穴があったらブログのタイトル変えたいほど恥ずかしいんです。
2015/06/23 Tue 00:27
★いや、私は日本人、どんなに長くどこにすんでも日本人、日本から友人が来てくれたよ。
昨日はいつものごとく雨が降っていて慌てていたので靴をそろえずについついそのまま土足で家に入った。
渡英したての8年半前は夫やハウスメイトに口うるさく「土足は嫌だ!靴はそろえてくれ!」とガミガミ言っていたのに、昨日は夫に「あ!日本人違う!くつそろえてください、くつ!」と怒られてしまう有様。
物凄く恥ずかしい。なんてことだ。その他にも、「いただきますわ!」と言われたこともある。
あんなに大事にしていたことを適当にしてはいけないと本当に穴があったら入りたい毎日、夫はますます日本に詳しくなり、日本が好きになり、「今日はこんなことが日本でありましたよ。日本で新しい自動販売機ができました、スゲイよー。」、「キシリクリスタルに新しい味ができました、グリーンレモンというそうです。前はぶどう、ミルクとミントもおいしですよ。早く食べたいスゲイよー。」、「ついったでおもしろいお寿司みました、ごはんだけ、何も乗っていないお寿司でした。本物みてみたいなー。」
★今年も地元のバラが咲いてくれました。
ロンドンで暮らし始めてからあっという間に気がついたら8年半、毎日「鳥、リス、夫」と戯れるだけの毎日が過ぎてしまった。
最初はヨーロッパで住むなんてなんだか華やかなのか?とうきっとしていたが、今では8年間何があったかと聞かれると、華やかな部分は
「日本に帰ったあのときに物凄い美味しいお寿司を食べた。」
「日本で初めて食べたロールケーキに死ぬほど感動した。」
「真っ白な雪の白川郷をみて震えるほど感動し、その後入った温泉で雪見酒をしてすっかり情緒に心を奪われてしまった。」
「阿倍野ハルカスができてわくわくするほど楽しかった。」
とか、もうそれはそれは日本の話しかでてこない。
それではイギリスでのことはと必死にうーんうーんと考えても、「狐にごみを荒らされた。」、「郵便、宅急便が雨の中に何度も玄関前か、もしくはゴミ箱の中に放置されるので、最初は必死で写真をとっていたがあまりに多すぎて写真集が出来上がってしまい悲しくなってやめた。」とか、「今日も電車が動かなかった。」など、そんなどうでもいい話ばかりになってしまうのである。
★だって、なんかあると鳥に愚痴ってリスと走って発散してるんです。
最初は「ロンドンで工夫して豊かに生きる素敵な私。」なんて格好つけて名づけた夢見がちな私のブログのタイトルも、まったく機能していない、そぐわない。
最近などは「日本のみんなが工夫して遠いロンドンの頼りないモモグラモとその夫を助けているお話。」としかどう考えても落ち着かないので、もういっそブログのタイトルもそうしてしまおうかとすら思うのである。
本当にみんながいなかったら夫も私もとっくに根を上げてひえーとこの生活から逃げ出していたと物凄く感謝をしている。
★大好きなしょうゆ味の高山ラーメンをもう一度食べたいんですよ。
8年半で本当にいろいろあったが、どんなときも私たちのそばには日本のみんなが常に「遠くないで!ここにいるからね!」と手を差し伸べて助けてくれていたと思う。もうだめだ、と思ったときに届く心のこもったあったかい手紙とか、懐かしい名古屋の味噌煮込みとか、ひえーとひっくり返る送料の末に届いた母からの5キロのお米とか、夫の大好きなおうどんにカレーせんべい、ココナッツサブレ、そうだ、8年の末には「キシリクリスタル棚」などというお菓子の棚の1段すら出来上がってしまった。
みんなが新作が出るたびに「ゴードン」と思い出してくれるのだろう、イギリス旅行のたびに「ゴードン=キシリクリスタルの人」とはっとしてくれるのであろう、日本にいたとき以上に私もキシリクリスタルに囲まれた日常を送ることになるほど、うちにはきちんといつも欠かさずそれがあるという甘やかされた状況、、優しいみんなにどんだけお礼を言っても足りないのだ。
夫はいつもその棚をニコニコ眺めながら「ロングジャーニーになるから4つもてきます。もちんにはあげませんよ!」
と、たかが電車で20分、いや、最悪徒歩で5分の場所にも大事に大事にそれをもっていくのだ。
★だって迷ったら困るモンね。おなかすいちゃうからね。この林まで歩いて10分なんだけどさ。
