LoveBomb

11月22日
(いい夫婦の日)



「…何ですか、コレ？」

「え？ケーキだろ？」

「…そんなの見ればわかります」


百日愛という奇病から、僕はユノのお陰で何もかも元通りの生活をおくれるようになった


今日はユノだけの仕事があったから
僕は早めにマンションに戻っていた

そんな僕の前に出された小さな箱

どう見てもケーキの箱だ


今日は何かの記念日だったかと考えてみたけど思いつかない…

駄目だ、僕だけ忘れてるんだろうか？


「どうした？チャンミン？」

「…ユノ、先にお風呂入っちゃってよ
僕、食事の準備しておくから」


ケーキを受け取り冷蔵庫にしまう
ずっと考えてみるけどわからない…

部屋まで行ってユノの着替えを用意してバスルームまで持って行けば
ご機嫌で歌ってる…


…やっぱり何かの記念日…？


リビングに戻りスマホを手にしてスケジュールを確認してみるけど
今日は何の日でも無い


「…何故だ…」


それとも僕は百日愛で失った記憶が完全には戻って無いのだろうか？

だとしたら、僕は…


とりあえず親友のキュヒョンに電話をしてみる


「もしもし？キュヒョン？」

「どうした？」

「あのさ、今日って…何かあったっけ？」

「…あと少しで今日が終わるのに今更聞くなよ」

「……」


そうだけど!!


「…ユノがケーキ買って来てさ…」

「惚気かよ」

「違っ…///」

「相変わらずラブラブで羨ましい事で…」


呆れたように溜息を吐くキュヒョンに弁解しようとしたら、バスルームからユノが出る音がして
ありがとうと言って電話を切った


慌ててキッチンに行きスープを温め
何事も無かったかのようにユノを迎える


「今日はナントカ広報…ナントカになって来た」

「…そのナントカの場所が一番重要だろうが…」


アハハと笑いながら食事を終えると
ユノがケーキを食べようと言って冷蔵庫から出して来た

だから僕はお皿とフォークを用意して座る


「…ユノ…あの、今日って…？」

「だから、ナントカ広報ナントカになって来たんだってば」

「そうじゃなくて…」


何かの記念日でしたか？

そう訊けない自分が嫌になる…


「知ってる？チャンミナ
今日は11月22日だから、日本ではいい夫婦の日なんだって♪」

「…え？」

「そんなの聞いたらさー、何だかチャンミナの事が思い浮かんだんだよね
だから思わず、いつもの感謝を込めてケーキ買って来ちゃった♪」


…なんですと？


「今日はいい夫婦の日だから、俺達の日だろ？」


そんなふうに言われたら何も言えなくなっちゃうじゃないか…


「チャンミナ…
いつもありがとう。愛してるよ…」

「…ユノ…」


いい夫婦の日
ユノが僕にくれたのは

苺が沢山乗った甘い甘いケーキよりも
蕩けるような甘い夜でした



-end-

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