はじみまして よろしくん。
2011/05/05 Thu 12:17
★味噌汁をこよなく愛す君、私のワカメ、消費が早いのは、誰のせいだ。
南アにも帰った。モロッコにも行った。プラハにも久々に行った。
どれも旅行記すら書いていないのは、ひたすら怠け者な私と、毎日「こうしてこうして」とうるさく、世話が焼けるこの人のせい↑
震災が起きた時、彼は日本語で速報が読めないことが、ものすごく悲しかったようだ。
自ら「みしま ぱちぱち 男爵 てつお。さま。」と名乗るほど、日本が好きな彼であるから、英語でのニュースが錯乱し、何が起こっているのか、真実は何なのか、自分の日本の友人や家族は無事なのか、大好きなお米の畑はどうなってしまったのか、私からの情報に頼るしかなく、とても情けなかったという。
毎日漢字ドリル(小学校2年生)、日本語のハリーポッターの本などでこつこつと勉強してはいるのだが、それだけでは「いかんですよ!」と奮起したらしい。
あんなにSNSが大嫌いで、フェイスブックすら持っていない彼、何を思ったか、日本語の勉強もかねて、TWITTERを始めた。
南アの妹もアカウントを持っているが、彼女にも気づかれず、ひたすら日本語のみで発信する、その名も、
「@danshakutetsuo(だんしゃくてつお)」
★男爵、ピクニック中。
まず、一般人が勝手に男爵を名乗ってよいものか。
それから、アイフォンも含めて、設定言語をすべて日本語にするのはいかがなものか。
心配する私をすっかり無視して、本人は「ついついついー」などと、嬉しそうである。
さて、どうしても気になって、彼のTWEETを覗いてしまうのだが、本気で全部日本語でがんばっているのに驚いた。
驚き、感心して、そして、大笑いした。
一生懸命がんばっている人を笑ってはいけないと、学校で教わった気がするが、それでもやっぱり、ごめんなさい、面白いものは面白い、ぶぶぶぶぶぶ。
まず、自己紹介がすばらしい。
「わたしわ パチパチ だんしゃく てつお です。はじみまして!いまわ ロンドンで すみます、だけど にほんい すみたいんです。」
そしてロケーションは、
「げろ おんせん。」
★いや、間違いなく、イギリスです。今年もブルーベル見に行ったよね?
そして、その語録がさらにおかしい、いや、面白い。
新語大賞でも取れるのではないかと、一瞬勝手に思った程である。
「はじみまして!どうぞ よろしくん!」
「いつも せきぐち チーム わ まけます!この よる まだ みましゅた。カレーうどん vs。黒いごま ラメん!これわ たべた ことが ありません!」(どっちの料理ショーではないか。なんて関口さんに失礼な。)
「しらんね!でも 新幹線わ だいすき!早!」
「もかい もの わ 日本わ すばらし です!」(通訳お願いします。)
「なずかし!すげよ! 二十四時かん 開きます!c c レモン!肉まんも!」(コンビニに興奮。)
「まま イギリス 電車わ ほんとうに むかつく!1時間 あそいふぇすよ!日本の 地下鉄を のりたいんです!」
毎日顔を引きつらせて、笑いが止まらない私であったが、先日モロッコのマラケシュに出かけた際は、彼一人留守番であったため、よほどすねていたのであろうか、
「はい、いたらしゃい!でも 私わ どこしん です。さあ」
と、TWITTER上で夫に独身宣言をされてしまった。
ワタシ どこしんね、と朝からずっとすねていたのは知っていたが、ここまでしつこく根に持っているとは思わず、空港に向かう途中で心配になり、思わず電話。
「遊びに来てくれるお友達いません、ゲーム一緒にやってくれるお友達もいません!映画を一緒に見る人もいません・・・。どこしんです、どこしん!!!」
う、なんだか罪悪感、かわいそう。
「今から駅前におともだち探しに行きます。」
「TWITTERでおともだち みつやります。」
そこまで寂しいのか、てつおよ、胸が痛くなってしまったが、4日後にロンドンに帰った私、玄関にムスーと出てきたてつおの手には、「PlayStation®Move」が二つ。あれ、一つしかもっていなかったのに?
「いま いそがし!」
そういって、階段をだだっと駆け上がっていった彼だったが、いや、確かに、二つPlayStation®Move、持ってたよね?
「おともだち みつやりません だから ひとりで あそぶ!」
部屋で、ど派手に2つのコントローラーでやけっぱちに遊ぶ君、そうだね、お友達、みんな日本にいるんだもんね。でもおかしい、ぶぶぶぶぶぶ。
★妻は君を置いてモロッコへ。
だが、私のいない間に、お友達はちゃんと、TWITTERなどで彼の安否を気遣ってくれてたらしい。
「ごーちゃん元気?」
「てつおさん おはよー。」
優しいおともだちの皆さんに、きちんと無事であることを伝えなければと思った彼、
「きぃうわ しゃいんしょくどうから ひろんごはん たべました!リゾート です! ^_^ 」
一瞬、どこかのリゾートで豪華なランチをしているのかと不思議に思ったが、添付されていた写真をクリックして納得した。
てつおくん、それはリゾートではない、リゾットなのだよ・・・。
★リゾットもいいけれど、クスクスも美味しかったですよ。
話は変わるが、私はロンドンで暮らして4年になるというのに、英語のレベルはゆるゆるゆるーとゆっくりカタツムリ並みに「なんとか」アップしている。
毎日の生活の中で、やたらに重たいポテトや牛乳、肉の塊を運んだり、停まってくれないバスに「ちょっと、まてー!!」と文句を言って追いかけたり、勝手に運休したり、遅れたりする電車、地下鉄に、「別ルートはそれならこっちだ!」と一人乗り換え案内みたいになったり、とにかく、とにかく、生きるのに情けなくも必死な4年間であったのである。
しかし、ゴードンだって、イギリス人ではないではないか。英語は話せても、遠い南アから海を渡って来た事実に変わりは無いのだ。それなのに、毎日勉強を欠かさず、彼の日本語は、この数年間でものすごく上達している。
私の英語とまったく違って!
そこには、彼の日本への強い憧れがある、一途に一筋に、本当に大好きなのである。
私は4年経って、ようやく、「イギリスもいいかも。」と思えるようになってきたのだが、彼の場合は、私とは気合が違う、「日本人 ワタシ」と、すでに名乗っているほど、大いに違う。
「ひちゅじごふん、めざましくん きょうの わんこ。(^_^)」
どこで覚えたのか、目覚ましテレビの台詞まで覚えた彼、今日もこう話す。
「日本に起きている問題のすべてを知ることはできないし、住んでみたらうまくいかないことだってあるかもしれない、日本のみんなが言うみたいに、いっぱい問題は山積みで、俺にはそれは見えていないと思うし、何もわかっていないと思う。
でも、日本にあこがれて、好きだと思うことは、俺の自然な気持ちで、今までに出会った人、見たこと、聞いたこと、全部含めて、やっぱり、そう思うんだからね!」
ちょっと興味があるくらいでは、ここまで必死に勉強はできない。
最初は「本当に?」と思っていた私だけれど、彼の数年間のがんばりを見て、心から思う。
君は、本当に、日本が好きなんだ。
★「さくらだ!」って大騒ぎしていたけれど・・・アーモンドかもしれない、てつおくん・・。
ありがとうね、いつか一緒に、本物の桜を見ようね、みんなで見ようね!
みんなと一緒に、満開の桜の下で、いっぱいいっぱい笑える日を、イギリスで今日も夢見ている、私たち夫婦、今日も元気です!