さて、去年の秋に日本に一人で2ヶ月間潜伏してからもうあっという間に時間がたってしまった。
優しい長野の自然や、懐かしい名古屋の代わり行く姿の中で、はっと漂ってくる地下街の変わらぬほうじ茶の香り、毎日食べても食べきれないほどの種類やバリエーションに富んだお総菜にスイーツに目移りし、綺麗な清潔なお化粧に髪型、さりげなくお洒落な女性達のヒールの細さにため息をつき見とれながら、かつては私もああだったのかなあ、そう言えば夫の誉め言葉は年に一度か二度しかいかないレストランにいく際の、私のドレス姿を見て「もちん!日本にいたときみたい!」これだもんなあ、なんて今や芋にミルクを雨の中がしがし背負い豊かに筋肉がつきまくった自分の足を見て、はあとまた違った意味のため息。
観音さんのふもとの商店街のエビフライ定食や、香ばしいみたらし団子の香り、自転車にスカートで器用にのる学生さん達の可愛らしさに驚き、ドラッグストアの品揃え、そりゃあ日本のみんなが清潔できれいなはずだと納得、あれ、食品もこんなにあったんだっけ。納豆こんなに種類あるんだうわあ、豆腐もやわらかくてとろとろでふわふわだ、うわ、夜の10時までお店やってるの?うわあ。
うわあうわあ言いまくって、あまりにボタンがおおすぎてどうやって使いこなすかわからない自動販売機やドリンクバーのコーヒーマシンの前でううむと立ち往生していたら、あっという間に二ヶ月過ぎてしまった。ちなみに未だ使い方が分からないがイギリスに戻ってきてしまい、さらに進化を遂げるであろう日本のテクノロジー、いや、コーヒーマシーンが最早怖くて使うのが恥ずかしい。
★白川郷の美しいゆきを見た君もうわあうわうわあどころじゃなかったね、もうそのまま凍えても帰りたくなさそうだった。
覚悟を決めてイギリスによしと戻ってきたが、気が張っているうちはよかったものの、何となく何時もの日常が戻ってきた半年経った辺りから日本で溜めてきたお日様もエネルギーも早くも使い果ててしまっただろうか、未だかつてなく体がダルくて動けなくなってしまった。
あんなに気晴らしになっていたジムですら、一ヶ月パスがまるっと埃を被ったまま、引き出しの奥に放置された状態で、せっかく日本で取り戻した、普通に食べ、普通に友達と笑い、泣く喜び、時差なしに手で触れあってありがとうと言える温かさ、また明日ねといえる喜び、懐かしい家族と会え幸せの涙、ぜーんぶ、ぜんぶしっかりためてきたつもりがあっという間にからっからに早くもなってしまった。
いや、8年半でこんなに悪くなったのは久々、日本のじいちゃん、おじちゃん、おばちゃんもどっといっちまって南アのじいちゃんばあちゃんも同じようにいっちまって、グラム家は騒動により崩壊しかけるし、そりゃあ色々あったもんなあと動かない体と頭を布団に沈める。
やっぱり、私弱いんだ、弱いんだなあ、甘ったれてまたこんなになってるし、糠漬けも3日かき混ぜていない、イギリスにいても、どこにいても、私は文句たらたら進めないで変わらないのかなあ等と涙も出てくる始末。
★すっかり鳥にもリスにもあいにいけなかったのですよ、ごめんね。
そんな自分に嫌けがさし、また食べ物も怠けているから食べるんじゃないと自然に自分を責める悪い癖で食欲もすっかり落ち、それをちろっと東北の友人に打ち明けたところ、
「今はいいんだよ、休んで、美味しいもの食べて、体を休めるときなんだからね、しっかり寝て、しっかり食べてね。」
優しい言葉に我慢していたものが溢れ、関を切ったように雪崩れ込むかのようにわあわあ不調を訴える私に、
「うん、いいんだよ、わかってるよ、そんなにがんばってるんだから、もういいんだよ。もっちゃんのことが大好きだよ。」
安心してその日は眠りについても、これもイギリスに戻ってからさんざん悩んでいた中途覚醒で夜中で何度も目が覚めてしまう。もう、私に朝は来ないのかと休んだはずなのに朝はぐったり、薄暗いイギリスのグレイな光の下で血の気のない顔をし、ぼんやりと外を見ていたある日、
がんがんがん、
またせわしなく玄関の扉を壊す勢いで誰かがノックした。
音にも敏感になっていたため、震え上がってそおっと恐々顔を出すと、いつもの我が家の歯が欠けたポストマン、タバコ片手に
「今日も筋肉痛、君のお陰で筋肉痛だから。」
彼の足元におかれた箱を見てヒエっと思わず叫んだ。
