで、他があおりを受けた感じはします。
>大多数のアニメファンは何も考えずにぼけ~と見れる萌え日常アニメ
萌えアニメ好きは、たぶん複雑なストーリーがなく女キャラが仲良くしている日常系萌えを好む人が、一番多いと思います。ロボ好きや腐女子さんは、全く別グループでしょうけど。
>ただこれだけのこと
大ヒットになるかどうかはともかく「手堅くて成功しやすい」とは思います。
>一般人にけいおんが人気あるかどうか
大半の人は知らないでしょう。音楽情報とかで見かけて「へー」と思うぐらいで。
>萌えアニメってハーレムアニメの要素
それはよくわからないですねぇ…。
アニメ絵に興味を持たない人も多いし。ハーレム要素は、少なくとも女の視聴者には受けにくいと思うんで、ない方がいいとは思います。
ただ、アニメは視聴層に受ける要素を詰めたため、かなり特異な感じはします。正直、けいおんヒロインに誰一人として男の影がないのは、自分は違和感あります。いればいたで残念ではあるけど。
アニメにあまり近しくない人から見たら、あのヒロインたちはあまりに「小奇麗すぎる」んじゃないかと。
サザエさんは惰性で見てる人が多そうなので、他の日常系を見るかどうかは…一度そういう試みをしてもいいとは思うんですが。
>アニメファン限定だとは思いますが、京アニブランドはジブリ並みに成長
けいおんを別の制作会社が作ったら、放送前の集客や期待感が大幅に弱くて、ここまでにはならなかったでしょうね。
ハルヒは、あれはあれで練っているとは思うけど、熱狂的支持を得られたかというとそうではないですよね…。MAD制作や解析の気力をなくしてる人が多い事を思うと、やっぱり3年は長すぎたと思います。
>アレンジするのは天才的
会社が高コストっぽいので、売れやすさを見極める必要が特にあると思います。
ただ、ムントを見た時は「本当はこういうのを作りたいんじゃないか?」とは思いましたが。必死さが伝わってくるようで…。
完全オリジナルの音楽物なら、やれる事の幅は広がっただろうけど、「すでに原作がある」ってのはたとえ無名であっても大きいと思います。アニメオリジナルだと本当にゼロから始める事になるので。
5分ほどチラ見していた家族曰く、「女の子向けのアニメ?」とのことです。恐らくOPを見たせい(男子禁制~やスカート丈~等)だとは思いますが。
口調からすると、一時期のリボンアニメのように、完全に若い(中~高校生)女の子をターゲットにしたアニメと感じている様子でした。
萌えアニメというものも理解はしているはずですので、明らかに区別しているようです。
私自身も、初めてキャラデザを見た時は若い女の子の間で流行っている絵柄だなあと感じました。
特に、口の上の方にチラっと歯が見えていて、鼻がほとんど見えないほどの(あるいは省かれている)辺りはよく見かける気がします。
口(顔)が上向きでも歯は常に下向きであったり、閉じた口がvの字のようになる(特に唯)辺りも女の子好きがする要素に感じます。
自分は、正直あれを男性が受け入れられることが驚きでした。
また、個人的にけいおんはらきすたより腰を据えて見てしまうのですが、恐らく色味に関係すると思います。
らきすたは全体的にパステル調ですが、けいおんはOPからしてかなり暗めの色も多いので、映画的に没入感が増すというか…。カメラアングル自体もよりドラマティックですし(接写している時もキャラがかなり動くのが面白いです)
個人的には萌えアニメではあるけれど、かなり女性に向けた内容であると感じています。
萌えアニメでひとまとめにされる事が多いけど、実際は完全に男向けのと、男女楽しめそうなものまでいろいろありますよね。
>若い女の子の間で流行っている
まさにそれが、男性が受け入れやすい部分だと思います。やわらかい感じの可愛い萌え絵なので。
けいおんは、らきすたに比べてくすんだ深みのある、現実の色味に近い印象はあります。そこらへんも訴求力を上げたんだろうと思います。
背景をほぼ一色で済ませる事もしばしばだったらきすたの方が、制作効率はよさそうではありますが。
>かなり女性に向けた内容
男性のメインキャラが出てこないのが決定的に弱いとは思いますが、萌えアニメの中ではかなり見やすいものなのは確かだと思います。
基本的に萌えアニメはやっぱり男性向けのものだけど、人気が出ると女性ファンの割合が増えていく、という傾向があるようなので。
もともと女性向けに作られてるアニメは、プリキュアみたいに最初からそれなりに狙っているものを除くと、どんなに人気が出ても男性が大幅に増える事はほとんどないみたいですが…。
自分は初め数話で切った&まわりに見ている人が居なかったので、ここまで凄いことになっているのは知りませんでした(2ちゃんの祭好きが騒いで遊んでいるのは知っていましたが)
シリアス回も後半にあったのですね。ただ、やはりそこまで後半回を見ている人からするとあまり大きな要因では無いと思います
ヲタでない友達のほとんどがジブリと東映以外のアニメ制作会社を知らないですし、一般の方にはけいおんが前クールアニメで最も売れたのは関係ないことみたいですね
最初にがっちり萌え好きと祭好きを掴んだのが大きいのでしょうね
現実にはありえない以上意味のない仮定ですが、京アニ以外が同じ内容で作っても、ここまでにはならなかったと思います。
自分はレビューこそほとんどしなかったものの、原作読んでるしアニメも全話見ました。正直言って、作品だけを見ればここまでとんでもなく突出する説明がつかないです。
「京アニの萌えアニメだし、面白いという人が多い」「ハルヒ1期、らきすたに続いて祭りっぽいものが起こりそう。ついていれば仲間も多そう」という感情が多分に働いているとは思います。
シリアス回は、あれが後半全部続いたりすればさすがに危なかったとは思いますが、あとに引かないちょっとした刺激、でしたね。
私は、京アニ作品の人気に関しては、京アニ作品が萌えアニメの市場を吸収したということだと思っています。
けいおん!の非アニオタへの知名度に関しては、元々極めて限定したターゲット(萌えアニメ好き?)のみをピンポイントで狙った(故に限られたプロモーションしか行っていない)作品だと思うのでこんなものでしょう。
一般層にまで知名度を浸透させるには、やはりマスをターゲットとしたプロモーションで、徹底的にアピールする必要があるでしょう。
>割也さま
「京アニの作る新作萌えアニメ」がブランドになってますね。
アニメ見ない人は本当にほとんど興味示さないんで、おっしゃる通り、コアなアニメファン向け以外の場所で、繰り返し宣伝しないと…。
まぁ個人的には、古典的名作風なアニメだけでなくて、けいおんみたいなアニメをもう少しライト層が気軽に見れる時間帯に放送出来ればいいな、とは思ってはいます。コスト的にはむしろ損になるとは思いますが…。