大きな、大きな赤ちゃんのオムツが数個も入るほどの段ボールに、優しい友人の筆跡、でっかくJapanと書かれたなくすなよ、なくしたらコワイゾーと念が入っているその荷物はとてつもなく、とにかくまるで犬小屋でも送ってきたのではと思うほどでかかった。
「なんだか、血の気ないなあ、二日酔いか?」
「違うよ、ホームシックで体調悪くてくさってんの!」
「君は毎年会うたびに元気になったり、そうやって血の気をなくしたり、同じこと繰り返して落ち着かないねえ、茶にきちんとミルクに砂糖入れてるか?砂糖は二杯だぞ?やってるか?」
「甘いお茶は苦手だからやらないし、アーモンドミルクなら入れてる。」
「けっ、最近は訳わかんねえミルクが増えてそんなの聞いただけで嫌だね、普通のミルクをミルクマンからかえ、たっぷりいれて飲むと体がホカホカしてちっとは血の気戻ってくるぞお、それじゃゾンビみたいだぞ、わはは。」
「うるさい!サインしたからあっちいけー」
お化けの真似をしながらおどける彼にイライラしながら荷物を受けとる、もう放っておいてくれよ、すると、
「重すぎるから仕方がないから今日は靴を脱いで運んでやるよ」
雨に泥でぐちゃくちゃの彼の靴、それを不器用に脱ぎ始める。慌てていい、いい、やるからいい!と止めると、
「そうか、分かったけど、なんか食えよ、あの角のfish&chips試したか?先代のじいさんばあさん引退しちまって新しくなったけど、冷やかしにいったら以外とう悪くないぞ。茶、飲めよ、砂糖は二杯だぞ。」
茶化しながらも実はいつも親切な彼の存在に、そうだ!イギリスでこの人にも助けられてきたなあとはっとしつつ、砂糖は2杯だからなーとしつこくいいつつ去っていく背中を暫し眺めたあと、そうだと足元の荷物を家に運びいれる。いや、引きずる。
★イギリスには他にもいっぱい私を助けてくれるものがあるのに、忘れちゃうんです。
いったい何が入っているのだ?
ずずっと引き釣りながらやっとのことでキッチンで箱を開けると、
思わず息を飲んで、そのあとわあわあ泣き出してしまった。
私が食べれないのを心配しただろうか、愚痴った例の東北の友達が私の大好きなものを山ほど詰め込んでくれたのだ。
お日様はもっていけないけど、日本のお日様一杯あびた食べ物送るからねと、白砂糖が苦手な私に黒糖やはちみつの飴、大好きなホシイモに黒豆絞り、きな粉餅、どら焼き、甘栗、お蕎麦に黒豆のお茶、鉄分不足だからとひじきのふりかけに恋しい山菜、私が安心して食べれるものばかりどっさり。
それに寒いからと着る毛布、もうここには書ききれないくらいありとあらゆるものが詰められていて、店が1軒開けてしまうのではというほどであったのだが、一番びっくりして涙腺がぶっ壊れたと思るほど涙が止まらなかったのは、なんと彼女の東北のご家族が私の話を聞いて、
「とぎにいるけんど、はやぐままくって元気なってな。」
と、自家製の干し柿や大変貴重な瓶詰めのジュンサイ、とんぶりにペットボトルいっぱいの柚子の絞りたて果汁、東北の銘菓にしょっちゅる、つやつやのお米などを送ってくださったのだ。
とぎにいるけんど、はやぐままくって元気なってな。
この言葉を彼女から「おじさんがそういってたよー。」っていって聞いたときには、私はあまりのその言葉の温かさと美しさに心が震えてとまらなくて、涙をいっそうぼとぼとこぼしてしまった。
遠くにいるけれど、これおくるから早く美味しいもの食べてげんきになって。
そんな彼女のご家族の温かさがこの一言にぎゅっと詰まっていた。これほど美しくて優しい言葉を聞いた事がなかった。
わたしはこれも彼女が贈ってくれたシルクカシミア柔らか心地の日本のすばらしいティッシュで贅沢にずずーと鼻をかみ、美しい田園風景がなくなっていくのを信じられない思いでロンドンからテレビを通じてみていたあの日のことを思っていた。(当たり前だがイギリスのごわごわとのは違い、何度かんでも鼻が向けることがないので、捨てるのが惜しくていっそとっておこうかと思ったほどだ。)
東北で大きな恐ろしい地震が起きて、たくさんの人がなくなって悲しい思いをして数年がたち、いまだにその傷跡の中で苦しんでいらっしゃる人がいるのに、私のこのぶーたらとした悩みなどどんなに甘ったれたものだろう、私の馬鹿たれが、そう思った。
★美しいものは他にも近くにいっぱいあるのに、わたしはどうも見逃してしまうらしいのです。
そして、彼女が言うのだ。「あの時は本当に世界中の人からいっぱい助けてもらったんだよ。今でもとても感謝をしています。だから、お礼を言いたい、もっちゃんを通じてお礼を言う機会があってうれしいよ。でもまずはそのもっちゃんが元気にならなきゃねー。」
どうしたらそんなに優しくあれるのだろう。強くあれるのだろう。
彼女とそのご家族に手を合わせながらレーベルも何も張ってない、ずっしりと重いその干し柿をそっと口に含んだ。
優しく暖かく、そして力強い日本の風が太陽が体を照らして吹き抜けて、私を元気にしてくれるような気がした。甘くて、とても甘くて、本当に命の実の味がした。
生きなきゃ、前を向いていこう、夫と一緒に前を向いていっぱい転びながらまたがんばろう、彼女と日本でいつも私を支えてくれる友人家族、イギリスのみんな、お空のじいさん、おばおじたちにそう誓った。
あれからわたし、うんと元気になって、今これを書いている。うんとうんと元気になった。
さて、イギリスの今年の夏。うちの近所のイギリスの女性の方が
「今年は夏はどこに、どこにいったのよ!もう体内でビタミンD生産が追いつかなくて冬が越せないばっきゃろー!」と喚きながらゴミ箱を「がん」って蹴っ飛ばして、それを「おまえ、マイラブ、そんな暴れるもんじゃないよ」っていったかどうか、やさしく咎めた旦那さんにまで噛み付くような勢いで、「そんならアンタが太陽もってこい!!それかスペインの南に連れて行けー!」となんだかそこだけ炎が気温が上がっていたのを見ない振りして通り過ぎた、それほど寒くてウェットな夏なのだが、私はあれ以来みんなのおかげで体力をゆっくり取り戻して、今ではジムにもしっかり復活し、先日などは張り切りすぎて家事の際に貧血を起こし、そのままぶっ倒れ、ブロックで頭をぶつけて流血するなどという血の気が今度は多すぎる生活を送っている。
「もっちゃん、ジムは当分禁止だよ、今はゆっくり精気をまだまだ蓄えるときなのだからね、一気にやってはいけないよ。」そう心配して苦笑する彼女だが、私がとまらないことも知っているらしい、大きな荷物の中には山ほどのシップも入っていた。
空は曇りでも心は晴れ、みんなのおかげで温かい。
「ロンドンみんなの工夫でモモグラモとその夫が崖から何度も落ちかけながらも救い出してもらうサバイバル生活」これからもみなさんどうぞ、頼りない私たちをどうかよろしくお願いします。そして、たくさんの皆さんに笑っていただくことで、日本から太陽、お日様を私たちにも分けていただけそうな、そんな気がします、読んでくださってありがとう。
それではまたお便りします。
モモグラモ
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バラと草原風景が凄く綺麗で、日本には日本の美しさがあるように、イギリスにはイギリスにしかない美しさがありますね。
日本人だし日本の物が一番体に合うのは必然だと思います、モモグラモさんのお友達が皆凄い素敵なのはきっとモモグラさんが素敵な人だからなんだなと思いました。頑張りすぎないように自分のペースで行きましょう!長文失礼しました。
東北のお友達やポストマン、みんなモモグラモさんのこと大好きなんだなって伝わってきました。
これもモモグラモさんのお人柄なんでしょうね。
身近なところにある幸せを大切にしなきゃって気付かされます。
私もたぶんモモグラモさんのお友達と同じ県の出身です。
関東に住むようになって数年、地元には戻らずとんぶりもじゅんさいも、何年も食べてないなぁ…
あんなに地味で、食べ物以外何も楽しみがなくて、冬になれば雪と曇りの日ばかりの土地、出て行きたくて仕方なくて目を背けて捨てた地元だったのに、なんだか懐かしい言葉を目にして、かなり今ホームシックになっています。笑
もっと自分が友達や家族を大事にして、他人のせいにせず視野を広く持っていたなら、もっと地元を愛せたんじゃないか…なんて今更感じています。
これからは、今いる場所を大事にできるよう頑張ってみます。長くなってごめんなさい。
p.s.地元特産の稲庭うどん、てつおさんに食べて欲しいです!!
ももぐらさんがお友達から届いた宝箱を開けるとき、私がもっちゃんになったみたいに泣いていました。
ももぐらさん、世の中、人生(半世紀過ぎました)は波のよう、揺られて、凪いで、生きるしかないと思います。そこの美しい野原に行ってみたいです。
そして、たびびとのふくは、バージョンが上がるのですから、トレーナーかパーカータイプのを選んでみてはいかがでしょうかw。